【ガイドレス】マッターホルン登山|装備・服装・費用・日程などを詳しく解説
2018年に仕事を辞めて、モンブラン→ブライトホルン→マッターホルン→キリマンジャロを登りました。ブライトホルン、マッターホルンは日本から来てくれた登山仲間と一緒に登りました。
ガイド無し、小屋の予約無し、宿泊の予約無し、英会話能力無し。今考えると「よくこんな無謀な計画で行ったもんだ・・」と思いますが、若いとはそういうことなんだと思います。赤裸々に詳細をレポートします。
マッターホルン登山の日程と費用

日程と費用について解説します。費用に関しては当時のレート(1ユーロ約130円)で記載しています。現在のレートに換算して頂ければと思います。
日程について
実際に行動した日程については以下のとおりです。
- 8月12日:ツェルマット駅到着。キャンピングツェルマット泊。
- 13日:ツェルマット観光&ゴルナーグラートで高所順応。キャンピングツェルマット泊。
- 14日:ゴンドラを使用しブライトホルン(ハーフトラバース)登山。キャンピングツェルマット泊。
- 15日:ゴンドラを使用し、ヘルンリヒュッテまで。ヘルンリヒュッテ宿泊。
- 16日:マッターホルン登頂。ゴンドラを使用しツェルマットへ。キャンピングツェルマット泊。
- 17日:グリンデルワルドへ移動
15日はお昼ごろにツェルマットのキャンプ場(キャンピングツェルマット)を出発しました。ロープウェーでシュワルツゼーまで行き、2時間ほどのハイキングを楽しみヘルンリ小屋へ。ヘルンリ小屋でゆっくり過ごしました。
16日は夜中の3時半ごろ起床し、4時半ヘルンリ小屋を出発しました。30分取りつきで渋滞待ちしてから、5時過ぎに登り始めました。9時にマッターホルン山頂に到着し、14時半にヘルンリ小屋に下山しました。15時にヘルンリ小屋を出発し、16時シュワルツゼーのロープウェー駅に到着。16時50分にはツェルマットのキャンプ場に帰りました。
かかった費用について

スイスではユーロを使用しました。支払いはほとんどクレジットカードです。僕が行った2018年のユーロは約130円でした。当時のレートをもとに、以下に費用について解説します。
- 航空券
- 時期によってかなり変わりますが、僕たちは片道5万円~10万円ぐらいでした。早い予約と、繁忙期以外の日程で行けるかどうかがカギです。チューリッヒ空港、もしくはジュネーブ空港に行けばよいですが、ジュネーブ空港の方がツェルマットに近いです。
- チューリッヒ空港もしくはジュネーブ空港からの電車賃
- 空港からツェルマットまでは電車移動です。トラベルパスと呼ばれる、電車に乗り放題のフリーパスを約1万円で購入しました。トラベルパスについての詳しい記事はこちらをご覧ください。別記事に飛びます。
- 現地での宿泊料金
- 僕たちは1泊約1500円のキャンピングツェルマットに泊まりました。人数が確保できるなら、部屋を一週間レンタルできるサービスもあるようで、そちらのほうが割安になる場合もあります。
- ロープウェー代
- ツェルマットのゴンドラ乗り場から、シュバルツゼーまで往復5千円ぐらいです。この区間は歩く事も出来ます。
- ヘルンリヒュッテの宿泊料金
- 1泊夕飯、朝飯込で約17000円でした。マッターホルンに登るには前泊が必須です。下山が遅くなればもう1泊必要です。下山が遅くなって急遽もう1泊する記録も多いので、予約は必須ではないのかな?と思います。根拠は無いのでごめんなさい。2泊予約を取っておくと安心です。
- 食費
- レストランはとても高いです。1食1500円~3000円が普通です。スーパーには安い食材があり、カップラーメンや安いパンなどは約150円でした。ビールも150円程度でありますが、とてもまずかったのは良い思い出です。ほぼ毎日飲んでいたので今でも味を思い出せます。
ツェルマットの見どころをご紹介
ツェルマットとマッターホルンの位置関係


▲クリックで大きくなります。マッターホルン登山に関する主要な位置関係をまとめてみました。
【快適過ぎるキャンプ場】キャンピングツェルマット


ツェルマット駅のすぐ隣に、快適すぎるキャンプ場”キャンピングツェルマット”があります!
一泊1500円ぐらいでした。キャンプ場は共同シャワー、WiFi、共同コンセントがあります。ゴミも捨て放題で、OD缶も捨てて大丈夫です。
不在が多いキャンプ場の管理人が、管理人室で荷物も預かってくれます。マッターホルンに登る際は不要な荷物を預かってもらいました。ツェルマット駅の目の前に大きなスーパーがあるので、買い出しも楽です。夕方17時に閉店なのでお早めに。
美しくて楽しい街ツェルマット観光



