マッターホルン
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マッターホルン登山【ガイドレスに必要な力量・装備・服装・費用・日程など!】

岩と沢さん
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2018年に仕事を辞めて、モンブラン→ブライトホルン→マッターホルン→キリマンジャロを登りました。(ブライトホルン、マッターホルンは日本から来てくれた登山仲間と一緒)

海外ではコロナも終焉を迎えており、これからマッターホルン登山に行かれる方の手助けになれば幸いです。(メモや日記などを頼りに書いてますので、間違っている所もあるかもしれません)

(2022年の情報では、温暖化の影響で山頂直下の雪稜が解けて落石がかなり多いみたいです。ガイド登山も中止になっていると聞きました。行かれる方は十分に情報収集されて下さい)

マッターホルン登山の概要。必要な力量や費用など!

マッターホルンを登る力量について。

僕はガイドレス(ガイドを使わず)で友人と2人でマッターホルンに登りました。
ヘルンリヒュッテから山頂まで4時間半、山頂からヘルンリヒュッテまでを5時間半で下りました。(渋滞を待っている時間も含めて)

自分でいうのもなんですが、初めてのガイドレス登山でこのタイムは早いと思います。
何故スムーズに登れたのか?ここが重要だと思います。
僕なりの結論を、重要な物から上げるとすれば・・・↓

■パートナー
→日頃から一緒に登る息のあった人でないと難しい。スピードや技術、すべてに直結する。

■運
→天候など。山頂付近の残雪具合。

■ルートファインディング
→ガイドの後を追うというのは不可能です。道はいくつもあるので、人に頼らず自分で探す必要があります。

■スピード
→基本的にはコンテ。僕たちはソルベイ小屋直下以外は全てコンテで登りました。

■技術
→簡単な岩稜を登山靴でクライミング&クライムダウンできるように。僕たちは人工壁を登山靴で登る練習を繰り返しました。

この当時の僕は、フリークライミングで言えば5.10aをようやく登れるぐらいでした。
マッターホルンにフリークライミングの技術はそこまで必要ではありません。
登山靴で岩を登ったり下ったりする昔ながらの岩登りの技術の方が大事です。
僕はマッターホルンの前に、1人で前穂高北尾根に練習に行きました。これがとても良い練習になりました!

自信がつくと、コンテでグイグイ登れると思います。

下山については、僕たちは懸垂下降を1回しかしてません。
(ソルベイ小屋の直下だけですね)
登りで使ってないルートを懸垂下降すると、結局自分たちがどこから登ってきたのかルートが分からなくなってしまうと思ったからです。
懸垂下降を繋げていけば降りれるのでしょうが、時間がかかることは間違いないと思います。

色々書きましたが、自分が一番安全だと思う手順で登るのが大事です!
ヨーロッパは夏の時期は21時まで明るいです。

ちなみに、ガイド登山で早い人は、2時間で山頂まで登るみたいです。

かかった費用、日程について

スイスではユーロを使用しました。支払いはほとんどクレジットカード。
僕が言った2018年のユーロは約130円でした。
それをもとに値段を書いています。

■航空券
時期によってかなり変わりますが、片道5万円~10万円ぐらいかなと思います!
早い時期に、繁忙期以外の日程で行けるかどうかがカギです。
チューリッヒ空港、もしくはジュネーブ空港に行けばOK!
(ジュネーブの方がツェルマットに近いので一般的かも)

■チューリッヒ空港もしくはジュネーブ空港からの電車賃
空港からツェルマットまでは電車移動のみになります。
期間内であれば電車に乗り放題のフリーパスを1万円ぐらいで購入しましょう(トラベルパスというものです)
トラベルパスについての詳しい記事はこちら!(別記事に飛びます。)

■現地での宿泊料金
僕たちは1泊1500円ぐらいのキャンピングツェルマットに泊まりました。
人数が確保できるなら、部屋を一週間レンタルできるサービスもあるようで、そちらのほうが割安になる場合もあります。

