【錫杖岳:左方カンテ】全9ピッチ、最高グレードⅤ+の登攀
錫杖岳の左方カンテは、錫杖岳の中でも一番人気です。ラインはわかりやすく、クラックやチムニー、スラブ、フェースと変化に富んでいます。ナチュラルプロテクション主体で、一部には思い切ったムーブが必要なところもあります。今回は7ピッチ目までを登ってきました。
初日:中尾高原口駐車場 6:15発~錫杖沢出合 7:40
2日目:錫杖沢出合 8:30発~注文取付き 9:30~ロープ登高開始 9:40~ロープ回収 10:30~左方カンテ取付き 11:00~懸垂下降開始 15:00~注文取付き 15:40~錫杖沢出合 16:30
・60mダブルロープ2本
・キャメロット(5番~0.5番を2セット&0.4番、0.3番)
・ナッツ
・スリング(120cm×2、240cm×1)
・アルパインヌンチャク×8
・ヌンチャク×12
・ロープバッグ(懸垂用)
・ビレイグローブ(厚手が望ましい)
・捨て縄(数m)
下降は注文の多い料理店側(前衛フェース北沢側)に懸垂下降をする必要があります。ラッペルリングを利用して降りるには、ダブルロープは60mのほうが良いです。残置スリングとカラビナを使って降りるなら50mでも大丈夫のようです。
取付きまでのアプローチとテント場
アプローチ

中尾高原口バス停(googlemapが開きます)の無料駐車場に車を停めさせてもらいました。中尾高原口バス停にトイレはありますが、9時から使えるとのことです。クリヤ谷を登り、錫杖沢出合いに行きます。


「槍見の湯 槍見館」の裏手から登山道が始まります。睡眠不足の身体にはキツイ登りが続き、平坦になったところから数分歩くと渡渉地点があります。水量が多いと苦労するみたいですが、今回は簡単でした。


渡渉地点で冷たい水を飲んで、もうひと踏ん張り登りを頑張ります。やがて、前方に錫杖岳前衛フェースが見えます。錫杖沢出合にはピンクテープで道がしっかりついているので、間違うことはないでしょう。



錫杖沢出合から、錫杖岳方面に向かい錫杖沢を登ります。錫杖沢を詰めることもできますが、途中で大きな滝が出てくるので、藪の中を登った方が良いと思います。白いヘルメットのところを左に行けば錫杖岩舎があります。


藪の中を登ると、正面に巨大な岸壁が見えます。ここを右に行くと、すぐに左方カンテルートの取付きです。迷うことはないでしょう。
テント場と水場


錫杖沢出合付近には、いくつかテントが張れるスペースがあります。赤丸のあたりにスペースがあります。今回は写真左の赤丸に6人用テントと1人用テントを張りました。しばらく雨が降っていないので水が心配でしたが、錫杖沢で水が汲めます。

錫杖沢から40分登ったところにある錫杖岩舎です。5人用テントぐらいなら張れそうなスペースがあり、目の前に沢があるので水が汲めます。ここまでテントを担いで登って、先行が居た時は絶句しそうですが、テントを張れれば快適だと思います。
過去には、錫杖沢出合付近の錫杖沢にてタープを張って寝ている人も居ました。頑張れば、いくつか数人ぐらいなら寝れるスペースを確保できそうです。
トポ図と概要

過去、山頂まで行ったことあるので今回は7ピッチ目までしか登ってません。左方カンテ以外の文字に関しては無視してもらえればと思います。どこの終了点も快適ですが、各終了点の状況は以下のとおりです。
- 1P:2、3人が立てるテラス。ボルト、残置スリング有
- 2P:2、3人が立てるテラス。ボルト、残置スリング有
- 3P:数人がくつろげるテラス。ボルト、残置スリング有
- 4P:数人がくつろげるテラス。ボルト見当たらず
- 5P:2,3人がくつろげるテラス。ボルト、残置スリング有
- 6P:大人数がくつろげるテラス。ボルト、残置スリング有
- 7P:数人が立てるテラス。立派なラッペルリング。
登攀開始
1ピッチ目 Ⅲ級 40m 残置なし



顕著なルンゼを登ります。左と右、どちらも登れそうで右にはボルトが見えましたが左を登りました。とくに難しい個所はありませんが、浮石が多いので注意が必要です。すぐに折れそうな木も多いです。木にスリングを巻いたり、カムで支点を取りながら登ります。
トポでは40mですが、感覚的には50mぐらい登ったところにボルトと残置スリングがあります。
2ピッチ目 Ⅳ級 40m 残置なし



取付いてみると、思った以上に傾斜の強いフェースです。クラックが多いので支点は取りやすいです。ガバはありますが、足が細かくなる個所がありました。見た目的には岩が浮いてそうで少し怖いですが、思い切って登っても問題ないと思います。


傾斜の強いフェースを登ると、あとは快適です。迷うことなく終了点に。
3ピッチ目 Ⅴ級 30m 残置なし


いよいよ少し気持ち悪くなってくるピッチです。終了点のある岩を登り、クラックの走ったスラブを登ります。アイゼン傷のはいった小さなフットホールドがあるのでわかりやすいです。クラックにカムを決めて、慎重にいけば問題ないと思いますが、少し怖いです。


