広島県【三倉岳クライミング】中ノ岳岩稜などのマルチ&ショートルートのご紹介!

岩と沢さん
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広島県の三倉岳は、クラック・ワイド・チムニー・スラブが主体の岩場です。
開拓はグラウンドアップによって行われており、必要以上なボルトが打たれていないことで有名です。
スラブではランナウトに耐えて、ややフレアーしたワイドを登り、支点の取れないチムニーを攀じ登る・・・グレード以上に難しく感じる、それが三倉だと思います。

未だに初めて取り付くルートにはかなり緊張させられる岩場ですが、ルートの質はどれも高いです。

中でも、中ノ岳稜線ルート(中ノ岳岩稜)は秀逸で、自分の力量に合わせてルートを変えることも出来るし、頂上にトップアウトできるとても気持ちの良いルートだと思うので、ぜひ登ってみてはいかがでしょうか。

この記事で分かる事
  1. アクセス・ビジターセンターに関して
  2. キャンプ場と近くの温泉について
  3. 岩場へのアプローチ概念図
  4. 三倉岳の入門的マルチ「中ノ岳稜線ルート」
  5. クラック&ナチュプロ主体マルチ「上ノ岳右ルート」
  6. 綺麗なハンドクラックを楽しめる「ナビーラ」
  7. 5.7のショートルート
  8. 5.8のショートルート
  9. 5.9のショートルート
  10. 5.10aのショートルート
  11. 三倉に持っていきたいクライミングギア

アクセス・ビジターセンターに関して

三倉岳ビジターセンターを目指しましょう。

砂場の広場が駐車場になります。
ビジターセンターでは入山届を出したり、キャンプの受付を行ってくれます。自動販売機はありませんが、中でペットボトル飲料が売ってあります。
食べ物は売ってないので買ってきましょう。
トポ図も販売しているので、こちらで購入しましょう!

トイレは下の駐車場のトイレか、少し下って登坂の途中にあるトイレを利用しましょう。
どちらも新しく、非常にきれいなトイレです。

令和5年4月に三倉ビジターセンター(キャンプ場も)を管理していた方が変わり、色々と事情も変わりました。

・以前は夕方5時頃になるとビジターセンターへ上がる道路に鎖が張られましたが、今は張られることがなくなりました。
・キャンプ場のテントサイトにはしっかりと番号が振られ、どこが空いているかも確認しやすくなりました。(利用料金は変わらず0円)
・「三倉岳クライミングガイド」を発行されている方が管理人です。

初めて訪れるクライマーは安心してクライミングの事を聞くことが出来ますね!

キャンプ場と近くの温泉について

テントサイトは非常によく整備されています!
どこのサイトも基本的には木のテーブルとイスが備え付けてあるので、持っていく必要は無さそうです。
テントサイトはファミリーキャンパーも、クライマーにも必要十分なサイズ感です。

トイレはキャンプ場内にはありません。
車も乗り入れは出来ないので、どこのサイトが良いかはしっかり考えたほうがよさそうです。
週末には岩国米軍基地の軍人さん(恐らく)もたくさん利用されています。

岩場へのアプローチ概念図

引用:クライミングネット(https://www.climbing-net.com/iwaba_detail/%E4%B8%89%E5%80%89%E5%B2%B3/)

大まかな概念図はこちらが分かりやすいです。
一番下の休憩所と書かれてある小屋の部分が駐車場ですね。

分かりやすくしてみました。
青い破線が登山道です(だいぶ大雑把なので注意です)

登山道には、看板がポイント毎にあるので非常に分かりやすいです。
源助崩れや中ノ岳の岩場などには登山道を外れてアプローチする必要がありますが、上の概念図通りに〇合目の看板を頼りにいくと良いです。

三倉岳の入門的マルチ「中ノ岳稜線ルート」


中ノ岳稜線ルートは、名前の通り中ノ岳の岩の稜線を登るルートです。
ルートの中にグレードの高いところ、低いところが混在しているので、グレードを選んで登ることが出来ます。
僕は10回以上は登っていますが、なんと言っても中ノ岳山頂にトップアウトできるので、非常に気持ちの良いルートです!

