初心者からベテランまで【沢登りの服装】のオススメを徹底解説!
■楽しいはずの沢登りのハズが、身体が冷え切ってしまって寒い。
■初めての沢登りでどんな服装を選べばいいか分からない。
■いきなり高価な靴や服を集められない・・
沢登りは服装を間違えると、真夏と言えども成人男性でも低体温になるリスクを含んでいます。どうせなら寒さをできるだけ感じる事なく沢登りを楽しみたいですよね。
この記事では、「初めて行く沢登りで服装を迷っている方」「何回か沢登りに行っていて、もうちょっと良い服装のアドバイスが欲しい方」に向けて、沢山の初心者を沢登りに連れて行った経験から分かる事を解説しています。
このブログを読むと、自分に合った沢登りの服装が分かります。
それが事前に分かるだけでも沢登りが楽しくなること間違いなしです。
■いきなり高価な装備を揃えられないという沢登り初心者の方
化学繊維の重ね着+ジャージ+カッパ+ライフジャケット
■これから本格的に沢の装備を揃える方
ファイントラックのフラッドラッシュ+ネオプレーンベスト
もちろん、「行く沢」「地域的特性」によっても服装選びは変わってきます。
初心者はいきなり難しい所に行くことは無いと思うので、数多くの人の参考になるのではないかと思います。
※沢登りのギアに関する記事はこちらをクリック。
沢登りには大きく分けて二種類ある
沢登りと言っても、積極的に泳ぐか泳がないかで服装が異なってきます。
また、雪解け水が流れ込むような沢などは、どちらにせよ寒い場合があります。
自分の行く沢がどんな沢なのかをまずは調べてみましょう。
暑くなりがちな滝登りが主体の沢登り
沢登りというよりも、沢歩きに近い。
初心者向け。
身体が暑くなりがちで、時々出てくる淵や滝が嬉しい。
こういった沢は、服装にはあまりこだわらなくてもなんとかなる。
■とにかく泳ぎが続く沢。
■身体が温まる暇がなく、真夏でもかなり寒い。
■中級者向け
寒くなりがちな泳ぎが主体の沢登り
とにかく泳いで泳ぎまくる沢登り。
とにかく身体が冷えがち。
ライフジャケットは必須装備で服装選びも難しい。
泳力が求められるシーンも多く、初心者のうちはベテランにロープで釣りあげられる場面も多い。
■滝を登ったり、沢を歩く事がメインの沢。
■泳ぎを回避する事もできるので体温調整がしやすい。
基本となる沢登りの服装の考え方
「沢登りはこういった服装じゃないとダメだ!」といった決まりごとはありません。
自由に楽しめるのが登山の良いところだと僕は思っています。
しかし、「こうした服装の方が快適」というのはあるので、一例をご紹介。
初心者でもこれだけは必ず揃えないといけない道具
【沢靴】は必須!ワークマンより確実に良い代替品もご紹介
沢靴とは、ソールがフェルトや専用のラバーにしてある沢登り専用の靴のことです。
沢登に行くなら沢靴は必須です!
左はラバーソール、右はフェルトソールと呼ばれています。
それぞれメリット、デメリットがあるので表してみました。
フェルトソール | ラバーソール | |
---|---|---|
濡れた岩 | 滑りにくい | とても滑りにくい |
ヌメリのある岩 | とても滑りにくい | 少し滑りやすい |
泥や草の斜面 | 少し滑りやすい | 滑りにくい |
岩に生えたコケ | 滑りにくい | 滑りにくい |
ソールの耐久性 | 夏に毎週行くと1シーズンで張替えが必要 | かなりの耐久性がある。 ほとんど張替えの必要がない。 |
■オールマイティで対応するのがフェルトソール!
・ラバーはヌメリに弱く、初心者が使うと突然滑って転けることがあります。
・初心者にはフェルトソールがオススメ。
■中級者以上には、お財布的にも優しいラバーソールがオススメ!
・岩のヌメリを経験で分かる中級者向け。
・岩に対するグリップ力がフェルトと比べて段違い!
