【クライミング】各メーカーのカムの違いと選び方【キャメロットが良いの?】
アルパインクライミングや沢登りでは必須装備ともいえるカム。各社から販売されていますが、細かな違いまでなかなか分かりません。この記事では、これからカムなどを揃えたい初心者向けに、各メーカーやモデルの違い、名称などを分かりやすく解説します。
安全をお金で買うと思って、先ずはサイズを1セット揃えましょう。おすすめはブラックダイヤモンド社のキャメロットC4です。キャメロットC4がカムのスタンダードと行っても過言ではないからです。ルート図なども、キャメロットC4が基準で紹介されることが多いです。
カムの名称と使い方

メーカーや人によって呼び方は様々ですが、おおむね上の図通りです。それぞれ個別に解説します。
【サイズレンジ】有効なクラック幅を示す

説明書などに「50.7~87.9mm」などと表記されているサイズの事です。カムは50~90%閉じた状態でクラックに使用しないと墜落は止められません。有効レンジとは完全に開いた状態から50~90%閉じた状態の事を言います。モデルによって違うので、各説明書を参照してください。詳しくはブラックダイヤモンド/キャメロット説明書をご覧ください。100%閉じた状態でクラックに使うと回収できなくなるので注意が必要です。
【カムローブ】岩と直接触れる部分

岩と直接触れて墜落を止めるところです。もしくはその金属全体の事を言います。上の写真だと青い所全てがカムローブになります。モデルによって素材と形状が少し異なります。柔らかい金属だと、岩とのフリクションが良い反面、消耗も早いと言われています。
【ヘッド幅】小さいとポケットに使いやすい

同じぐらいのレンジでも、ヘッド幅が違うモデルがあります。ヘッド幅が小さいと、より小さいクラックやポケット(岩の穴)などに使えます。小さいカムだと、ヘッド幅は小さい方が使い勝手が良いです。
【軸(アクスル)】サイズレンジに影響する

レンジ幅の広さに影響するパーツです。左のカムは軸が一つですが、右のカムは軸が2つあります。軸は1つよりも2つの方がレンジ幅が広いです。

上の写真は、1軸と2軸のレンジ幅の違いを表した写真です。カムが開いた状態の時は右の2軸のカムのほうが大きいですが、100%閉じた状態のときはどちらも同じぐらいのサイズになりました。ブラックダイヤモンドのキャメロットは、世界で初めて2軸を採用したことから、カムのスタンダードとなりました。
【ステム】セットのしやすさやウォーキング現象に影響する


カムの柔らかさを決めるパーツです。ステムが硬いとセットがしやすいですが、ウォーキングもしやすいです。ウォーキングとは、セット後にカムが岩の中で動くことを言い、あまり良い現象ではありません。ステムが柔らかいとセットしにくいですが、ウォーキングしにくいです。
【ワイヤー】ときどき壊れたり外れたりする

ときどき壊れたり、外れたりします。外れた場合はその場で修復できますが、壊れた場合は替えのワイヤーでの修理が必要です。自分で修理できるモデルもあれば、メーカーに頼まないと修理できないモデルもあります。
【トリガー】指が届く範囲で使用する

通常はトリガーを人差し指と中指で引くことにより、カムが閉じます。クラックが深いとトリガーに指が届かなくなる(回収できなくなる)場合があるので注意しましょう。
【ループ(サムピース)】ループタイプは使いやすい

ループに親指を当ててセットします。ループ状になってない物もありますが、ループになっている方が少し使いやすいです。ループの使い方はこちらをご覧ください。ロストアロー(進化したキャメロット)。
【サイズ標記】モデルによって同じ番号でもレンジが異なる

通常はカム本体にサイズ標記があります。メーカーとモデルによって、同じ番号でもレンジ幅が異なるモデルがあるので注意しましょう。
【スリング】

ナイロンだったりダイニーマだったりします。使い方は各説明書を参照されてください。
各メーカーごとのカムの違い
カムは日進月歩です。新しい物が出たり、古い物は日本では販売されなくなったりしてます。各社から様々なカムが出てますが、まずは同じ物を1セット揃える事をおすすめします。アルパインに行くなら、最低でもC4の0.75~3番ぐらいは欲しいところです。
サイズを揃えると、セットできる箇所も増えるので安全性が上がります。マルチピッチに行くときは2セット持って行くこともあります。現在販売されているカムを以下にまとめました。
【ブラックダイヤモンド/キャメロットC4】カムのサイズと色はこれが標準

世界で初めての2軸カム。サイズと色においてカムの標準となったキャメロットです。2軸にすることにより、レンジ(カムの有効サイズ)が広くなりました。
世界で初めてのカムはフレンズですが、フレンズは1軸だった為レンジが狭かったです。今のフレンズは2軸です。
小さいサイズから非常に大きなサイズまであり、価格も手ごろです。
カムを購入するなら、まずはC4を買いそろえておけば間違いありません。0.75~3番あたりがあるだけで、安心感を得られます。
【DMM/ドラゴンカム】良く効いて強度が高いがセットに慣れが必要