■ロープウェー代
ツェルマットのゴンドラ乗り場から、シュバルツゼーまで往復5千円ぐらいでした。
この区間は歩く事も出来ます。

■ヘルンリヒュッテの宿泊料金
1泊17000円ぐらいです。(夕飯、朝飯込)
マッターホルンに登るには前泊が必須です。下山が遅くなればもう1泊必要。
下山が遅くなって急遽もう1泊する人達も多いので、予約は必須ではないのかな?と思います。
(根拠は無いのでごめんなさい。2泊予約をとるのが安心ですね1)

■食費
レストランはとても高いです。1食1500円~3000円ぐらい。
スーパーには安い食材があるので、そちらを利用しましょう。
カップラーメンや安いパンなどは150円ぐらいです。

■日程
8月12日  ツェルマット駅到着。
13日   ツェルマット観光&ゴルナーグラートで高所順応
14日   ブライトホルン(ハーフトラバース)登山
15日   ヘルンリヒュッテ宿泊
16日   マッターホルン登頂→ツェルマット
17日   グリンデルワルドへ移動

以上の日程で動きました!
15,16日の具体的な行程は↓

■15日
お昼ごろにツェルマットのキャンプ場(キャンピングツェルマット)を出発。
ロープウェーでシュワルツゼーまで行く→2時間ほどのハイキングを楽しみヘルンリ小屋へ。ヘルンリ小屋に泊まる。
■16日
夜中の3時半ごろ起床し、4時半ヘルンリ小屋を出発。30分取りつきで渋滞待ちしてから、5時過ぎ登り始め→9時マッターホルン山頂→14時ヘルンリ小屋に帰る。休憩→15時ヘルンリ小屋出発→16時シュワルツゼーのロープウェー駅に到着→16時50分ツェルマットのキャンプ場に帰る

必要な装備と服装

▲マッターホルン山頂にて

日本の山とは気候が全然違うので服装には悩みました。
気温はそこまで寒く無いです。朝の出発時は長袖Tシャツでした。
乾燥してて汗をかきにくいので、全体を通してソフトシェルが一番良いと感じました。
(周りの外国人も上下ソフトシェルが多かったです。)

ヘルメット必須。
バラクラバそこまで寒くないので耳が隠れればOK。
サングラス紫外線が強いので必須
日焼け止め紫外線が強いので必須
ハードシェル(上)ストレッチの有る物が良い。
フリース(パタゴニアR2)結局使わなかった。
長袖+ファイントラックドライレイヤーソルベイ小屋まではこの服装でいけた。
グローブ(ファイントラック/フラッドラッシュEXP)ベストな選択だった。ビレイグローブでもいいかも。
ソフトシェルパンツ(ノローナ)これもベストな選択だった。
メリノウール靴下極厚では無くても良い。
冬靴(スポルティバ/ネパーツエボ)防寒性能で言えば冬靴ほどの性能は要らなかった。アイゼンがつけれるならもう少しライトな靴でも大丈夫。
予備グローブ(ブラックダイヤモンド/ソロイスト)結局使わなかった。
フルジップのレインウェア(下)結局使わなかった

そこまで寒くは無いのですが、ビバークも考慮する必要があります。

ピッケルBDのベノムやペツルのサミテック
アイゼン12本爪が必須!
アルパインハーネス軽くてコンパクトな物が良い。
ヌンチャク×1結局使わず。
アルパインヌンチャク×2鉄の棒に巻いて使った。
捨て縄結局使わず。
大型カラビナ基本的にカラビナ+ムンターヒッチで確保。
下降器ソルベイ小屋からの懸垂で使用。
ロープ(9mm×50m)40mでも行けたかも?
ザック(20~30L)BDのスピード22を使用。
相棒はブリッツ28。

ピッケル、アイゼンは軽量さよりも剛性で選んだ方が良いです。
山頂直下付近でしか使いませんが、万が一落ちた場合には大事故につながります。

それ以外は軽量化の為あまり持っていきませんでした。
実際、マッターホルン特有の鉄の棒でビレーなどをするので、アルパインヌンチャクとカラビナがあれば大体はOK!

ハイドレーション行動中は大活躍
行動食スーパーで吟味する必要あり
ツェルト念のため必要
寝袋ヘルンリ小屋で泊まるときに使用
ヘッドライト予備を含めて2つ欲しい。

寝袋などマッターホルン登山で不要な荷物はヘルンリヒュッテに置いとけるので安心です!