ツェルマットの街はとても楽しいです。さまざまなショップが立ち並び、観光人客も多い。おいしそうな物がいっぱい並んでいますが、物価はとても高いです。僕はスーパーでカップラーメンばかり食べてました。カップラーメンと缶ビールは安い物で約150円ぐらいでした。
マクドナルドもあるのですが、一般的なセットで約1700円ぐらいでした。ただし、登山用品は日本で買うより少し安い物もあります。ペツルやアークテリクス、マムートは日本よりも3割ぐらい安い印象でした。ツェルマット駅の目の前にモンベルもあります。
一度だけレストランに入りました。一品約2500円でした。食事の後にコックが「料理はどうでしたか?」と聞きに来てくれました。後で分かったのですが、チップをあげないといけなかったのだと思います。僕たちはそこまで頭が回らず「おいしかったです」とだけ答えて終わりました。
登山情報はアルパインセンターで手に入る



マッターホルンのガイド登山をする方は、こちらでお願いしましょう。僕たちはガイドレスだったので、ここには毎日天気予報を見に来ていました。最新情報を詳しく掲載してくれます。
ヘルンリヒュッテの宿泊予約は早い段階でするべきなのですが、僕たちは予約方法が良くわからず”現地でなんとか予約、ダメならビバーク戦法”でした。若気の至りとはこのことです。ツェルマット駅の隣にある観光案内所で予約できるという情報を仕入れ、スイスに到着しすぐに向かいました。案内所のお兄さんがヘルンリヒュッテに直接電話して予約を取ってくれたので助かりました。もし困ったらここを利用してみてください。とても親切で無料でした。
マッターホルン付近はビバーク禁止です。事前に必ずヘルンリヒュッテの予約をしてから行くことをおすすめします。
いよいよマッターホルン登山開始!
ヘルンリヒュッテに到着!前日に偵察を済ますとイメージしやすい。

段々と近づいてくるマッターホルンに緊張しつつも興奮している自分です。

ちゃんと予約が取れているか少し不安でしたが、大丈夫でした。夕食の時間までまだ時間があったので、取り付きに偵察に行くことに。ヘルンリヒュッテには無料のフリーWiFiがあるので便利です。パスワードは受付で聞きました。

とりあえず部屋でゆっくりします。荷物はこちらに。運よく二人で4人部屋を使用できましたが、他の部屋は大人数でごった返してました。

取り付きから少し登って偵察を行いました。

偵察をしておいて大正解でした。取り付き~ソルベイ小屋までいかにスムーズに行けるかどうかがポイントだと思います。ソルベイ小屋から上は、基本的に尾根に忠実に登るのでルートファインディングは必要ありません。
この取り付き~ソルベイ小屋の手前までがルートファインディングがとても難しいです。実際には、この写真の中央あたりを登っていくことになります。
ヘルンリヒュッテを出発
3時半に起床。4時45分にヘルンリ小屋を一斉にスタートの筈ですが、4時15分には皆出発していました。

朝の4時25分。取付きの岩場にて早速渋滞です。ここで30分程度待機。

取り付きから次の写真がこれでした。取り付きの岩場で30分待った僕たちは、そこから大急ぎで登りました。登山道のように一本の道というよりは、広大なガレ場を人があちこち登っていく感じで、道を知り尽くしたガイド達は本当に速いスピードで登っていきます。
遅い人たちに着いていこうとすると間違いなく時間が足りなくなるので、誰にも頼らずにルートファインディングしながら登りました。前日の偵察が大変役に立ちました。
空が明るくなったころに、ソルベイ小屋が見え始めました。時刻は7時。取り付きから2時間ほどでソルベイ小屋が見える位置まで来たので、事前に仕入れていた情報的にも良いペースだとわかりました。

ソルベイ小屋の近くまで来ました。ソルベイ小屋直下が岩登り的には一番難しい所です。4級ぐらい?岩がしっかりしているので快適です。

今まで登ってきたところを振り返ってみました。所々に残置ロープがあります

ソルベイ小屋直下。4級ぐらい?
ソルベイ小屋に到着!