■ピッチ数:7Pぐらい
■グレード:3級~10b
(トポでは、簡単なルートを選ぶと一番難しい箇所で5.8です。)
■所要時間:慣れていないと4時間ぐらい。
■最低限のギア類:40m以上のロープ、カム1セット(0.5~5番)、120cmスリング、ヌンチャク

※これから掲載する写真の日時はバラバラですが、場所は合っているようにトポ図と見比べながら掲載していきます。

トポ図を見たい方は、Rock&Snow90号にも載っています。

取り付きまでのアプローチ

登山道Bコースを七合目の看板まで登ります。
看板から数分さらに登山道を歩くと、右手に青白ハング、左手に門前払いの岩場が見えてきます。

門前払いの目の前を通り、斜面を登ります。
門前払いには取り付く人が多いので、ここで道を聞いてみてもいいかもしれません。

チムニーを登って左の岩に乗り移ったところが取り付きになります。
岩に乗り移った所にボルトがあってセルフビレイをとれるようになっていますが、結構怖いです。
ギア類とハーネスはここに来る前に予め装着しておいたほうが良いです。

1p:5.6 いきなり三倉らしい登り

取り付きからチムニーを大きくまたいで対岸の岩に乗り移ります。
乗り移るときに少し緊張します。すぐにカムをセットできるので、ロープの流れに注意してセットすると良いかも。
最初のボルトから終了点までボルトは無いので、チムニー内などに積極的にカムをセットして登ります。

※取り付きのチムニーを登らず、右の岩からも登ることができます。
そちらは10bと5.8のルートです。

2p:5.1 ほぼ歩き

2p目を登る

2Pは、傾斜の寝たクラックです。木にスリングを巻いてプロテクションをとって登ります。

3P:3つのルートを選べる。5.2・10a・5.7

3pは3つのルートに分かれる

3p目は、3つのルートに分かれます。
ボルトの終了点は写真右側の白い服を着た人が居るところにあります。

左から、5.2のルートです。
グレードは一番低いですが、最後のスラブではプロテクションが取れず、落ちるとかなり落ちちゃうので結構緊張します。

真ん中のルートは5.10aのスラブです。
ボルトはありますが三倉の10aは侮れません。

右のルートが一般的な5.8のルートです。
2本縦に連なったクラックを登ります。クラックにはボルトがなく、カムをセットして登ります。

↑一番右のダブルクラックを登る。
上部にいくほどプロテクションが取りづらくなるため緊張する。

4p:4級 ほぼ歩き。ボルダーも行こうと思えば楽しめる

4pを登る

4pはほぼ歩きです。
ボルダーのように張り出した岩を登ったりすると結構難しいですが、簡単に迂回できます。

5p:5.8、A1(11a) 人工ルートか、迂回ルートか

人工ルートを登る A1(11a)

5p目。傾斜が少しあるチムニーを登ります。
ここは木の根っこにスリングを巻いたり、カムをセットして登ります。
チムニーが終わると、目の前にボルトとハーケンが見えます。
ここを直上すると、難しい人工の登りになります。(フリーは11a)
抜け口のスラブもかなり嫌らしい。

岩を登りきると、懸垂下降で基部まで降ります。

迂回ルートを登る 5.8

迂回ルートは、スラブとクラックが主体。
ボルトはあるがいやらしいスラブ→ハンドジャムのトラバース。人工になれていないなら、人工ルートよりは簡単で面白いと思う。

どちらも岩の基部で合流する

人工ルートを行けば、岩の基部に懸垂をする必要がある。人工を行かずに右にトラバースすると、写真の箇所まで行くことが出来る。

上の写真の岩の基部まで行けば、ここから2つにルートは分かれる。
左に、ワイドな水平クラックを回り込むようにいけば5.6のチムニー。

そちらには行かずにボルトのある方に行けば10cのスラブ。過去に一度登った時は、人工で無理やり登った記憶があります。(Rock&Snowのトポによると、5.8らしいです。ルートの選び方次第かも)

6p:5.6のチムニー or 5.8のスラブ

服がボロボロになるチムニールート 5.6

チムニーは馴れていないとかなり体力を消耗させられます。
支点もほぼ取れないので緊張します。
服やザックはボロボロになるかもしれないので、やはり5.8のフェースに行ったほうが良いかも。

1ポイントの人工を楽しんでスラブルート 5.8(A0)

チムニーには行かずに5.8のルートを登る

上の写真はチムニーには行かずに、ボルトに導かれるようにスラブのルートを登る写真です。
それなりにガバがあるので難しくは無いですが、リーチは長い方が有利な感じのルートです。

このポイントがフリーだと難しい。人工でも乗り込みに緊張します。

大きな松の木で合流する


5.6のチムニー、5.8のスラブを最後まで登ると、上の写真の場所にたどり着きます。(ロープの長さと相談してください)

7p:5.8 最終ピッチ!

いよいよ最後のピッチです。
いきなりワイドのクラックから始まります。5番カムが甘く決まるぐらいなので緊張します。

ワイドを登るとルートに少し迷いますが、ボルトに導かれて水平クラックをトラバースするように登ります。

そこを登ると、どこを登ればよいのか分かりにくくなります。
昔は右手の方にボルトがあって、スラブを人工で登ってましたがボルトが無くなりました。
正面に見える、ボルトの無い階段状になったスラブを登ります。(絶対に落ちれないやつです)
目を凝らしてみてみると、階段状になっているのが分かります。チッピング?