スラブを登ったところで、上に立木も見えるし、ルートに少し迷います。ここは右にトラバースが正解で、3mほどトラバースすると終了点が見えます。トラバース時、ホールドはありますが、足はドスラブです。クライミングシューズのフリクションを信じて進みましょう。
4ピッチ目 Ⅱ級 20m 残置無し

4ピッチはただの歩きです。次に登るチムニーも見えているので、適当な所でビレイポイントを作りました。
5ピッチ目 Ⅳ+級 30m 残置ハーケン×1


チョックストーンが挟まったチムニーを登ります。チョックストーンまで少し遠いので最初は苦労するかもしれません。チョックストーンに手が届くとガバがあるので簡単です。上部は難しくはないですが少し広いクラックがあります。残置ハーケンがあります。今回はカムの5番を使いました。
6ピッチ目 Ⅳ+級 40m 残置ハーケン×2


個人的には一番気持ちの悪かったピッチです。チムニーを少しだけ登りハーケンにプロテクションを取ります。そこから左に少しだけトラバースして、ちょっとガバなホールドを頼りにバンドに立ちこみます。左手にクラックがありますが、甘く決まる程度でした。バンドに立ちこみ、右に少し行くとハーケンが隠れています。ここで支点をとれば、とりあえずグラウンドフォールの可能性は低くなります。

フェースを登りきるとカンテ状を登ります。クラックがあるのでカムを決めますが、少し甘いです。難しくはないですが気を抜いたら落ちそうな感じです。もう少し左から登った方が楽だったかも?ここを登りきると大テラスに到着です。落ち着いて休憩できます。
7ピッチ目 Ⅴ+級 40m 残置ハーケン×1、ボルト×2


いよいよ核心ピッチです。チョックストーンまでが遠いです。ボルトがあるのでこれにヌンチャクをかけてA0で登りました。フリーでも登れるようです。チョックストーンに手が届けば、ガバなので思い切って登れると思います。


正面のクラックや、背中側のクラックを使って登ります。背中側のクラックに残置カムもあった気がします。クラックも中途半端なサイズ感で、いびつな形なのでジャムがしにくいです。フットジャムをたまに効かせる程度で、基本はフェース登りになります。


大チムニーを抜けると、少し落ち着きますが、すぐに上部のクラックが始まります。上部のクラックは広くなり、これまた気持ちよくジャムが決まる感じではないです。クラックを抜けてカンテに出ると、スラブになります。

上部の広いクラックを登り、スラブに出るとボルトが一つあります。ボルトの上のスラブへの立ちこみはホールドが乏しく怖いです。僕は右のカンテに身体を乗り出して登りましたが、そのままボルトの上のスラブを直上した方が良かったかも。
7ピッチ目の終了点が、注文の多い料理店との合流地点となります。ここに立派なラッペルリングがあるので、下降はここを使います。
8ピッチ目~

8ピッチはこのスラブを直上します。過去に登った時の記憶ですが、ホールドは多いので難しくはありません。立木のあるテラスでピッチを切ります。最後のピッチはほぼ歩きに近い岩登りです。下降は立木を使っての懸垂下降になります。
懸垂下降で北沢側フランケに降る

今回は60mのダブルロープを使用しています。左方カンテの7ピッチ目終了点から、ダブルロープで注文の多い料理店の4ピッチ目終了点まで降ります。足場もよく、立派なラッペルリングがあります。そこから注文の多い料理店の1ピッチ目終了点に降ります。ここも足場がよく立派なラッペルリングがあります。もう一回懸垂をすれば、下まで降りれます。
前日に注文の多い料理店を登った際、ロープがスタックして回収できなくなりました。懸垂地点についてはこちらの記事を参考にしてください。
>>【錫杖岳:注文の多い料理店】7ピッチ、最高グレード5.8の登攀
懸垂下降でロープが回収できなくなった時のために、プルージックコードを持っておきましょう。プルージックもいろいろありますが、僕が使っているのはエーデルワイスのプルージックロープです。JMSCAでもオススメされています。外皮と芯が同じ伸び率で作られているのでよく止まります。UIAAでは「プルージックとロープの差は数mmある方が良い」としているので、6mmか7mmかお好きな方を選んでください。僕は7mmを使用しています。事前に自分のロープとの相性を確かめましょう。
まとめ
錫杖岳の左方カンテは、ボルトなどの残置が最低限しかなく、変化に富んでいる秀逸なルートだと思います。簡単すぎるわけでもなく、難しすぎるわけもないと思いますが、カムの使い方には慣れておいた方が良さそうです。
大テラスに行く前に、万が一撤退となったときはややこしそうなので注意が必要です。錫杖は週末は登る人も多いようです。今回僕たちは平日に行きましたが、誰も登っていませんでした。下界は35度を超える猛暑日でしたが、下界に比べると岩場は少し涼しかったです。夕方には夕立が降ってきたので、やはり秋がベストシーズンだという印象です。

〆は高山市の麺屋力さんへ。行列の出る人気店でした。麺は柔らかめで食べやすく、おいしかったです。つみれ肉が絶品!お肉類はこだわっているみたいで、全ておいしかったです。つけ麺汁もおいしかったです。ぜひまた行きたい!