ソルベイ小屋にはたくさんの人!昨日から泊ってるんでしょうか?

ソルベイ小屋からはルートファインディングはほとんど必要ありません。尾根に近い所を忠実に登っていくだけですが、高度感もあり油断できません。

ものすごい高度感です。

難しい所はフィックスロープ頼りです。わしづかみで登ります。

この辺りからアイゼンを装着。雪が少ないので助かりました。雪の多い年だと、もっと下部(ソルベイ小屋の下あたりからとも聞きました)からアイゼンを装着するらしです。そうなると難易度もぐっと上がります。8月でもツェルマットで雨ならマッターホルンは雪が降るようです。

先を急ぎたいですが、順番に登ります。

上に行くほど壁が立っています。垂直の壁をロープや鎖を持ってぐいぐい登ります。

余裕の相棒!

さあ、山頂までもう少し。ここで落ちると間違いなく死ぬので慎重に慎重に・・・

マリア像の位置に到着!会いたかったです~
マッターホルン山頂に到着!

天気も良くて最高!奥はイタリア側の山頂です。

イタリア側の山頂にも行きました。写真に見えている山頂がスイス側の山頂ですね。

イタリア側の山頂にて記念撮影。

山頂をたのしんで・・問題は下りです。時刻は10時。下りこそ核心なので、気が抜けません。

山頂直下の雪稜が僕的には一番怖かったです。鉄の棒があったので、一応確保して下りました。

山頂直下、鎖場を抜けて一休みできるところまで降りてきました。山頂直下は人がうじゃうじゃ居て、余裕のない人たちもいたので大変でした。山頂直下で一か所だけ懸垂でおりました。

ソルベイ小屋直下の写真です。ここは懸垂下降しました。先に降りた外国人のパーティは懸垂支点にエイトノットしてシングルで降りてました。どうやってロープを回収するんだろう?と思っていると、英語で「俺たちが降りたらロープを解いてくれ」と頼まれました。なるほど~、これなら短いロープでも懸垂できます。僕たちは念のため50mロープを持っていたので、普通に懸垂下降しました。
ヘルンリヒュッテに無事到着です

最後の岩場をクライムダウン

取付きまで降りてきました。

ヘルンリヒュッテに15時半到着。ヘルンリヒュッテまで降りてきましたが、まだまだ下山は続きます。17時の最終のロープウェーで降りたいので、ヘルンリヒュッテからもダッシュで降ります。

さらばマッターホルン!また来るよ~!ヘルンリヒュッテから1時間でロープウェーまでなんとか到着しました。キャンプ場に戻り、管理人に預けていた荷物を受け取り再びテントを張ります。疲れた・・・・今夜はご馳走を食べに行こう!
いつものマクドナルドに行こうかどうか迷いましたが・・・