ワイドを登らずに対岸に飛び移る事も出来ます。
飛び移るのに緊張しますが、こちらのルートの方が簡単です。
山頂へは、ボルトの無い階段状になったスラブに合流します。

恐怖のスラブを登ると、そこは中ノ岳山頂!
チェーンで後続を迎えます。(登山者の邪魔にならないように)

あとは、登山道を下山すれば15分ほどで青白ハング付近まで降りれます。

クラック&ナチュプロ主体マルチ「上ノ岳右ルート」

上ノ岳右ルートは、名前の通り上ノ岳の右稜線を登るルートです。
三倉らしいクラックとスラブが主体のマルチです。
ボルトは必要最低限&カムでのプロテクションが基本となる、ピリッと辛めのマルチです。
こちらも中ノ岳稜線ルート同様、上ノ岳の山頂にトップアウトできるのが非常に気持ち良い!

■ピッチ数:7Pぐらい
■グレード:10a
■所要時間:慣れていないと4時間ぐらい。
■最低限のギア類:50m以上のロープ、カム1セット(0.5~5番)、120cmスリング、ヌンチャク

※これから掲載する写真の日時はバラバラですが、場所は合っているようにトポ図と見比べながら掲載していきます。

取り付きまでのアプローチ

登山道Bコースを七合目の看板まで登ります。
看板から数分さらに登山道を歩くと、右手に大きな岩場「青白ハング」が見えます。
その岩場を回り込むように右手に奥の方に行きます。

セブンスターや兵隊クラック、スーパーチムニーなどのルートを左目に、踏み後を一番奥までいった所が取り付きです。

1p:5.5 ノープロテクションスラブ

1p目は支点がありません。
枯れ葉がスラブに溜まっているので慎重に。最初の出だしが一番難しいです。
写真1枚目の松の木が生えたところまで登ります。

2p:10a  スラブからパワフルな直上

2p目も緊張します。
最初の右上するスラブはボルトが無く、カムが甘く決まるぐらいなので落ちれません。

写真2枚目の所から直上しますが、ここにはボルトはありますが出っ張った岩を豪快に登る必要があります。
短くパワフルです。ここの登りが10aだと思います。

あとは広めのテラスでピッチを切ります。

3p:10a 恐怖のスラブから高度感のあるクラック

松の木などがある広めのテラスでピッチを切ったら、左手に見えるスラブを登ります。
ハーケンがあります。
スラブを恐怖に耐えてトラバースをして一段登り、ボルトの手前でまた一段極小カチとスタンスに耐えて一段登るところがスラブの核心です。

下部のスラブを登ると、一転して上部はクラック主体になります。

下部のクラックはハンドジャムがバッチリ決まるサイズです。
ボルトは無いのでカムをセットしながら登ることになります。
ハングの手前を左から右にトラバースして、そのままクラック沿いに直上する所がパワフルです。

ハングのトラバースをこなしてパワフルなレイバックに移り変わり、このピッチ2つ目のボルトまでが核心です。
最後は松の木でピッチをきります。

4p:5.3 5p:5.5 6p:3級

あとは簡単な登りで上ノ岳山頂へ。
一か所だけちょっと難しいスラブがありますが、ボルトもあるので安心!
上ノ岳山頂からは、登山道を降りて10分ほどで取り付きまで戻ります。

綺麗なハンドクラックを楽しめる「ナビーラ」

ナビーラは、2ピッチと短いですが綺麗なハンドクラックを楽しめます。

■ピッチ数:2P
■グレード:10a
■所要時間:1時間半ぐらい。
■最低限のギア類:60mロープ、カム1セット(+で1・2・3が1個づつあると良いかも)、120cmスリング、ヌンチャク

取り付きまでのアプローチ

登山道Aコースを七合目の看板手前まで登ります。
右手に大きな岩場が見えてきて、顕著な踏み後を右に行きます。
50mほど歩いて、急峻なフィックスロープを登ったところにあります。

1p:5.8

最初は簡単なスラブですが、後半のクラックが少し難しいです。
気に触るかどうか?がポイントだと思いますが、僕は遠慮なく触っちゃいました。
スルスル滑る木肌だったので少し苦労しました。
終了点は2本のボルトで。

2p:10a


2p目は完全に垂直となったハンドサイズの綺麗なクラック!
中間でワイドとなり、抜け口はハングした出っ張った岩を登ります。

ワイドはホールドが無く難しかったです。
抜け口の出っ張りはハンドジャムが決まるので、思い切って越えました。
高度感があるので怖い。

終了点は二本のボルト。
残地されたカラビナで懸垂下降で取り付きまで降ります。
(取り付きまで、60m×2で結構余りました)

