【ブルーアイス・ハーファング】残雪期やBCに最適な|裏技的な使い方まで解説

「バックカントリーや残雪期では念のためアイゼンを持っていきたいけど、12本爪は重くてかさばる。」そんな時に最適な選択肢となるのが、10本爪です。
10本爪といっても、種類はさまざまです。何を選べばよいのか、種類が多すぎて困る事もあります。本記事では「BCや残雪期に持って行く、12本爪よりもコンパクトで軽い10本爪アイゼンをお探しの方」に向けてブルーアイスのハーファング」をレビューします。
■コンパクトで軽量。
■歯が分離しているので3シーズン登山靴にも合わせやすい。
■装着がとにかく簡単。
■一度サイズ調整をしてしまえば、2回目からは必要なし。
■コンパクトさ重視の人には、オールクロモリがおすすめ。
■デメリットは、コバの無い靴には対応しないこと。
すぐにでも詳細が知りたいかたはこちらからどうぞ。

ブルーアイスとは、本場フランス生まれのクライミングギアメーカー

■ブルーアイスとは
2008年、アルパインクライミングの本場であるフランスはシャモニーで創設された登山用品メーカーです。「プロフェッショナルによる製品開発」「革新的商品」「環境配慮」を3つの柱としています。
ゴールデンウィークの立山BCでテストしてきました



まさに、10本爪アイゼンが役立ちそうなシーンでテストしてきました。
「ブルーアイス/ハーファング」が良い理由
コンパクトな10本爪の代表といえば、ペツルの「イルビス ハイブリッド」「レオパード」です。イルビス ハイブリッドはコードが紐なので耐久性が低い点や、コードが外れやすいといった課題がありました。
ハーファングは耐久性があり、外れにくいです。詳しく見ていきましょう。
ペツルの「レオパード」「イルビスハイブリッド」と「ハーファング」を比較



ペツルでも同様の製品は出ており、ハーファングと同じように「10本爪でコンパクトで軽い」です。ハーファングとの比較は、以下のとおりです。
イルビス ハイブリッド | ハーファング | ハーファング エンデューロ | |
---|---|---|---|
重量 | 570g | 419g | 581g |
歯の特徴 | 6本の歯がクロモリ。 残りの4本はアルミ。 | 4つの歯がクロモリ。 残りの6本はアルミ。 | 10本全ての歯がクロモリ |
その他の特徴 | 別売りのオプションを購入すれば、コバの無い靴にも装着可能。 | 一番大事ともいえるフロントの4本がクロモリ。 | すべての歯がクロモリで安心の耐久性。 |
センターパーツ | 紐タイプ | ウェビングタイプ | ウェビングタイプ |


レオパード | ハーファング ツアー | |
---|---|---|
重量 | 384g | 360g |
特徴 | ・コバの無い靴にも装着可能 ・アンチスノー無し。 | コバの無い靴には使用できない |
どちらもスペック的にはあまり差が無いのが分かります。ペツルはオプションを購入すると、コバの無い靴にも装着が可能です。ただし、コバの無い靴はソールが柔らかい物が多いので、アイゼンはどうしても外れやすくなると思います。
(ハーファングの説明書にも、ソールの柔らかい靴には装着できないと書いてあります。)
ハーファングは使用シーンに合わせて選べる



出展:ケンコー社HP(https://kenkosya.com/)
ハーファングは「エンデューロ・ツアー・ハーファング」の3バリエーションが販売されてます。(アルパインは12本爪なので除外)違いは、歯がクロモリかアルミかだけです。それぞれの特徴は以下のとおりです。
- アルミより35%ほど重い
- 圧倒的耐久性!積極的に岩の上を踏んでも長く愛用できる
- 摩耗した歯は研ぐことができる
- 歯を研ぐのに労力と時間がかかる
- クロモリより35%ほど軽い
- 耐久性はほぼ無し。岩の上を歩くとすぐに歯が丸くなる
- 歯を研ぐのはとても簡単。
クロモリはアルミより重いが耐久性がある。
アルミは軽いがすぐに歯が丸くなる。
雪の上しかあるかない人はアルミでも十分良いです。岩の上なども歩く可能性のある人にはクロモリのほうが安心できます。大事なのはフロント側の歯ですから、そこだけクロモリでも十分な場合もあります。僕は、普段遊ぶフィールドの残雪期は雪と岩が混じっている場合が多いのでエンデューロを選択しました。

