【剣岳】剣尾根主稜2泊3日:番場島→池ノ谷→剣尾根主稜→剣岳→早月尾根→馬場島

岩と沢さん
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剣岳には数多くのクラシックルートがあります。今回は馬場島から池ノ谷の雪渓を歩いて剣尾根主稜に上がり、剣岳に登るルートに行ってきました。ロープを出す場面は懸垂下降を含めて7回程度でした。

ルートを通して最もクライミングの難しい所で、デシマルグレードだと5.9ぐらいだと思います。残置ハーケンでのクライミングと、全体を通してどこも岩が脆い点が剣尾根の核心かと思います。泊りの道具を持ってのクライミングなのでグレードよりも難しく感じました。

コースタイム
■1日目
馬場島6:36→雷岩8:45→小窓尾根乗越→池ノ谷11:40→池ノ谷二俣13:48→R10下部15:28→コルE17:05
■2日目
コルE4:30→Ⅲ級の岩場5:30→コルC8:10→40mのクライミング→門の登攀10:35→ドーム11:20→コルB13:00→チムニー15:00→剣尾根ノ頭17:00→長次郎ノ頭17:50→池ノ谷乗越付近のビバークポイント18:40
■3日目
ビバークポイント6:55→剣岳本峰8:25→馬場島14:50
持って行ったクライミングギア
50mシングルロープ、カム(#0.3~2)、ヌンチャク&アルパインヌンチャク(パーティで合計16本)、スリング、ピッケル、10本爪アイゼン、クライミングシューズ

今回は途中でロープが切れるなど、いろいろとアクシデントがあって少し時間がかかりました。荷物の重量は共同装備を含めて16kg程度(水は含めず)でした。

岩と沢さん
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■JSPO山岳コーチ2
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8年間務めた仕事を退職し、海外登山を果すほどの登山愛好家。
現在は二児の父をしながら、家庭と登山の両立を目指しています。
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【ログ】剣岳主稜

剣尾根主稜のGPSログが飛んでいるところもありますが、概ね上図のような感じでした。

ログはスマートウォッチ(Amazfit)を使用して取りました。スマホは機内モードにしておけば1日数%しかバッテリーを消費しません。ログを取りたい人はスマートウォッチがおすすめです。Amazfitはバッテリー持ちがよく、12時間ログを取り続けてもバッテリーの消費は20%程度でした。Amazfitについては以下の記事で解説しています。
>>【徹底解説】AmazfitのT-Rex3 Proを2ヶ月使用レビュー!登山向けスマートウォッチ

1日目:馬場島からコルEまで

いつものように夜通し交代で運転して、約11時間かけて馬場島に到着。ゆっくり無理しないように歩き出す。

馬場島から川沿いに雷岩→小窓尾根乗越→池ノ谷

馬場島を出発。常に開放されている野外トイレがあるので助かります。林道を歩くと堰堤にぶつかります。ここからは左手のワイヤーを登っていく道と、川沿いに進む道が取れます。今回は水量も多くなさそうなので川沿いに行くことにしました。

靴を濡らさないように歩きます。渡渉の為に靴を脱いだのは5回ぐらいだったと思います。靴を濡らしてしまうリスクはありますが、涼しくて冷たい水が飲み放題なのはメリットです。

雷岩?と思われる滝のところに赤いペンキのマークが見えました。赤いペンキのところからブッシュに入ります。

赤のペンキからは猛烈な藪を進む。ピンクテープもなく、藪過ぎて道が分からず、変な谷に入ってしまった。無理に標高を上げようとせず踏み跡っぽいところを歩くとピンクテープが出てきた。もうしばらく歩くと「池ノ谷の道標」があり、そこからは急登だけど道は明瞭。

小窓尾根乗越からの降りもやや急です。藪も濃い個所がありますが迷うことはないでしょう。池ノ谷に降り立つと、冷たい風が吹いていて気持ちいい。

池ノ谷→池ノ谷二俣→R10→コルEビバーク

池ノ谷はだらだらと長い雪渓を歩きます。どこで水の補給ができるのか分からなかったので、二俣で水を最大限補給しておくことにしました。水不足が一番怖いので、念のため僕は5Lぐらい補給しました。(結果としてR10も水が補給できた)

二俣を左俣に進むと、すぐに雪渓が細くなった個所が表れます。ガレた道を迂回すると、再びその上流は安定した雪渓となります。

R10は顕著で分かりやすいです。R10は水がジョロジョロ流れて水が補給できました。R10の向かい側も水が流れているのが見えましたが、近づけられるかどうかは雪渓次第なのかなと思いました。

R10は岩が全然安定しないのに加え、斜度もそこそこあるので落石に気を使いました。コルの手前は斜度が更にキツくなりなかなか悪いです。ブッシュを掴んで無理やり登る。後続はロープをごぼうした方が良いのでは?ということで一応ロープを出しました。

コルEに到着。4人が何とか居られるぐらいのスペースで狭いです。ここから踏み跡を少し下るとテントを張れるテラスがあります。3人テントを張れそうな安定した広いテラスです。今回4人用テントだったので張れるか不安でしたがなんとか張れました。張れなければタープビバークだったので助かりました。

2日目:コルE→剣尾根主稜→北方稜線でビバーク

コルE→3級の岩場→コルCまで

コルEからはブッシュを登ります。ちょいちょい悪い所もありますが、問題は無いと思います。トポには300mの歩きと書かれてある通り、結構登ります

最初の難所、3級の岩場です。登山靴でも登れますが、一部スタンスが小さいので心配な方はクライミングシューズが良いと思います。上の写真のところで0.4ぐらいのカムを決めて、その上に残置ハーケンがあったのでそれでも支点を取りました。