水筒を持っていれば、ヘルンリヒュッテの夕食後にお茶を入れてくれます。
(ハイドレーションは不可。僕はハイドレーションしか持ってなかったので入れてもらえませんでした・・・)

ツェルマットの街の主な見どころご紹介!

位置関係はこんな感じ!

▲クリックで大きくなります。
@OpenStreetMap contributors / CC BY-SA

マッターホルン登山に関する主要な位置関係をまとめてみました。

GoogleMapではこちら!

快適過ぎるキャンプ場”キャンピングツェルマット”

ェルマット駅のすぐ隣に、快適すぎるキャンプ場”キャンピングツェルマット”があります!
一泊1500円ぐらい。
キャンプ場は、共同シャワー、WiFi、共同コンセントがあります。
ゴミも捨て放題!OD缶まで捨てちゃってOKです。
荷物も預かってくれるので、マッターホルンに登る際に不要な荷物を預かってもらいました。

ツェルマット駅の目の前に大きなスーパーがあるので、買い出しも楽です。
(夕方17時には閉店なのでお早めに!)

美しくて楽しい街ツェルマット観光

ツェルマットの街はとっても楽しいです!
様々なショップが立ち並び、観光人客もとても多い。
おいしそうな物がいっぱい並んでいますが、物価はとても高いです(泣)
なので、僕はスーパーでカップラーメンばかり食べてました。
カップラーメンと缶ビールは安い物で、一つ1つ120円ぐらいでした。

マクドナルドもあるのですが、おそらく世界一高いです。
一般的なセットで1700円ぐらいでした。

ただし、登山用品は日本で買うより少し安い物もあります。
ペツルやアークテリクス、マムートは日本よりも3割ぐらい安い印象でした。
ツェルマット駅の目の前にモンベルもあります。

▲唯一一度だけいったレストラン。

一度だけレストランに入りました。一皿2500円ぐらい!
食事の後にコック?が「料理はどうでしたか?」と聞きに来てくれました。
後で分かったのですが、おそらくチップをあげないといけなかったのだと思います。
僕たちはそこまで頭が回らず、「おいしかったです」とだけ答えて終わっちゃいました。

登山情報は”アルパインセンター”で!

マッターホルンのガイド登山をする方は、こちらでお願いしましょう!
僕たちはガイドレス(ガイドを使用しない)だったので、ここには毎日天気予報を見に来ていました。
天気予報を見て、行動をきめていた感じですね。

ヘルンリヒュッテの宿泊予約は早い段階でするべきなのですが、僕たちは予約方法が良くわからず”現地でなんとか予約する”戦法でした(今思うとかなり危険 (笑))

ツェルマット駅の隣にある観光案内所で、お兄さんがヘルンリヒュッテに直接電話して予約を取ってくれたので、もし困ったらここを利用してみてください!
とても親切で、無料でした。

いよいよマッターホルン登山開始!

ヘルンリヒュッテに到着!前日に偵察を済ますとイメージしやすい。

▲シュバルツゼーからヘルンリへのハイキング

段々と近づいてくるマッターホルンに緊張しつつも興奮している自分です。

▲ヘルンリヒュッテに到着!

ちゃんと予約が取れているか少し不安でしたが、大丈夫でした!
夕食の時間までまだ時間があったので、取り付きに偵察に行くことに。
ヘルンリヒュッテには無料のフリーWiFiがあるので便利です!

▲取り付き。

取り付きから少し登って偵察を行いました。

▲偵察

偵察をしておいて大正解でした。
取り付き~ソルベイ小屋までいかにスムーズに行けるかどうかがポイントだと思います。
ソルベイ小屋から上は、基本的に尾根に忠実に登るのでルートファインディングは必要ありません。

この取り付き~ソルベイ小屋の手前までがルートファインディングがとても難しい!
実際に、この写真の中央あたりを登っていくことになります。

いよいよ出発!

