宇佐川大滝の登攀
宇佐川大滝はずっと登りたいなと考えていた。
僕が知ってる中で、この滝を登ったことがあるのは2パーティで、その内の1パーティからは「水量の少ない時の方が良い」という事前情報しか得ることが出来ず、それ以外はわずかな写真で判断することしかできない、まさに「行ってみないと分からない」滝だった。
沢登りはアドベンチャー。冒険とは何か?この辺りは「空白の5マイル」でも細かに記されているが、僕の考える冒険とは「この先行ってみないと何があるか分からない事に心躍らされる」だと考えている。心躍らされなければ、もしかしたらその行為は冒険でなくリスクでしか無いのだ。
情報の少ない宇佐川大滝に挑むのは、まさしく僕にとって心躍らされる冒険だった。
今回、ここに事細かく滝について記そうと考えているので冒険を楽しみたい人は読まない方が良いかもしれないという事を先にご了承頂ければと思います。(リスクとの兼ね合い)
使用したギア:キャメロット(00~1番)、ナッツ、ハーケン

道路から宇佐川大滝を望む。過去に何度か見ているが、過去と比べるとやはり水量は少なそうだ!ガードレールから適当な尾根を歩いて降りる



滝見学人用の踏み跡っぽいところを降りるが、最後の方でえらい悪くなる。落ちたらやばい。ロープを出しても良さそうな所だ。慎重に降る

歩いて10分程で宇佐川大滝に到着。水はそれ程つめたくない


泳いで滝に取り付く。見た目よりもホールド、スタンスに乏しく悪かった。落ちても釜が深いので安心?テラス状となった滝の中段でカムとハーケンでパートナーが支点をとった。

いよいよ核心と思われる2pに取り付く。
まずは、上の写真のパートナーの後ろの岩を登る。クラックが縦にまっすぐ走っており、支点も取りやすいし登りやすい。
問題はクラックが途切れた所からで、左の岩の上に立ち込むか、右のスラブをトラバースするか迷った。左の岩の上にいけばホールドは良さそうだが水流をもしかしたらモロに受けるかもしれない。右のスラブに行った方が良さそうな気もするがランナウトしそうだ。
迷った挙句、左の岩に立ち込む方に行く。立ち込む際に、ホールドもあまり良いのが無く、僅かなリスにハーケンを打って、それをホールドにして立ち込もうとした瞬間、岩ごと崩れてハーケンがぬけてしまった。
3m程フォール。最後に仕掛けたナッツが止まってくれて良かった。少し心を落ち着かせ、今度はクラックの最後の方で左に体を飛び出し、水流を受けながら先程乗り込みたかった岩に乗り込んだ。
水流に体を打たれながらも冷静に立ち込むと、あとはガバの連続。クラックも出てくるので支点も取りやすい。最後の抜け口がヌメヌメのスラブで、落ちたら滝の中に行きそうで怖かったが慎重に行けば問題なかった。



パートナーも無事に終わり、熱い握手を交わす。宇佐川小滝というのもあるらしいという事でそのまま上流を少し歩いてみたが、見当たらなかったので道路を歩いて帰った。
フォールしてしまったけれど、無事に登り終えて良かった。
沢登りにまぐれは無いと考えている。フォールしたのも実力だけど、支点の取りにくい沢でもちゃんと支点が取れたと言うことをプラスに受け取っておきたいと思う(落ちないのが大前提だけれども…)
今回登ったラインは、水量の多い時だと厳しいと思う。今回は4週間ぐらい雨の降ってない渇水時を狙ったので良かった。渇水時であれば、そこまで難しい滝ではないという印象。
1時間半ほどの激闘だった。また登りに来たい!
使用した道具→ナッツ、小さめのカム、ハーケン