八ヶ岳
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【阿弥陀岳/北西稜】難易度やトポ図、必要な装備などを詳しく解説!

岩と沢さん
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阿弥陀岳北西稜は、八ヶ岳の中でも難しいバリエーションです。難しいのは最後の1~2ピッチかと思います。グレードは、昔のトポ図には2級と紹介されています。僕の個人的な、クライミングだけの体感グレードは難しいところでA0してⅣ級+ぐらいです。フリークライミングだとデシマル5.8ぐらいかと思います。冬季なので、あくまでも参考程度にして頂ければと思います。

八ヶ岳で一番簡単な阿弥陀岳北稜は1級下です。赤岳主稜が1級、中山尾根が2級、小同心クラックが2級下なので、参考にして頂ければと思います。

コースタイム

6:27行者小屋発→6:36阿弥陀岳北西稜へのアプローチ入口→9:30最初のリッジ→11:15上部岸壁取り付き→13:30上部岸壁3p目取り付き→14:40上部の岩場→16:00阿弥陀岳山頂→17:00行者小屋

使用ギア(予備含む)

60mのダブルロープ×2、アルパインヌンチャク×8、ヌンチャク×4、キャメロット(No3~0.5まで1セット)、アブミ×1、ハーケン×2、イボイノシシ×2

※イボイノシシが非常に有効だった

全体図&アプローチ、トポ図

ナイフのように急なリッジが続く尾根。写真のところまで来ると、迷うことなく登れると思います。

▲出典:国土地理院ウェイブサイト、地理院タイルにログを追記、加工して作成

アプローチの概要です。上の全体図の写真は、図中の緑〇から撮った写真です。青〇で登山道と分かれますが、ピンクテープがあるので分かりやすいです。(あとで写真載せます)

トポ図

▲全体のトポ図。

1~3Pは、人によってはロープを出さないかもしれませんが、僕たちはロープを出しました。2Pの第一岩稜は落ちるとやばいのでロープを出してもいいのと思います。

▲上部岸壁部のトポ。核心は上部岸壁です。

登攀記録

行者小屋から取り付きまで

前日は行者小屋にテント泊。行者小屋は1人1泊2000円。トイレと水場があります。テント代は、赤岳鉱泉からやってきた人がテントの写真を撮ってお金を回収する方式でした。行者小屋から数分歩くとピンクテープの付いた分かれ道につきます。

前日雪が降ったことも有り、樹林帯を抜けてからのラッセルに思わぬ時間をとられました。

前日、トレースがあるのを確認していましたが、樹林帯の途中で途切れていました。上部岸壁でも、雪の為思っていたよりも時間が掛かってしまいました。時間短縮を考えるならここの為だけにワカンを持って来ても良かったかもと思いました。

1p 簡単なナイフリッジをトラバースする

尾根に到着。途中でロープを出すのもリスクだと思うけれど、初めから2本もいらないだろうということでロープを1本だけ繋いで登攀開始。

支点は見つからず、コンテでリッジをトラバースします。難しくは無いし、すぐ下に木があるのでなんだか安心です。

2p 第一岩壁はロープを出しておいてもいい

簡単なトラバースをしていると、雪稜のような、岩壁のようなところにあたりました。支点は見当たりませんでしたが、とりあえずスタカットに切り替えます。岩壁っぽいところをトラバースします。

すぐに、斜度の強い岩と雪がミックスした所に出ました。木で支点をとりつつ、雪稜を登ります。難しくは無いですが、落ちれないやつです。

途中で念のためイボイノシシを使用しました。再び尾根上に出た所でハンガー×1があるので、ここでピッチをきりました。

3p 簡単な雪稜の歩き

ここはただの歩きです。

上部岸壁の基部にいくとハンガー×2があります。

上部岸壁1p目 岩と雪のミックス

1個前の写真のところから、右に回り込むように登ります。

最初の出だしにハーケンが一つありました。

これは上から撮った写真。リードは、ルートが分からず、支点も見つからず緊張したようです。最初は数m岩登りですが、中段あたりから快適な草付きとなります。写真の赤いロープが掛かっているところでイボイノシシを使用。終了点は見つけられず、岩にスリング&キャメロットで構築しました。

陽があたらなくなり、寒い。僕のヘルメットカメラはほとんど機能しなくなる。泣

上部岸壁2p目 ルンゼを詰める

1p終了点から右手のルンゼを登ります。支点が見つからず不安だったので、1ピン目を小さめのカムで固め取りしました。雪を払いのけながら登ると、意外と岩が安定していそうなことに気が付く。数m登ってランナウトしてきたところで、左の岩壁にハーケンを打ち込みました。

