クライミング・沢登り用品の選び方

沢登りの服装のオススメを徹底解説!【フラッドラッシュのサイズ感も解説!】

沢登りは当然の事ながらずぶ濡れになります! 真夏と言えども沢の水は冷たく、女性や小柄な人、もちろん成人男性でも低体温になるリスクを含んでいます。
せっかく楽しい沢登りなのに、ブルブル身体が冷えたら楽しめませんよね・・・

■いきなり高価な装備を揃えられないという沢登り初心者の方にオススメなのは
化学繊維の重ね着+ジャージ+カッパ+ライフジャケットです!

■沢のレベルも上がって、これから本格的に沢の装備を揃える方には
ファイントラックのフラッドラッシュ+ネオプレーンベストがオススメです!

それでは具体的に見ていきましょう!

沢登りには大きく分けて二種類ある!

泳ぎが主体の沢登り
「泳げども泳げども、なお身体は温かくならざり」と石川啄木さんが言っているように、泳ぎが連続して身体が冷える沢。
身体の体温が下がるばっかりで、温まりにくい。
滝登りや沢歩きが主体の沢登り
滝を登ったり、沢を歩く事がメインの沢。泳ぎを回避する事もできる。
泳いだとしても、歩く事により体温が温かくなりやすい。

沢登りと言っても、積極的に泳ぐか泳がないかで服装が異なってきます。
どちらのタイプの沢に行くのかで、服装を選びましょう!

下着は「ファイントラック/ドライレイヤー」がオススメ

沢登りでも普通の登山でも、値段の割に効果を高く感じられ、コスパに優れているのが下着です。
沢登りでも普通の登山にもオススメなのが、ファイントラックのドライレイヤー。

▲ファイントラック/ドライレイヤー

普通の下着と違うところは、
生地に撥水性があるので、汗や外部からの水が肌に張り付きにくくなります。
結果として、水や汗に濡れたとしても肌は温かく感じます。

▲出典:ファイントラック ドライレイヤリング
https://www.finetrack.com/layering/

上の写真は、ファイントラック社の商品説明ですね。
生地に撥水性があるので、生地(ドライレイヤー)が水を弾いてくれるので肌に張り付きません。
生地はとても薄く、穴が開いているので蒸れたりとかは全然ないです。

普通の登山でも効果は絶大ですが、沢登りでもかなり効果を感じます!

▲ドライレイヤーは生地の厚みが3種類!時期によって選べます。

夏の高山はCOOL、春秋はBASIC、冬はWARM という風に、3種類発売されてます。

僕のオススメは、沢登り(冬山も)で使うならWARMです。
BASICよりも明らかに温かいです!

ドライレイヤーの唯一の弱点は、撥水性は洗濯によって落ちていくという事。
ただ、メーカーもこの弱点をもちろん知っているので
「100洗80点=100回洗濯しても、80%の撥水性能を維持する」
という超耐久撥水性を実現していますね!

ファイントラック(finetrack) ドライレイヤー ウォーム T メンズ L グラファイト(GP) FUM0522

下着の次に大事なのが「ミドルレイヤー!」

ミドルレイヤー(中間着)悩ましいですよね。ミドルレイヤーが番、沢での保温性を左右します。
僕もいろいろ試してきましたので、個人的な体感を表で表してみました!

製品名化学繊維
(ジャージなど)
フリースウェア化繊インサレーションウエアファイントラック
フラッドラッシュ
ウェットスーツ
水中での保温性×◎+
乾きやすさ×
濡れた後の保温性◎+
ゴーロや登山道での快適さ×

綿(コットンなど)は絶対にNGです。
必ず化学繊維を着ましょう。

オススメは、フラッドラッシュ+ネオプレーンです!

化学繊維は乾きやすく、重ね着である程度カバー可能!

登山用ウェアなどの化学繊維は、速乾性を謳っている物が多いです。
速乾性のある物を一枚で着ると寒いですが、
「滝登りや沢歩きが主体の沢登り」なら、化学繊維の重ね着+レインウェア+ライフジャケットで結構快適に行けちゃいます。

▲はしゃぐ小学生

沢登り初心者や、小学生と沢登りに行くときは、化学繊維の重ね着+ジャージ+カッパ+ライフジャケットを着てきてもらいます。
いきなり高価な服装を揃えられない中での、最高の組み合わせだと思います。
カッパもライフジャケットも安い物でOK!