基本的に初心者にはフェルトソールがオススメです。
しかし、沢の岩質にもよるので、一緒に行く経験者が「ラバーが良い」と言えば初心者でもラバーのほうが良い時もあります。
詳しく沢靴選びについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
安くて初心者にオススメな代替品もご紹介しています。
※クリックで別タブで開きます
【レインウェア】いざという時のお助けアイテム
レインウェアは、沢では必須装備です。
レインウェアは着ていかないにしても、必ず持って行きましょう。
ちょっと沢で体が冷えた時や、冷えそうな時に着ておくと体がかなり温まります。
オススメは、ストレッチのある「ファイントラックのエバーブレスレグン」と「ワークマンのレインウェア」です。
特に、登山やバリエーションでも使いたいと考えておられる方には、「ファイントラックのエバーブレスレグン」はかなりオススメです。
【ライフジャケット】も初心者なら持って行こう!
水量の多い沢登りであればライフジャケットは必須です。
しかし、ライフジャケットを使わない沢登りの場合もあります。
水が極端に少ない沢や、水に極力入らない沢登りなどの時ですね。
僕はそういった沢に初心者を連れて行ったときに、初心者を溺れかけさせた経験があります。
初心者は、「服を着たまま水に入ると、想像以上に泳ぎにくい」という事を知らなかったからですね。
なので、泳ぎに自信がない人や、初めて沢登りに行く人はライフジャケットは必須だと考えています。
ライフジャケットは着ているだけでも温かいというのもオススメポイントです。
リーフツアラーのライフジャケットは品質も良く、サイズも会いやすいのでオススメ。
値段も安い。
飛び込んだ時にライフジャケットがすっぽ抜けないようにする、股下を通す紐はありません。
ハーネスのビレイループなどとバックルをスリングで結んでおくと安心です。
もしくは飛び込まないようにしましょう。
ライフジャケットについて詳しく書いた記事はこちらをご覧ください。↑
ミドルレイヤーは何を着たらいいのか
ミドルレイヤーが沢での保温性を左右します。
僕もいろいろ試してきましたので、個人的な体感を表で表してみました。
化学繊維 (ラッシュガード・登山ウェア・ジャージなど) | フリースウェア | 化繊インシュレーション | ファイントラック/フラッドラッシュ | ウェットスーツ (ネオプレーン) | |
---|---|---|---|---|---|
水中での保温性 | △ | △ | × | 〇 | ◎◎ |
乾きやすさ | 〇 | △ | 〇 | ◎ | × |
濡れた後の保温性 | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎◎ |
ゴーロや登山道での快適さ | 〇 | △ | △ | ◎ | × |
綿(コットンなど)は絶対にNGです。 必ず化学繊維を着ましょう。
オススメは、フラッドラッシュ+ネオプレーンの組み合わせです。
【化学繊維】は乾きやすく、重ね着である程度保温性がアップ
登山用ウェアなどの速乾性のある化学繊維を一枚で着ると寒いです。
しかし、「滝登りや沢歩きが主体の沢登り」なら、化学繊維の重ね着+レインウェア+ライフジャケットで結構快適に行けちゃいます。
沢登り初心者や、小学生と沢登りに行くときは、化学繊維の重ね着+ジャージ+カッパ+ライフジャケットを着てきてもらいます。
いきなり高価な服装を揃えられない中での、最高の組み合わせだと思います。
ただし、泳ぎが多かったり気温が低いと肌寒く感じる時があるので注意が必要です。
化学繊維をお持ちでない方は、水着にもなるラッシュガードがおすすめです。
【フリースウェア】は保温性があるが、濡れた後が重くてべったり。
フリースウェアはあまりオススメきません。
水中では動きにくいし、濡れるとべったりと肌に張り付いてきて重たいからです。
保温性でいえば、ジャージよりは少しあるぐらい、という感じです。
なので、ジャージと化学繊維を重ね着した方が良いと思います。
化学繊維のインサレーションウェアを持っていないなら、低体温になりそうな時の保温着として持っていっても良いですね。
ただし、濡らさないように注意が必要です。
【化繊インサレーションウェア】があると心強い。
化繊インサレーションウェアとは、簡単に言うと「化学繊維で出来たダウンウェア」のような物のことです。
ダウンは濡れると保温性がまったく無くなりますが、化繊インサレーションウェアは濡れても保温性が殆ど変わりません。
プリマロフトという繊維は、濡れても保温力を98%維持とメーカーが公表しています。
■モンベル/エクセロフト
■アークテリクス/コアロフト
■ファイントラック/ファインポリゴン
ミドルウェアで着ていいし、もしもの時の為の保温着としても超オススメ
水中では温かみを感じませんが、水から出ると温かく、時間を置くほどに温かさが増していきます。
ファイントラックのポリゴンウェアは、沢登りにもオススメと書いてあるように、その効果が実証されています。
万が一に備えて、温かい飲み物と一緒にザックに忍ばせておくだけでも価値が有るのでオススメです。
【フラッドラッシュ】は日本の沢登りの為に作られたウェア!