その後すぐに残置ハーケンが見つかったので、ルートが合っていそうだと安心です。10mほど登ると、尾根上に終了点と残置スリングが見えました。ルンゼ内のクライミング自体はそこまで難しくは無いですが、支点が見つからなかったので緊張しました。

尾根にあがったところにハーケンがあり、すぐにハンガー×2の終了点があります。

終了点でフォローを迎える。

上部岸壁3p目 核心のハングしたクラック

終了点から右にトラバースします。岩にスリングを巻いて中間支点としました。すぐにハンガー×1が見つかりました。ここから垂直の登りとなります。

ハンガーとハーケンで支点をとって、垂直となった壁を登ります。アブミをかけたハーケンまでランナウトしていたので怖かったです。もしかしたら支点を見つけられなかっただけかも?写真にも写ってますが、右手にハンガーがあります(気づきませんでした)

クラックはハンドジャムのバチ効きサイズですが、グローブをしていると滑る気がして、早々にカムエイド&アブミ登攀に切り替えました。クラック内には残置カムが2つほどありますが、奥に入りすぎているため使いづらいです。

写真のハングをカムエイド&アブミ&若干のハンドジャムで越えます。ついついクラックしか目に入らなくなるが、隣の岩にハンガーもあります。

抜け口はアックスがきまりにくいです。クラックの最後の方はフィストサイズがバチ効きだったので、フィストを効かせてクラックにフットジャムを決めて登りました。キャメロットNo3も決まります。

左の岩はフットホールドが豊富で斜度も寝ているので、そこまで足が上がると安心でした。

終了点はハンガー×2

上部岸壁4p

奥の雪稜は簡単そうですが、手前の岩が少し気になりました。時間も押してきていたのでロープを外そうか迷いましたが、結果的に、まだコンテで行って正解でした。

写真中央の岩は雪が付いていたのでリードは緊張したみたいだ。リングボルト×2があり、更にその奥にハンガーがたしかあったので、そこでピッチをきった。記憶があいまいです。

さらに60mロープをいっぱい伸ばして岩の基部にたどり着く。そこでアックスビレイをしてフォローを迎え、ロープを外す。あとは、写真の雪稜を上り詰めると、縦走路に出ます。

あとは少し歩くと、阿弥陀岳の山頂に到着します!

今回使用したギア

ルーアイス/ハーファングアルパイン

▲ブルーアイスのハーファングアルパインを使用

今回、12本爪アイゼンとしては断トツで軽く、断トツでコンパクトになる「ブルーアイス/ハーファング アルパイン」を使用しました。今後のニュースタンダードになりそうなアイゼンです。カッコイイですしね!

詳しくはこちらのブログをご覧ください。※クリックで別タブで開きます。

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ベアール/コブラ

クライミングロープはベアールのコブラです。UIAA基準の撥水加工がしてあるにも関わらず、値段が安くて良く伸びるので支点に優しい。アルパイン向けのダブルロープです。今回も雪の付着が少なく、安心して使えました。

詳しくはこちらのブログをご覧ください。※クリックで別タブで開きます。

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ブラックダイヤモンド/エンフォーサー

グローブは「ブラックダイヤモンド/エンフォーサー」を使用。ブラックダイヤモンドのアイスクライミング用グローブシリーズの中で一番温かいグローブです。カラビナ操作、ロープ操作、アックスの持ちやすさはソロイストよりも扱いやすいです。僕はサイズMを使用。

寒さに関しては個人差が大きいので何とも言えませんが、僕の経験から言うと、グローブを良くするよりも血行を改善したほうが効果が大きいです。(血行の悪い人に限ります)

僕は血行が悪くいろいろ試しましたが、薬剤師さんにも話を聞くとキューピーコーワゴールドが一番いいとの事。3シーズンぐらい、秋ぐらいからこれを毎日飲むようにしていますが、かなり効果があります。血行の悪い自覚のある方にはお勧めです。

ではまた!

この記事を書いた人
岩と沢さん
岩と沢さん
この記事を書いた人
■JSPO山岳コーチ2
■JSPOクライミングコーチ1
■元登山ガイドステージⅡ
■元登山用品店のショップ店員だった僕。
■WEBライターとしても活躍中

山に登る事と、新しいギアを山で試すことが好きです。
ライターの仕事依頼、お待ちしております!
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