小学生は元気なのでもっと薄着でも大丈夫そうですが(笑)
ライフジャケットは水に浮くだけじゃなく、着てるだけでもかなり温かいです!

リーフツアラーのライフジャケットは安くて作りも良いのでオススメです。浮力もOK!
ただし、サイズが合ってないとドボン(足から水に飛び込む)した時にライフジャケットがすっぽ抜けちゃう可能性があるので、サイズはしっかり合わせてくださいね!

フリースウェアは保温性があるが、濡れた後が重くてべったり。

フリースウェアはあまりオススメではありません。
水中では動きにくいし、濡れるとべったりと肌に張り付いてきて重たいです。
ジャージよりは少し保温性があるかな・・・という感じでなので、それならジャージと化学繊維を重ね着した方が良い!というのが僕の結論です。

化学繊維のインサレーションウェアを持っていないなら、もしもの時の為の保温着として持っていっても良いかなと思います!(もちろん濡らさないで!)

沢でも冬山でもオススメな「化繊インサレーションウェア」

化繊インサレーションウェアとは、簡単に言うと「化学繊維で出来たダウンウェア」のような物のことです。

ダウンは濡れると保温性が0になりますが、化繊インサレーションウェアは濡れても保温性が殆ど変わらないというスグレモノです。
本来は冬山で着る物ですが、水に強いという点から沢での保温着としても優れています!
ミドルウェアで着ていいし、もしもの時の為の保温着としても超オススメ!

▲パタゴニア/ナノパフジャケット

プリマロフトという綿上の化学繊維が入っています。
濡れても保温力を98%維持とメーカーが謳っている通り、濡れた後でも温かいです。
水中では温かみを感じませんが、水から出ると温かく、時間を置くほどに温かさが増していきます。
生地の特徴として、保水しないからですね。なので乾きも早いです。

▲マウンテンハードウェアの化繊インサレーション。中身はプリマロフトなのでナノパフと一緒。

こちらはマウンテンハードウェアの化繊インサレーション。
着て泳いで、10分ほどたった後でこのふっくら感!
見るからに温かそうですよね。万が一に備えてザックに忍ばせておくだけでも価値が有るのでオススメです!

プリマロフトは化繊インサレーションの元祖ですが、各メーカーによって同じ目的で作らた化繊インサレーションは以下の通りです!
■モンベル/エクセロフト
■アークテリクス/コアロフト
■ファイントラック/ファインポリゴン

値段の高さがネックですが、将来的にダウンに取って代わられる素材では無いかなと思います。
汗で濡れても暖かい&乾きやすいということで、冬山のインサレーションとしても大活躍!

パタゴニアはUSサイズなので、例えば日本のLを着ている人はUSのMを選ぶと良いです。
ピチッと着たい人はSでもOK!
173cm、70kgの僕で、USのMサイズで多少ゆったり。USのSサイズでぴっちり目です!

「フラッドラッシュ」は日本の沢登りの為に作られたウェア!

僕が一番オススメするミドルレイヤーは、ファイントラックのフラッドラッシュです。
ちなみに、ファイントラックは日本の会社で、日本の気候に合ったウェアやギアを妥協無く開発しています。

▲ファイントラック/上下ともフラッドラッシュ

この服を手に入れてから、沢での服装に困ることは無くなった。
値段が高く、「沢登りの為だけにこの値段か・・・」と長期間悩んだ時期もありましたが(笑)値段以上の価値があります!

水中でも温かい!というよりも、水中での体温の低下速度を緩めるといったイメージ。

▲思わぬ長い林道歩きに出会ったとしても快適。

水中での保温性だけを突き詰めれば、ネオプレーンの方が絶対に良いです。
ただ、沢登りはサーフィンなどと違って、水の中だけでなく山の中を歩くシーンも多々あるので、そのどちらにも対応する必要がありますよね。

フラッドラッシュは、水中での体温低下を防いでくれるだけじゃなく、陸に出たとしても体温が暑くなり過ぎないのがポイント。

まさに日本の気候、シーンに合った服装。

▲薪拾いしている間に乾いちゃう

乾きの早さで言えば、例えば沢泊する時に薪拾いしている間に完全に乾いちゃいます。
沢での夜がとっても快適間違いなし。
沢泊で無くても、沢から出て車に戻っている間には殆ど乾いちゃいます。


沢ではいつも上下フラッドラッシュ。暑い時でも体温調整がしやすく、単体でも着やすい!