3時半に起床!
4時45分にヘルンリ小屋を一斉にスタートの筈ですが、4時15分には皆出発していました。


朝の4時25分。とりつきの岩場にて早速渋滞です。
ここで30分程度待機。


取り付きから次の写真がこれ (笑)

取り付きの岩場で30分待った僕たちは、そこから大急ぎで登りました。
登山道のように一本の道というよりは、広大なガレ場を人があちこち登っていく感じで、
道を知り尽くしたガイド達は本当に速いスピードで登っていきます。

遅い人たちに着いていこうとすると間違いなく時間が足りなくなるので、
自分たちで誰にも頼らずにルートファインディングしながら登りました。
(前日の偵察が大変役に立ちました)

空が明るくなったころに、ソルベイ小屋がようやく見え始めました。
時刻は7時。取り付きから2時間ほどでソルベイ小屋が見える位置まで来たので、事前に仕入れていた情報的にも良いペース!


ソルベイ小屋の近くまで来ました。
ソルベイ小屋直下が岩登り的には一番難しい所です。4級ぐらい?


今まで登ってきたところを振り返ってみました
所々に残置ロープがあります


ソルベイ小屋直下。4級ぐらい?

ソルベイ小屋に到着!


ソルベイ小屋にはたくさんの人!昨日から泊ってるんでしょうか?


さあ、ここからはルートファインディングは殆ど必要ありません。
尾根に近い所を忠実に登っていくだけですが、高度感もあり油断できません


ものすごい高度感!


難しい所はフィックスロープ頼り!わしづかみで登ります。


この辺りからアイゼンを装着。雪が少ないので助かりました。
雪の多い年だと、もっと下部(ソルベイ小屋の下あたりからとも聞きました)からアイゼンを装着するらしいので、
そうなると難易度もぐっと上がります。


上に行くほど壁が立っています。
垂直の壁をロープや鎖を持ってぐいぐい登ります!


余裕の相棒!


さあ、山頂までもう少し!
ここで落ちると間違いなく死ぬので慎重に慎重に・・・


マリア像!会いたかったです~

山頂に到着!


山頂に到着~!!時刻は9時半


天気も良くて最高!(奥はイタリア側の山頂です)


イタリア側にももちろん行きました


いいですねぇ!


山頂をたのしんで・・問題は下りです

いよいよ下りに入ります。時刻は10時。
下りこそ核心なので、気が抜けません。


山頂直下の雪稜が僕的には一番怖かった・・!


とりあえず、鎖場を抜けて一休みできるところまで降りてきました。
人がうじゃうじゃ居て、余裕のない人たちもいたので大変でした


ソルベイ小屋直下

懸垂下降をすると時間がかかるので、とにかくクライムダウンで降りました。
ソルベイ小屋直下のみ懸垂下降です。
先に降りた外国人のパーティは懸垂支点にエイトノットしてシングルで降りてました。
どうやってロープを回収するんだろう?と思っていると、英語で「俺たちが降りたらロープを解いてくれ」と・・
なるほど~、賢いですね!!

ヘルンリヒュッテに無事下山!


とりつきまで降りてきました!


ヘルンリヒュッテに15時半到着。

さあ、ヘルンリヒュッテまで降りてきましたが、まだまだ下山は続く!
17時の最終のロープウェーで降りたいので、ヘルンリヒュッテからもダッシュで降ります!


さらばマッターホルン!また来るよ~!!!!

ヘルンリヒュッテから1時間でロープウェーまでなんとか到着!
その後、キャンプ場に戻り、管理人に預けていた荷物を受け取り再びテントを張ります。
疲れた・・・・今夜はご馳走を食べに行こう!!

いつものマクドナルドに行こうかどうか迷いましたが・・・

ツェルマットの老舗!(らしい)DuPontというお店に行きました!

いや~、美味しい美味しい!

エスカルゴなどなど・・・ちょっとリッチに行っちゃいました!

というわけで・・・僕たちのマッターホルン挑戦は終わりました。

事前に日本でマッターホルンに登った人たちからアドバイスを頂き、なんとか上ることが出来ました。
ありがとうございました!

マッターホルン、次は子供達と登りたい!
また行こう!

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この記事を書いた人
岩と沢さん
岩と沢さん
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■JSPO山岳コーチ1
■元登山ガイドステージⅡ
■元登山用品店のショップ店員だった僕。
山に登る事と、新しいギアを山で試すことが好きです。
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