※ハーファングアルパインのレビュー記事はこちらです。厳冬期の登山にはこちらがオススメです。クリックで別タブで開きます。
パーツ販売でカスタマイズできる

アルミやクロモリの歯を交換できるように、パーツ販売されています。がっつり使いたい方はクロモリの歯、軽さを優先したい場合はアルミの歯といった使い方ができます。これは嬉しいですね!
ハーファングは手のひらに収まるほどのコンパクトさ



手のひらサイズで非常にコンパクトです。12本爪のように、使わないときは無駄にザックの容量をとる荷物とはならないのが嬉しいポイントです。

ブルーアイスのハーファングは、初めからトゥーベイルとトゥーバスケット(ペツルでいうフィルフレックス)の両方が付属しています。ワンタッチかセミワンタッチ、両方に対応可能です。
さまざまな登山靴での相性をチェックしてみました

今回は僕の登山靴(26.5cm)だけでなく、妻の登山靴(25.5cm)でも試してみました
3シーズンの登山靴と相性の良い理由


3シーズンの靴は、歩きやすいようにつま先側が上に反っているものが多いです。写真では、ちゃんとソールに沿うようにアイゼンが装着できているのが分かりますね。冬靴はソールが真っすぐな物が多いので、心配しなくても大丈夫です。
冬靴ももちろん問題なく装着可能


もちろん、普通の冬靴にも問題なく装着可能です。
テレマークブーツは少しだけ注意が必要。


75mmのテレマークブーツは、ベイル幅が小さいので微妙に合いません。付けることは出来ますが、これで歩いたり蹴りこむと外れそうな感じで少し不安です。



NTNのスキーブーツ(テレマーク)もコバが大きいのでベイルが上手いことフィットしませんでした。スキーブーツが古い物だからだとは思います。バンド式にすると、普通に歩くのは問題なさそうです。

詳しくはこちらが参考になります。やはり、基本的にテレマークブーツとは相性が悪いようです。
裏技で他メーカーのパーツを流用可能です。


というわけで、ここからは完全自己責任でお願いします。他メーカーのトゥーベイルが見事にジャストフィットしました。



実際に、グリベルのトゥーベイルを装着して使ってきました。外れる気配は無かったです。前爪だけで岩に乗ったりと、アルパインな動きも試してみましたが全然外れる気配はありませんでした。他のブログでこの方法を発信している方も居ますが、自己責任でお願いしますね。



ちなみに、グリベルのトゥーベイルはナロータイプとワイドタイプがあります。サイズの小さい靴はナロータイプが良いですね。
まとめ


ハーファングは、目的に合わせて3つのバリエーションから選べます。それぞれ、僕のオススメする使用シーンをまとめてみました。
■ハーファング(前4本がクロモリ)
・雪が多めの残雪期トレッキングやBCスキーにオススメ
■ハーファング ツアー(全ての歯がアルミ)
・雪の多い時期の簡単なBCスキーにオススメ。
■ハーファング エンデューロ(全ての歯がクロモリ)
・雪の少ない残雪期トレッキングやBCスキー&雪の多い登山やBCスキーにオススメ。
特に僕のオススメは「ハーファング」と「エンデューロ」です。BCに限らず、山を選べば厳冬期でも全然使えます。「ツアー」はやや経験の豊富な方向けだと思います。

パーツ販売されているので、どちらを選んでも後で交換可能です。エンデューロが安いので、先ずはそちらをおすすめします。


ではまた!