ツェルマットの老舗!(らしい)DuPontというお店に行きました!いや~、美味しい美味しい!そして高い高い。

エスカルゴなどなど・・ちょっとリッチに食べちゃいました。僕たちのマッターホルン挑戦は終わりました。事前に日本でマッターホルンに登った人たちからアドバイスを頂き、なんとか上ることが出来ました。ありがとうございました!マッターホルン、次は子供と登りたい。
【ガイドレス】マッターホルンに必要な力量
マッターホルンを登る力量について
僕たちはガイドレス(ガイドを使わず)で友人と2人でマッターホルンに登りました。ヘルンリヒュッテから山頂まで4時間半、山頂からヘルンリヒュッテまでを5時間半で下りました。渋滞を待っている時間も含めています。
自分でいうのもなんですが、初めてのガイドレス登山でこのタイムは早いと思います。何故スムーズに登れたのか僕なりの結論を、重要な物から上げると以下のとおりです。
- パートナー:日頃から一緒に登る息のあった人がベスト。スピードや技術、すべてに直結します。
- 運:天候など、山頂付近の残雪具合。
- ルートファインディング:ガイドの後を追うのは不可能です。道はいくつもあるので、人に頼らず自分で探す必要があります。
- スピード:基本的にはコンテで登ります。僕たちはソルベイ小屋直下以外は全てコンテで登りました。
- 技術:簡単な岩稜を登山靴でクライミング&クライムダウンできる技術が必要です。僕たちは人工壁や岩場を登山靴で登る練習を繰り返しました。
この当時の僕は、フリークライミングで言えば5.10aを登れるぐらいでした。マッターホルンにフリークライミングの技術はそこまで必要ではありません。登山靴で岩を登ったり下ったりする昔ながらの岩登りの技術の方が大事です。
僕はマッターホルンの前に、1人で前穂高北尾根に練習に行きました。ルートファインディングと登攀技術の良い練習になりました。槍ヶ岳の北鎌尾根も良い練習になると思います。
懸垂下降について
下山で僕たちは懸垂下降を2回しかしてません。山頂直下とソルベイ小屋の直下だけですね。登りで使ってないルートを懸垂下降すると、自分たちがどこから登ってきたのかルートが分からなくなってしまうと思ったからです。懸垂下降を繋げていけば降りれるのでしょうが、時間がかかることは間違いないと思います。
夏のヨーロッパは21時まで明るいです。安全に、確実に下りましょう。ちなみに、ガイド登山で早い人は、2時間で山頂まで登るみたいです。
必要な装備と服装
日本の山とは気候が全然違うので服装には悩みました。天候が安定していれば気温はそこまで寒く無いです。朝の出発時は長袖Tシャツでした。乾燥してて汗をかきにくいので、全体を通してソフトシェルが一番良いと感じました。周りの外国人も上下ソフトシェルが多かったです。
今回は天候に恵まれていたので、防寒着は着ていません。天候が悪くなった時のことも考えて、防寒着は持って行く必要があります。今回持って行った服装は以下のとおりです。
| ヘルメット | 必須。 |
| バラクラバ | 常に耳が隠れる物が良い |
| サングラス | 紫外線が強いので必須 |
| 日焼け止め | 紫外線が強いので必須 |
| ハードシェル(上) | ゴツイものじゃなくても良いです |
| フリース(パタゴニアR2) | 今回は使わなかったです |
| 長袖+ファイントラックドライレイヤー | ソルベイ小屋まではこの服装で快適でした |
| グローブ(ファイントラック/フラッドラッシュEXP) | ベストな選択でした。相棒はビレイグローブでした。 |
| ソフトシェルパンツ(ノローナ) | ヨーロッパではソフトシェルパンツが快適です。 |
| メリノウール靴下 | 普段履いている物で良いと思います。 |
| 冬靴(スポルティバ/ネパーツエボ) | 防寒性能で言えば冬靴ほどの性能は要らなかったです。アイゼンがつけれるならもう少しライトな靴でも大丈夫でした。 |
| 予備グローブ(ブラックダイヤモンド/ソロイスト) | 山頂で少しだけ装着しました。 |
| フルジップのレインウェア(下) | ハードシェルほどごつい物は必要ないので、フルジップのレインウェアを持って行きました。使わず。 |
8月でも万が一ビバークとなった際は、かなり寒いようです。マッターホルンでビバークされた方の話では「寒くて寝られず、朝まで大変だった」とのことです。防寒着は必要です。
今回持って行ったギア類は以下のとおりです。
| ピッケル | BDのベノムやペツルのサミテック |
| アイゼン | 12本爪が必須 |
| アルパインハーネス | 軽くてコンパクトな物が良いです |
| ヌンチャク×1 | 結局使わず |
| アルパインヌンチャク×2 | 鉄の棒に巻いて使いました |
| 捨て縄 | 結局使わず |
| 大型カラビナ | 軽量化のため、カラビナ+ムンターヒッチでビレイしました |
| 下降器 | ソルベイ小屋からの懸垂で使用 |
| ロープ(9mm×50m) | ダブルロープで良いと思います。次行くなら8mm×40mで行くかもしれません |
| ザック(20~30L) | BDのスピード22を使用。相棒はブリッツ28。 |
ピッケル、アイゼンは軽量さよりも剛性で選んだ方が良いです。山頂直下付近でしか使いませんが、万が一落ちた場合には大事故につながります。マッターホルンには所々にビレイ用の鉄の棒があります。アルパインヌンチャクとカラビナがあれば大体のことができました。
その他、持って行った道具は以下のとおりです。
| ハイドレーション | 行動中は大活躍 |
| 行動食 | スーパーで吟味する必要あり |
| ツェルト | 念のため必要 |
| 寝袋 | ヘルンリ小屋で泊まるときに使用 |
| ヘッドライト | 予備を含めて2つ欲しい。 |
寝袋など、マッターホルン登山に不要な荷物はヘルンリヒュッテに残置できます。残置用の専用部屋があります。水筒を持っていれば、ヘルンリヒュッテの夕食後にお茶を入れてくれます。ハイドレーションは不可なので注意してください。僕はハイドレーションしか持ってなかったので入れてもらえませんでした。