僕が一番オススメするミドルレイヤーは、ファイントラックのフラッドラッシュです。
(ファイントラックとは日本の会社で、日本の気候に合ったウェアやギアを妥協無く開発しているメーカー)
この服を手に入れてから、沢での服装に困ることは無くなった。
値段が高く、「沢登りの為だけにこの値段か・・・」と長期間悩んだ時期もありましたが、値段以上の価値がありました。
水中でも温かい!というよりも、水中での体温の低下速度を緩めるといったイメージ。
水中での保温性だけを突き詰めれば、ネオプレーンの方が絶対に良いです。
しかし、沢登りは水の中だけでなく、山道も歩きます。
フラッドラッシュは、水中での体温低下を防いでくれるだけじゃなく、陸に出たとしても体温が暑くなり過ぎないのがポイント。
ウェットスーツだと長い歩きに出くわすと不快感が大きいです。
乾きもめちゃくちゃ早い。
■薪拾いしている間に完全に乾いちゃいます。
■沢から出て車に戻っている間には殆ど乾いちゃいます。
水中での足りない保温性は、ネオプレーンでカバーすれば良いというのが僕の結論。
フラッドラッシュの難しいサイズ感ですが、基本的に普段来ている日本人規格の服と同じサイズでOKです。(モンベルと同じサイズ感です)
僕は、モンベルもファイントラックもLサイズ。(172cm、体重70kg)
フラッドラッシュはトップスはM。ズボンはLをチョイス。
僕は首が太いのでジッパーを上まで上げると少し苦しい感じがあるので、Lでもよかったかなと思います。
それ以外はベストマッチです! 参考にして頂ければと思います。
【ウェットスーツ】は水中での保温性が高いが、陸ではしんどい。
ネオプレーン(ウェットスーツ)は、水中での保温性が一番高くて間違いがありません。
保温性で言えば、セパレートタイプよりもツナギタイプの方が良いですが、トイレが非常に厄介です。
しかし、ウェットスーツは、ピチピチゆえに陸での動きにくさ&圧倒的な蒸れ感があります。
泳ぎ系の沢や、水の冷たい沢にはツナギのウェットスーツがオススメですが、初心者向けではありません。
そこでオススメしたいのが、ベストタイプのネオプレーン!
ベストタイプなので、身体の中心を効率よく温めてくれます。
帰りの長い林道歩きでも、ザックの中に簡単に入れられて、あまり重くならないのもポイント。
僕が使っているモンベルのフルジップベストは廃番ですが、 渓流からはフルジップベストが出てます!
寒がりな方にはロングタイプもオススメです!
下着とズボンにもこだわると、更に快適になる。
値段の割に効果を高く感じられるのが下着
沢登りでも普通の登山でも、値段の割に効果を高く感じられ、コスパに優れているのが下着です。
沢登りでも普通の登山にもオススメなのが、ファイントラックのドライレイヤーです。
普通の下着と違い、汗や外部からの水が肌に張り付きにくくなります。
結果として、ウェアが水や汗に濡れたとしても、肌は温かく感じます。
沢でもこれを着ていくと、少し暖かく感じます。
夏の高山はCOOL、春秋はBASIC、冬はWARM という風に、3種類発売されてます。
僕のオススメは、沢登り(冬山も)で使うならWARMです。
BASICよりも明らかに温かいです。
ハーフパンツが水中では圧倒的に動きやすい!
