【ハーファングアルパイン】をバリエーションで使ってみて分かったこと。【12本爪アイゼン】
「12本爪アイゼンは、とにかく重くてかさばる。どうにかしたい!」
と考えたことはありませんか?
各社さまざまなアイゼンを発売していますが、どれも重さや収納サイズはあまり変わりません。
ただ一つを除いては・・・
それが、2022年に発売されたばかりの「ハーファング アルパイン」です。
本記事では、
「初心者から中級者まで問わず、圧倒的に軽く・コンパクトで・機能に妥協のない12本爪アイゼンを探している方」に向けて、ブルーアイスのハーファングアルパインをレビューしています。
■12本爪アイゼンの中では、間違いなく一番軽くてコンパクト。
■通常の歩行から、本格的な登攀までこなせる機能。
■12本爪アイゼンを探しているすべての人にオススメ。
■唯一のデメリットはサイズ調整が少しだけ面倒。
すぐにでも、これまでになかった「軽くてコンパクトで実用性のある12本爪アイゼンが欲しい方」はこちら!
僕は購入が速かったので「値上がりの前の安い値段」で売っているネットショップを見つけることが出来ました。
ブルーアイスとは、本場フランス生まれのクライミングギアメーカー
■ブルーアイスとは
2008年、アルパインクライミングの本場であるフランスはシャモニーで創設された登山用品メーカーです。
「プロフェッショナルによる製品開発」「革新的商品」「環境配慮」を3つの柱としています。
今回ご紹介するハーファングアルパインも、まさに「革新的商品」と言えます。
軽くてコンパクトな12本爪アイゼンが良い理由と具体例
雪山では、夏山に比べて荷物は増えてしまう傾向があります。
なので、できれば軽くてコンパクトな物を慎重に選びたいです。
■なぜ雪山は荷物が増えるのか
■コンパクトなアイゼンだとどう良いのか
具体的にみていきましょう。
雪山では荷物が増えてしまう理由
夏山では必要ないけど、雪山では必要な道具があります。
それを以下の表にまとめてみました。
(重量は、超上級者向けのギアを取り除き、実在するギアを参考にしています)
■スノーシュー or ワカン 重量:700g~2kg
■ピッケル 重量:212g~348g
■ストック 重量190g~352g
■12本爪アイゼン 重量:872g~1020g
■スコップ 重量:522g~720g
■防寒着
■登山靴も冬山向けの物は重くなる
中には、山によっては持って行かない道具もあります。
しかし、行ける雪山の範囲を広げたい場合は、上の道具はほぼ必需品ではないでしょうか。
12本爪アイゼンをお探しの方はある程度の山に行かれると思います。
そうなると、雪山では重量が増えてしまうのは当然ともいえます。
コンパクトなアイゼンだと、ザックの収納場所に困らない。
雪山では荷物が増えてしまう事が分かりました。
当然、普段お使いのザックの容量がどんどんと埋められていくわけですよね。
アイゼンは登山靴に付けていると荷物にはなりません。
しかし、アイゼンを使わない時にザックの中に入れておくと、意外と大きい荷物だと感じる事がありませんか?
ザックに外付のアイゼンポケットなどが有ると外付けもしやすいです。
しかし、ワカンやスコップなど、更に荷物が増えるとアイゼンはザックの中に収納しがちでは無いでしょうか。
アイゼンを落としてしまうリスクを考えた時にも、なるべくアイゼンはザックの中に入れておきたい時も有ります。
そういった時に、このコンパクトさは武器になります。
ハーファングアルパインは、従来のアイゼンと比べてこんなにもコンパクトで軽量!