フラッドラッシュは、水中での保温性ではネオプレーンに劣るけれど、乾きがとにかく早く、水の外に出た時の保温性と動きやすさがとても良いです!

足りない保温性は、ネオプレーンでカバーしています!

フラッドラッシュの難しいサイズ感ですが、基本的に普段来ている日本人規格の服と同じサイズでOKです。(モンベルと同じサイズ感です)

僕は、普段モンベルもファイントラックもトップスがMかL。ズボンはLを履いています。
フラッドラッシュはトップスはM。ズボンはLをチョイス。
僕は首が太いのでジッパーを上まで上げると少し苦しい感じがあるので、Lでもよかったかなと思います。(体格がMとLの間ぐらいなのでいつもどちらにしようか迷うんですよね~)
それ以外はベストマッチです!

参考にして頂ければと思います。

ウェットスーツは水中での保温性が高いが、陸ではしんどい。

ネオプレーンは、水中での保温性はぴか一です。
保温性で言えば、セパレートタイプよりもツナギタイプの方が良いですが、トイレが非常に厄介です。そして、蒸れるので帰りの林道歩きが長ければ結構キツイです。

ウェットスーツは、ピチピチゆえに陸での動きにくさ&圧倒的な蒸れ感があります。
しかも、家に帰ってからの片付けもめちゃくちゃしんどい。
そこでオススメしたいのが、ベストタイプのネオプレーン!

▲廃番ではありますが…(笑)

ベストタイプなので、身体の中心を効率よく温めてくれます。
帰りの長い林道歩きでも、ベストなのでザックの中に簡単に入れられて、あまり重くならないのもポイント!

僕が使っているモンベルのフルジップベストは廃番ですが、
渓流からはフルジップベストが出てます!

ベストタイプが気になった方は要チェック!

ハーフパンツが水中では圧倒的に動きやすい!

ズボンだと、裾に水が溜まっちゃったり、水で肌に張り付いてツッパリ感が出てとっても動きにくいです。

ハーフパンツ+タイツの組み合わせは、水がズボンに溜まらないし、とにかく動きやすい!
ズボンだと水中で裾などが抵抗を受けるので歩きにくいんですよね。

▲ファイントラック/ストームゴージュアルパインハーフパンツ

ストームゴージュアルパインパンツの特徴は、圧倒的なタフさと、使い勝手の良い大腿部のポケット!
生地に厚みがあるので、沢での酷使にも安心して使える。
速乾性とストレッチも非常に良い!

なんといっても、一番のポイントは大腿部のポケット。大きさがあるので、地図(トポ図)を収納するのにとっても便利。

▲出典:ファイントラックHP

大腿部のポケットにはキーストラップもあるので、デジカメなんかを入れても使い勝手が良いです。(長い脱落防止が必要ですが・・・)

沢登りは、意外と地図の収納場所に困るので大変助かっています!

薄いハーフパンツは多々ありますが、これだけ頑丈で信頼のできるハーフパンツは他にないのでは?と思ってます!

保温効果の高さを感じられるレインウェアを着よう!

レインウェアは、沢では必須装備とも言えます。
レインウェアが一枚あるだけで、保温性がかなり高くなります!

絶対に着た方が良いのですが、山用のレインウェアは高いですよね・・・
オススメはファイントラックのエバーブレスレグンとワークマンのレインウェアです!
今まで来たレインシェルの比較はこちら↓

■モンベル/ストームクルーザー
レインウェアの王道!
耐水圧は高いが、沢登りではどうせ濡れるのでそこまで耐水圧は必要無い。
生地にストレッチが無く、ハーネスなどをつけると動き難い。 沢ではイマイチ。

■ファイントラック/エバーブレスレグン
ファイントラックがお勧めする、沢でも使えるレインウェア。
生地が軽く、水切れも良い。生地にストレッチがあるので非常に動きやすい。
フードがヘルメット対応なので、様々なシーンで活躍する。
生地が2.5レイヤーなので丈夫。値段以外は超オススメ。

■ワークマン/レインウェア(ストレッチのあるもの)
上着だけで4千円ぐらいだった。
耐水圧は低く、撥水性能もすぐに無くなるが、どうせ濡れる沢では問題ない。
生地にストレッチがあるのでエバーブレスレグン並みに動きやすい
色も豊富。オススメ!