ズボンだと、裾に水が溜まっちゃったり、水で肌に張り付いてツッパリ感が出てとっても動きにくいです。
ハーフパンツ+タイツの組み合わせは、水がズボンに溜まらないし、とにかく動きやすい!
ストームゴージュアルパインパンツの特徴は、圧倒的なタフさと、使い勝手の良い大腿部のポケットです。
生地に厚みがあるので、沢での酷使にも安心して使える。
速乾性とストレッチも非常に良い。
大腿部のポケットは大きいので、地図(トポ図)を収納するのにとっても便利。
その他の【こだわると快適になるアイテム】
その他のアイテムにこだわることで、より沢登りが快適に楽しくなります!
必須装備ともいえるグローブ!物により特徴があります。
沢でのグローブは、初心者なら軍手でもOKです。
ただ、軍手のデメリットとして、カラビナなどを触った時に滑りやすいというデメリットがあります。
僕のオススメは、渓流(キャラバン)のグローブです!
■ホームセンターのゴムグローブ
・コスパが良い。指先を切れば万能。
・洗濯の度にベトベトしてくるのが難点。
■渓流のグローブ
・縫い目が少し弱いけれど、一番オススメ。
・皮製なので、岩にも木にもグリップ力がある。
■ファイントラック/パドルグローブ(指先切っちゃいました)
・泳ぎの苦手な人には良いかも。
・カラビナを使おうとすると、指先のヒレの部分がカラビナなどにとにかく引っ掛かる。
・泳ぎ専門グローブ。
■モンベル/ストリームグローブ
・耐久性が抜群。
・脱着もしやすい。
・木を掴むとちょっと滑る。
渓流のキャラバンのグローブは、手の甲には保温性の良い発砲ラバーを使っており、温かい。
あまり掴みたくない場所ではフルグローブで。 ここぞという時の登りでは指を出せるのが特徴です。
手のひらが革なので、木を掴んだ時のフリクションがとても良い!
高巻きの時などに安心感があるので、結局これに落ち着きました。
ネオプレーンと革部分の縫い目が少し弱く感じますが、使用には問題ないレベルです!
ズボン派の人は併用したいスパッツ
ズボンで沢登りに行くと、裾に水が溜まっちゃって水から出た直後なんかは足が重くなったりします。
水の中でも、裾のあたりが水流を受けて歩きにくさを感じます。
そんなときに役に立つのがスパッツ!
値段が高いですが、パンチング(細かい穴が開いている)してあるので水抜けが良い。
膝部分は結局ズリ落ちちゃうので、脛部分だけの物でも十分です。
靴下はネオプレーンがオススメ!
普通の靴下でも問題はないのですが、ネオプレーンの靴下はとても快適です。
ネオプレーン製の靴下は、保温性があるというだけでなく、水に濡れてもクッションがあります。
普通の靴下だと濡れるとクッション性が無くなります。
なので、靴下までこだわりたい方はネオプレーン製を選んだほうが良いです。
■渓流/CRソックス
・立体裁断してあるので、足の形にフィットしやすい。
・履き心地が良い。
■モンベル/サワークライムソックス
・指が先割れしているので、タビタイプの沢靴を使う人にベストマッチ。
洗濯後はスピーディーに中と外を乾かさないと、中が非常に臭くなるので注意。
まとめ
数々の初心者を連れて行った経験から、予算に合わせて服装を選びやすいように記事を書いたつもりです。
沢登りはとても楽しいのですが、体が冷えちゃうと楽しくなくなります。
そういった悲しい出来事にならないように、せめてレインウェアとライフジャケットはそろえて貰えればいいのかなと思います。
その他、沢登りに使うギアについて書いた記事はこちらです。
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沢靴について書いた記事はこちらです。
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ではまた!