5.7のショートルート

門前払い

「門前払い5.7」

言わずと知れた?初心者のカムの練習にぴったりとされるルート。
一番最初が一番難しい。あとは、カムという恐怖に耐えると難しい箇所は無いと思います。

早春賊 左


左側のルートです。
最初をどう登るか?がポイントだと思いますが、そこを登ったらあとは快適なスラブ。

5.8のショートルート

池本クラック

池本クラック5.8

下部が意外とカムが決まりにくい気がしますが、上部はバッチリ決まります。
終了点手前のややハングをした所が少し難しいですが、ホールドを見つけれれば・・

5.9のショートルート

モアイクラック

言わずと知れた名ルート?
下部のクラックはハンドジャムがきまるサイズで気持ちが良いです。
カムも決まりやすい。
最後のチョックストーンが高度感もあり恐怖。
歩いてトップロープをセットすることも出来ます。

モアイクラック

こちらも言わずと知れた三倉の名ルート?
下部から中部はなんとか行けたとしても、終了点手前が一番苦労します。
ハァハァ言いながらかろうじてRPした苦い思い出・・・
一応歩いてTPセットできますが、ロープの長さなどなどに注意が必要。

αクラック

入門クラック

名前は優しそうですけど、クラックに馴れていないとかなり苦戦します。(僕とか)
中ノ岳への入門という意味らしいです。(よく知りませんが)

朴の花


クラックというよりもフェースに近い?
下部はカムの決まりが甘そうで怖いです。

丑松

ナッツを使ったちょっとパワフルでバランシーなスラブからのクラック。
短いながらも面白いです。

アンモナイト

手の無いレイバックから、どうやって上を取りに行くかがポイント?
歩いてトップロープを張ることもできる。

早春賊 右


右側のルートです。
最初はポケットを拾って快適なスラブ。
後半の、取れそうなフレークと細かいスタンスで登るところが核心。

七五三

さだはる君

カチとバンドの乗り込み。バランス。最後はカンテを持っていいのか迷うが、結局持って登った。

5.10aのショートルート

兵隊クラック


中間の狭くなるところが難しいです。
上部は奮闘系。

セブンスター


パワフルに大胆にハングを登ったと思ったら、急にスラブになって、ボルトも遠くなって怖い。

石斛をとらないで

ハンドサイズがバチ効きのクラックルート。

まむしクラック

多彩でダイナミック。基本的にはハンドサイズだけど、最後はオフィズスっぽくなる。長いのでどこでカムを使おうか迷う。

チビノリクラック

ハンド~フィストなサイズ。フットジャムがキモか?ちょっと広くなった所が核心か。

三倉に持っていきたいクライミングギア

三倉岳は岩がザラザラして攻撃力が高め。
ワイドやチムニーなどを登ると服やザックに穴が空いてしまうことも珍しくありません。

BlackDiamond/ロックブリッツ

クライミングに的を絞ったカッコイイザックです。

840デニールという上部な素材を使用した、シンプルな形状のアタックザックです。
シンプルなので岩角に引っかかったり、といったリスクが低い。
容量は15Lで、ワンデイの短めのマルチピッチにぴったりなサイズ感です。

トポ図を入れるのにぴったりな外のポケットや、ハーネス着用時でもウエストベルトが重ならないように上に移動できたりと、まさにクライミングの為のザックです。

画像引用:ロストアロー(https://www.lostarrow.co.jp/)

三倉に行くなら、服もザックも丈夫な物を選びたい!

メトリウス/アジャスタブルギアスリング

カムが多くなるので、ハーネスのギアラックだけでは「どこに何があるか分からない」状態になるかも。
そんな時に役立つのがギアラックです。
マルチループタイプもありますが、三倉でのオススメはシングルタイプ(輪っかが分かれてない)
マルチタイプだとギアラック内でカムが流れないので、チムニーに挟まった際にカムが邪魔になってしまったりする事があるからですね。

アンパラレル/アップライズプロ

クラックでのフットジャムが決まりやすい、スリップオンシューズ。
・長時間履きやすくて、
・クラックでのフットジャムも足が痛くなりにくくて、
・マルチピッチでは脱ぎやすくて履きやすい。

ソールもフラットなので初心者にもオススメ。
ベルクロが一つで、靴全体が伸びやすいのでサイズ選びも間違えにくいです。
僕は足の実寸が25.5で、アップライズプロは27cm(EUR42)を履いています。
長時間履くと痛くなるので、27.5cmでもよかったかも。

2023.9.28
とりあえず以上です!
また三倉に登りに行った際には、積極的に写真を撮っておきます。

この記事を書いた人
岩と沢さん
岩と沢さん
この記事を書いた人
■JSPO山岳コーチ1
■元登山ガイドステージⅡ
■元登山用品店のショップ店員だった僕。
山に登る事と、新しいギアを山で試すことが好きです。
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