▲エバーブレスレグン着用。フードをしても動きやすく、滝での登攀性を高める。

エバーブレスレグンは、軽くてコンパクト。
生地は特殊2.5レイヤー。3レイヤーよりも弱そうな印象を受けますが、実際には非常に強く、水切れの良い生地です!
沢だけでなく、登山、アルパインクライミングのレインウェアとしても最高の作り!

エバーブレスレグンの2.5レイヤーは、裏地に無数の突起があります。
2.5レイヤーというのはエンボス加工と同じ原理だと思います。
無数の突起がある事で生地が丈夫になり、隙間から水が流れるので水切れが良くなります!
3レイヤーよりも軽くてコンパクトになるというメリットも。

▲出典:ファイントラックHP https://www.finetrack.com/

生地の強さと水切れの良さも、しっかりとデータで示してくれていますね!
水切れが良いので乾きも早い!

▲出典:ファイントラックHP
https://www.finetrack.com/

特にオススメなのが、このベンチレーターの位置ですね!
脇下にベンチレーションがある物が多いです。脇の下に熱がこもりやすいので位置としては良いのですが、開け閉めがし難いのがデメリットです。
ザックを背負っているとなおさらですね。

ファイントラックはザックを背負った状態でもベンチレーションを開け閉めしやすいです!

沢登り、アルパインクライミングはもちろん。
普通の登山にもとってもオススメです!

グローブもこだわっちゃいましょう!

沢でのグローブは、初心者なら軍手でもOKです。
ただ、軍手のデメリットとして、カラビナなどを触った時に滑りやすいというデメリットがあります。(体感)

僕のオススメは、渓流(キャラバン)のグローブです!

今まで使ってきたのはこの4種類。

■ホームセンターのゴムグローブ
→コスパが良い。指先を切れば万能。洗濯の度にベトベトしてくるのが難点。

■渓流のグローブ
→縫い目が少し弱いけれど、一番オススメ

■ファイントラック/パドルグローブ(指先切っちゃいました)
→泳ぎの苦手な人には良い。カラビナを使おうとすると、指先のヒレの部分がカラビナなどにとにかく引っ掛かる。泳ぎ専門グローブ。

■モンベル/ストリームグローブ
→耐久性が抜群。脱着もしやすい。木を掴むとちょっと滑る。

渓流のキャラバンのグローブは、手の甲には保温性の良い発砲ラバーを使っており、温かい。
あまり掴みたくない場所ではフルグローブで。
ここぞという時の登りでは指を出せるのが良い!

手のひらが革なので、木を掴んだ時のフリクションがとても良い!
高巻きの時などに安心感があるので、結局これに落ち着きました!

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ネオプレーンと革部分の縫い目が少し弱く感じますが、使用には問題ないレベルです!

ズボン派の人は併用したいスパッツ

ズボンで沢登りに行くと、裾に水が溜まっちゃって水から出た直後なんかは足が重くなったりします。
水の中でも、裾のあたりが水流を受けて歩きにくさを感じます。

そんなときに役に立つのがスパッツ!

▲モンベル/ストリームレッグガード

スパッツはこれしか使ったことないです。
値段が高いですが、パンチング(細かい穴が開いている)してあるので水抜けが良い。
かれこれ10年?近く使っていると思いますが、補修しながらもまだ使えているのでお気に入りです!

靴下はネオプレーンがオススメ!

最初は登山で使っている靴下で大丈夫!
なのですが、お財布に余裕が出てきたらならばネオプレーンがオススメです。

ネオプレーン製の靴下は、保温性があるというだけでなく、水に濡れてもクッションがあるというのがポイント。
普通の靴下だと、水に濡れるとクッションが0になっちゃうので、帰りの長い林道歩きが結構大変です。
ネオプレーンは足がふやけますが、最初から最後まで足の疲労を軽減してくれます!

■渓流/CRソックス
→立体裁断してあるので、足の形に良く沿ってくれます

■モンベル/サワークライムソックス
→指が先割れしているので、タビタイプの沢靴を使う人にベストマッチ!

洗濯後はスピーディーに中と外を乾かさないと非常に臭くなるので注意。

出来れば沢靴と一緒に購入しちゃいたいですね!
沢靴の選び方はこちらの記事をどうぞ!

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岩と沢さん
元登山ガイドステージⅡ・元登山用品店のショップ店員だった僕。 主にクライミングギアとアルパイン向けの服の販売をしてました。8年間務めた公務員を退職し、長年の夢だった海外登山を果すほどの登山愛好家。 お問合せなどお待ちしております!