片方ですが、非常に軽いのが分かります。
他の代表的なアイゼンとの重量の違いをテーブルで表してみます。
ブランド/商品名 | 重量(ペア) |
---|---|
ブルーアイス/ハーファングアルパイン | 623g |
グリベル/エアーテックEVO・ニューマチック | 872g |
ブラックダイヤモンド/セラッククリップ | 905g |
ペツル/バサック | 872g |
グリベル/エアーテックEVOオートマチック | 886g |
ブラックダイヤモンド/セイバートゥースプロ | 890g |
ペツル/リンクス | 1020g |
収納サイズは約半分。
従来のアイゼンはセンターパーツが金属だったのでコンパクトにはなりません。
ハーファングはセンターパーツが自由に動くので、コンパクトに収納することが出来ます。
実際にフィールドでテストして、バリエーションで使ってみました。
情報の無いアイゼンですから、ちょっとした不安もありました。
しかし、いざ使ってみると想像以上に良かったです。
アイスクライミング以外では他のアイゼンに戻れない気がします。
八ヶ岳の一般登山道でも、安心して登って降りることが出来る。
赤岳の文三郎の下りは、渋滞が出来るほど急な斜面もあります。
そこでも、アイゼンの歯がよく決まるので安心して降りる事ができました。
阿弥陀岳での下りでは、急な斜面の岩場があります。
そちらも、時には後ろを向いて前歯を効かせながらキックステップで降りました。
2本目のアイゼンが少し攻撃的なので、安心して降りることができました。
ちなみに、僕が使っているサングラスはJULBOのTREK。
ブルーアイスと同じフランスのメーカーでおすすめです。
レビュー記事はこちらをクリック
バリエーションも登れる、確かな機能性
今回は「赤岳主稜」「阿弥陀岳北西稜」を登ってきました。
※クリックで拡大できます。
バリエーションでは、一般道よりも酷使した使い方となりました。
■前爪だけに体重を預けて立ちこんだり、
■硬い草付きには強力なキックステップで蹴り込んだり、
■より、フラットフィッティングで全部の歯を効かせたり。
サイズ調整さえしっかりできていれば、文句なしの使い心地でした。
なんといっても、足が軽くなる(片足だけで100g)のも良かったです。
バリエーションを登るなら、サイズ調整はシビアにしたほうがいい。
唯一の欠点は、最初のサイズ調整がややシビアであること。
説明書にも書いてありますが、
サイズ調整をして最初の使用では、折り返し部分に圧がかかって少し緩む可能性があります。
手で触ったぐらいで前コバに隙間が出来るようでは、少しずれる可能性があります。
僕がそうでした。かたい草付きに蹴り込むと少しズレてしまいました。
上の写真ぐらいなら、普通に登山道を歩くぐらいなら全く問題はありません。
サイズ調整をして初めて使う場合は、土の上などで少し歩いてみてみると良いですね。
最初の調整さえしっかりしてしまえば、2回目からは調整をする必要はありません。
具体的に細かなパーツを見てみる
軽くてコンパクトな事は分かりました。
他のこだわりのパーツを見ていきましょう。
クロモリの歯なので耐久性と信頼性がある
クロモリと呼ばれる、トップクラスの耐久性を誇る金属が使われています。
耐久性で定評のあるグリベルのアイゼンと同じになります。
クロモリのデメリットはやや重い事です。
しかし、ハーファングアルパインはそのデメリットを見事に打ち消しています。
ストラップは外れにくく、装着しやすいこだわった形
非常にスムーズに脱着が出来るストラップです。
締めるのも、緩めるのもワンステップなので非常に簡単。
最大の特徴は、オス側(青いパーツのこと)が山型になっていることです。
こうすることにより「緩みにくく、外れにくく」なっています。
今シーズンは4回の山(計6日間)で使用しましたが、一度も外れず、緩んでもいません。
パーツが初めから付属しているので、さまざまな登山靴に合わせやすい
ソールが硬い、最低でもカカト側にコバがあればほとんどの登山靴に装着できます。
フロント側はコバの有り・無し両方に対応することができます。
※ソールが柔らかい、コバの無い靴には不適です。
初心者にも、中級者にも使いやすい歯の長さ
僕がいつもこだわっているのは、歯の形状。
歯が長いバサックと比べると、ハーファングアルパインは以下の特徴があります。
■全体的にはバサックよりやや短め。
■急斜面にも対応する2本目の歯。
■2本目の歯は少しだけ攻撃的。
以上の事から、
・深い雪でも安心して歯が食い込んでくれる。
・急斜面でも2本目の歯が登りをサポートしてくれる。
・2本目の歯を足に引っかけにくく、初心者にもやさしい。
という事が分かります。
詳しくはこちらのブログで、12本爪アイゼンの特徴をまとめています。
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まとめ
さて、長くなってきたのでまとめます。
ハーファングアルパインが核心的アイゼンであるポイントは以下の通りです。
①耐久性のある歯を使っている(アルミではない)12本爪アイゼンの中では断トツの軽さ。
②他の12本爪アイゼンと比べると、約半分になるコンパクトさ。
③初心者でも、歯を引っかけにくい歯の長さになっているので歩きやすい。
④中級者以上でも、バリエーションで使える機能性。
唯一のデメリットは「最初のサイズ調整だけややシビア」だということでした。
ブルーアイスの輸入代理店のケンコー社さんも、このあたりには力を入れています。
独自の説明書が付属しているので「英語の説明書で勝手にやってくれ」なんてことはありません。
この説明書と、僕のこの記事があれば、ほぼ間違いないでしょう。
ちなみに、動画もあるので大変分かりやすいです。
最近値上がりしましたね。
僕は、幸いにも値上がり前の値段で売っているショップを楽天で見つけれました。
そういったショップを探すのも手かと思います。
同じハーファングシリーズで10本爪も出ています。
こちらは、残雪期やスキーにとてもオススメ。
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ではまた!