【屋久島:フリーウェイ】12ピッチ、最高グレード5.10dの登攀

岩と沢さん
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花崗岩の宝庫である屋久島。島の南部にはモッチョム(本富)岳と呼ばれる岩山があります。モッチョム岳の標高は940m、岩の標高差は390m。かつては日本で最難とされていたマルチピッチのルートもあります。今回は、モッチョム岳の中でも看板ルートのフリーウェイを登ってきました。

2日前の雨の影響で、所々ルートが濡れていました。念のためビバークセットをもって上がりました。A0も多用しています。ボルトは全てカットアンカーです。カットアンカーについての詳細はこちらをご覧ください。

ルートタイム

千尋の滝駐車場4:00~入山口4:30~取付き5:28~登攀開始5:52~4ピッチ目終了点7:39〜8ピッチ目終了点11:20〜モッチョム岳山頂14:20~モッチョム岳下山開始15:17~千尋の滝駐車場16:53

使用したギア

60mダブルロープ2本(50mでも問題ないとおもいます)、スリング、アルパインヌンチャク、ヌンチャク、カム(3~1)

岩と沢さん
岩と沢さん
この記事を書いた人
Profile
■JSPO山岳コーチ2(共通未修得)
■JSPOクライミングコーチ1
■元登山ガイドステージⅡ
■元登山用品店のショップ店員
■半年間、副業WEBライターしてました

山に登る事と、新しいギアを山で試すことが好きです。
趣味が登山だけという生活を16年ぐらいしてます。
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取付きまでのアプローチとログ、トイレ

登る前日に取付きまで偵察に行きました。上のログは取付きから下山する際に、ピンクテープを追いかけた時のものです。迷わず登ると、道路から取付きまでは1時間程度です。

ここからやぶの中に入山しました。最初はピンクテープは見つけられませんでした。途中からテープが出てきますが、見失いやすいかもしれません。ログを頼りに方向さえしっかりしていれば迷うことはないと思います。

取付きに到着です。取付きからもっと右に似たような地形があり少し迷いました。ログを確認すれば間違えないと思います。

トイレは千尋の滝の駐車場を利用しました。おそらく、常に開放されていると思います。

トポ図と概要

画像引用:鹿児島黒稜会

鹿児島黒稜会のホームページにトポがあります。モッチョム岳以外にも、鹿児島の岩場の情報が多く、見ているだけで面白いです。サイトはこちら。保護されていない通信とエラーが出るかもしれません。

ルートはこんな感じだと思います。ルートの詳細は日本100岩場でも紹介されています。印刷して持っていくなら、こちらの方がおすすめです。

登攀開始

1ピッチ目 5.7 25m ボルト1

草付きの凹角を登ります。10mぐらい登ったところにボルトが1個あります。そのあとは短いチムニー。チムニーを登ると景色が開けます。ボルトが2つあるところでピッチを切ります。

2ピッチ目 5.10d 30m ボルト10

フリーウェイの中でも最もグレードの高いピッチです。僕たちが登った際は、ちょうど難しい部分が濡れていて難儀しました。A0でなんとか突破。フリーで登るなら、外傾したバンドをスローパーで持ち、右足スメアをきかせ、外傾バンドに立ちこむのかなと思います。

上部に行くと快適になります。終了点はほとんどハングドッグに近い状態でビレーします。二人でギリギリの広さです。3人目は一個前のボルトと、終了点から伸ばしたスリングでセルフを取って待機しました。

3ピッチ目 5.10b 32m ボルト10

3p目は凹角からスタートです。薄いカチを使って高度を稼ぎます。少し登るとカンテが使えます。凹角を登りきるとフィンガーサイズのクラックが綺麗につながっていて快適に登れます。岩を回り込むと草付きになります。ランナウト気味でボルトが隠れていたので、ルート取りに少し迷いました。

4ピッチ目 5.8 43m ボルト6

終了点から左の岩棚に行きます。そこからボルトのある短いスラブを登りますが、難しかったです。そのあとはハングの下のブッシュ帯を目指して、ブッシュのあるクラックを登ります。ランナウトしています。ブッシュにボルトが隠れていました。

5ピッチ目 5.10a 25m ボルト1

狭いフィストサイズの短いクラックです。トポでは25mですが、実際の登りは5mほどです。クラックのすぐ上がテラスになっており、終了点があります。トポではボルトが2つとなっていますが、抜け口に1つしかありません。

一面すべて濡れており、沢登り状態になっていました。左上のガバに手が届けば楽になります。クラックに慣れていないと苦労しそうです。カム3~1番が使えます。0.75も使えたかも?