カム表面に削り込みが入っており(トリプルグリップカム)、サンドブラストもしてあるので岩に対して保持力が高いです。
強度を下げる事なくスリングの長さを調整できます。これにより、ロープの摩擦を減らすためにクイックドローで延長するところをしなくてもよくなるので、軽量化にもなります。
親指のループが無いので、キャメロットよりは多少セットに慣れが必要です。
【トーテム/トーテムカム】片効きでも大丈夫な革新的なカム

カムローブ(岩に接地する先端部分)がそれぞれ別の軸と機構で2つに分かれた特徴的なカムです。これにより、カムローブに均等に荷重が掛からなくても良く止まります。
フレアした岩(出口側に開いているクラック)は通常のカムでは太刀打ちできませんが、トーテムカムは効まりやすいです。
説明書にもあるように、片効き(例えば2つのカムローブのみ)だけが効いていたとしても、静荷重なら耐えられます。詳しくはこちら(別リンクに飛びます)
値段は高いが、安全性が高いカムです。
【ブラックダイヤモンド/キャメロットウルトラライト】

キャメロットC4を軽くしたモデルです。実際に1セット分キャメロットとキャメロットウルトラライトを持ってみると、数字以上に驚くほど軽量だと感じられます。
キャメロットと比べると、カム本体の強度はやや劣ります。とにかく軽量化をしたい方や、同じサイズをいくつか持ちたい方におすすめです。
【メトリウス/ULマスターカム】安くて小さいカム

小さいサイズで安いカムをお探しならこれです。1軸構造なので軽量。大きいサイズ(#4ぐらい)になると、キャメロットC4と比べて有効レンジが狭くなるので、そうなるとC4を購入したほうが良いです。
ステム(軸となる部分)が硬めなので、方向によってはウォーキングしやすいです。(クラック内でロープなどによりセットがズレる事をいいます)親指ループがないので、少し扱いに慣れが必要です。
【ブラックダイヤモンド/キャメロットZ4】小さくて高性能なカム

小さいサイズで、高性能なカムが欲しいならコレです。セット時はステムが曲がりにくく、セットしてからはステムが曲がりやすいです。なので、ウォーキングしにくいです。(クラック内でロープなどによりセットがズレる事を言います)
カムローブ(岩に設置する部分)は4枚ありながらヘッド幅が狭いのでポケットなどにも決めやすいです。
ナッツの違い
ナッツは決まれば圧倒的な安心感を得られます。長いルートではカムが決まりそうなところにナッツを使用すると、カムを節約できます。沢登りではチョックストーンなどに対して使うことも多いです。プロテクションの幅が広がると、安全性も上がります。
【DMM/ウォールナッツ】サイズ選びが容易で、ケーブルが硬くセットしやすい

ケーブルが硬く、ナッツの中央があわずかにへこんでいるので岩に対してセットがしやすいです。その代わり値段がとても高いです。フレアしたクラックには効まりにくい。
【ブラックダイヤモンド/ストッパー】安価で標準的なナッツ

標準的な形のナッツです。フレアしたクラックには効まりにくいです。値段は安いので、とりあえずサイズを揃えたい方にオススメです。
ナットツール
ナットツールは、ナッツを回収する際に使用します。深いクラックに入り込んでしまったカムの回収にも役立ちます。トリガーに指が届かないときに、ナットツールを使ってトリガーを引きます。ナットが締められる物もあるので、アルパインには持って行きたいツールの1つです。
【ブラックダイヤモンド/ワイヤーゲートナットツール】使いやすい

耐久性と使いやすさのバランスのとれたナットツールです。カラビナが一体化しているのでハーネスにラッキングしやすいです。
ナッツを叩いて取りやすいように、カラビナ部のヘッド部分は少し平らになっています。
重量:46g
【DMM/ナッツバスター】緩んだボルトを締めれる

ゴム製のカバーが付いていて、扱いやすい。緩んでいるボルトを締める事ができるので万が一の時も安心です。ボルトを締める際はゴム製カバーのおかげで手が痛くなりにくいです。マルチやクラシックなルートで活躍します。
重量:57g
【メトリウス/フェザーナットツール】とにかく軽い

とにかく軽さを追求したナットツールです。薄いのでもしかしたら使い方によっては曲がるかもしれません。とりあえずナットツールを持っておきたいという方に。
重量:21g
まとめ
アルパインや沢登りにいくならカムは持っておいた方が安全なのは間違いありません。サイズを揃えると、行けるルートの幅も広がりそうですよね。値段は安くは無いので、最初はパートナーと一緒に買いそろえていくと良いと思います。
僕も最初はそうしたし、今でもいい思い出です。「買ったからどこかに行こう!」ってなるんですよね 笑
ではまた!