6ピッチ目 5.9 30m ボルト8

トラバースのピッチです。びっちょり濡れていたこともあり、なかなか怖かったです。トラバースをして、ブッシュのあるスラブに乗り込んで直上します。ボルトが隠れていたり、隣のルートが近かったりで、スラブに乗り込むタイミングが少しわかりにくかったです。猛烈なブッシュを登って終了点に到着です。

7ピッチ目 5.10c 40m ボルト20

デコボコとした結晶を使って登るスラブです。結晶ががりがりと剥がれるので怖い。一番難しそうなところに限って濡れていて、さらに怖かったです。上部はブッシュ交じりなので少し安心。ブッシュをホールドとして登ります。

終了点手前は、写真では右側を登ってますが、左側にボルトがあったとのこと。ランナウトして濡れていたので、リードはとても緊張したようです。ナイスクライミング

8ピッチ目 5.10a 45m ボルト4(1つは破断している)

終了点から左のブッシュを登り、右手のジェードルだったブッシュを登ります。右側と左側にルートがありますが、ここは左を登ります。下部は快適ですが、上部に行くほど難しいです。ブッシュの手前のボルトはハンガーが破断してます。ブッシュに突っ込み、10mほど歩いて壁の前の立木で終了点。

9ピッチ目 5.10a 25m ボルト10

結晶が大きいスラブです。デコボコしています。ボルト間隔も適度なので楽しいピッチでした。

10ピッチ目 5.10c 35m ボルト25

ここにきて10cのロングなスラブです。下部はボルトが少ないですが、中部はボルトが豊富です。フレークがありますが、脆そうなのであまり使いたくない感じでした。上部はフリクション頼みの強傾斜のスラブが続きます。ふくらはぎが悲鳴をあげます。

フォロワーの僕はA0でグイグイ登りました。

11ピッチ目 5.7 30m ボルト3

ボルトが見当たらず、少し迷います。右手のブッシュに突っ込むとボルトがありました。古いリングボルトもあります。右に行き過ぎると別のルートなので注意が必要です。快適なスラブから、終了点前はフリクション頼みのスラブです。気が抜けません。終了点は気持ちの良い広いテラスになっています。

12ピッチ目 5.9 30m ボルト6

フリクション頼みのスラブです。最初のボルトまでがとにかく遠く、絶対に落ちられません。(落ちてもケガはしないのでしょうが・・)最後まで気の抜けないピッチが続きます。ブッシュに突っ込み、立木でビレイします。

山頂に到着

猛烈なやぶを山頂っぽい方向に進みます。念のためロープは装着したままで進みました。祠のある所に出れば、山頂です。山頂からの景色は最高でした!

下山は登山道を下ります。登山者は多いようで、ピンクテープは豊富です。下山時に遭難している方もおられるようなので、無理のない計画で行きましょう。

動画はこちら

屋久島はボルダーも豊富

予備日と、帰りの日のフェリーまでの時間をボルダリングで過ごしました。

ボルダリングジム「VIVA2」

無人のボルダリングジムです。高校生以上は500円、以下は100円で登れます。屋久島ならでは?スラブ壁もあり、屋久杉を使ったホールドもあり、とても面白かったです!フェリーの出発時間まで遊ぶのに最適です。

場所はこちらです。

山岳太郎さんでマットとトポを入手し、ボルダリングに行く

山岳太郎さんでボルダリングマットを借りられます。1日1,600円で、翌日返却なら2,100円です。1日追加ごとに+500円とのことです。登山用品も豊富においてあり、トポも購入可能です。

屋久島には大きく分けて5つのボルダーエリアがあるようです。今回は瀬切ボルダーに行きました。とても楽しかったですね!1日中遊べます。

キャンプ場は「ジェリーズキャンプ場」

モッチョム岳が一望できるキャンプ場でした。一人一泊1000円です。スーパーも温泉も近く便利です。キャンプサイトからモッチョム岳が丸見え!車も横づけるので助かります。支配人も親切な方でした。

まとめ

屋久島のフリーウェイは、屋久島の看板ルートなだけあって素晴らしかったです。今回僕たちは日照時間の長い5月に登りました。全体を通してスラブ主体なので、クライミングスピードに自信があるなら、乾いた季節のほうが良さそうです。

前日がかなり暑かったので、水は1人3リットルもって上がりました。結果として、とても涼しく1人1リットルほどしか飲みませんでした。

ブッシュからのしみだしがあるので、晴れが長く続いている日が良さそうです。雨だとしても、縄文杉を見に行ったり、太鼓岩に登ったりして、屋久島の自然を楽しめばいいのかと思います。充実したクライミングトリップでした!

冬山の情報ですが、屋久島も遭難が多いようです。みなさま、ご安全に!

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■JSPO山岳コーチ2(共通未修得)
■JSPOクライミングコーチ1
■元登山ガイドステージⅡ
■元登山用品店のショップ店員
■半年間、副業WEBライターしてました

山に登る事と、新しいギアを山で試すことが好きです。
趣味が登山だけという生活を16年ぐらいしてます。
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