最初は姿勢が少し悪くなりますが、少し登ればガバホールドがあります。一段上がって右上に登るとハーケンがありました。その次の直上も少し悪く、小さなスタンスに体重を預け、手で強く引くと壊れそうなガバを持って思い切って身体を上げる感じでした。

一段登ると左手にRCCがあります。RCCをさらに左に回り込んで、少しブッシュを登って脆そうな根っこでアンカーを作り後続を迎えました。

天気が良ければ眺望はとてもいいです。右の早月尾根を登る登山者も見えました。

藪を抜けると正面に1峰がドーンと現れます。ここからコルCまではまだ少し歩きます。途中にハーケンが一つ打ってあるリッジがあります。最初フリーで登りましたがなかなか悪かったので後続はロープで確保して登りました

その後に上の写真のルンゼ状の簡単な岩場があります。こちらはフリーで問題なく登れます。

特に難しい個所もなく、コルCを目指します。

コルCの手前に、落ちたら助からない感じのクライムダウンがあります。それを抜けると、コルCは目前です。

コルC→核心の岩場(40mⅣ級(A1)Ⅴ+)→門(クラック40mⅣ級)→ドーム(30mⅢ)

コルCにクライムダウンしてクライミングの準備を整えます。下から見た感じ、残置ハーケンが多く見えます。

いよいよ核心のクライミングです。ここはクライミングシューズで登ります。コルCからはまず直上します。残置ハーケンが多いので分かりやすい。左上にも残置が見えますが、これは使いません。

5mほど直上して右にトラバースします。もちろんA0で登ります。スタンスはあるのでA0をすれば困ることはない感じです。トラバースの終盤で、次のハーケンが見えなくなるあたりが一番難しい。見えないガバを取ってハーケンに気づくまでが核心です。荷物が重く、足の親指が疲れました。

トラバースを終えてカンテに登ります。急に快適なクライミングとなります。カンテからは直上します。難しくは無いですが簡単すぎるわけでもありません。残置も多いですが、ヌンチャク16本では足りず、間引きながら、もしくは架け替えながら登ります。

登り切ったところに良い感じのピナクルがあったので、これでアンカーを作りました。

40mの核心のクライミングを終え、踏み跡を少し登るとビバークできそうなテラスがあります。そこから「門」が見えます。

門の登攀です。残置ロープとハーケンが3つが取付きの目印です。

門の登攀は、40mのクライミングに比べると少し簡単でした。最初の残置ロープがある所にリングボルトがあります。3番のカムでも念のため固め取りをして、残置ロープを持って思い切って登るとガバに手が届きます。

そこからは左上に登ります。ハンドジャムがバチ効きのクラックを頼りに登ると、確かリングボルトがあります。そこから難しい個所はありませんが、全体的にランナウトするので、1か所カムで支点を取りました。

続いてピッチを繋げます。最初は簡単なスラブ。ハーケンとカムで支点を取ります。カンテを回り込んでルンゼを登ります。ルンゼがとにかく岩がもろく気を使いました。落石注意です。ブッシュで支点を作って、ここで登山靴に履き替えました。このあたりがドームと呼ばれているところだと思います。

ドーム→剣尾根ノ頭→長次郎ノ頭→北方稜線

いよいよ剣尾根ノ頭が見えました。とがっててカッコいい!時間もちょっと押してきましたが、焦らず行きます。最悪どこかでビバークかな・・・

稜線を忠実に歩いていると、コルBとその奥に脆そうな岩場が見えます。コルBへは最初クライムダウンで降りようとしましたが、岩が脆そうで安全に降りられそうにないと判断して残置スリングを利用して懸垂下降しました。

懸垂下降の準備をしている時、足場が脆そうなので落石に注意してロープの末端は投げるべきではないと思いましたが、距離も数m程度だし、大きい落石は無いだろうと判断してロープの末端をコルBに投げました。

結果、50cm四方ぐらいの大きな落石を起こしてしまい、ロープに直撃して切らしてしまいました。時間的な焦りから基礎をすっ飛ばしてしまった代償ですね。基礎は忠実に行い、そしてアルパインはダブルロープで行くべきだと痛感しました。幸いもう一本シングルロープがあるのでそれで継続して登ることに。(翌日はチンネに行く予定でしたが、そちらは断念しました)

気を取り直してコルBから脆そうな岩場を登ります。青のルートが普通登られているルートだと思いますが、残置ハーケンに釣られてしまい赤のルートを登ってしまいました。岩が脆い上にちょっと悪かったです。ルートファインディングの能力が落ちてるな~・・・

続いてすぐに「難しくはないけど絶対落ちたらダメ」な道をトラバースします。残置ハーケンあります。トラバースして、すぐに短いチムニーがあります。荷物が小さければフリーで登れそうですが、念のためロープを出しました

ガスが濃くなってきました。岩も濡れ始めてきたので気を使います。特に難しい個所はありません。

脆いルンゼを登って、剣尾根ノ頭っぽいところへ向かってクライミングします。岩が濡れているので慎重に登ります。恐らく晴れていたら高度感を感じる場所なんだと思います。剣尾根ノ頭はカッコいいので景色を楽しみたかっただけに残念でした。

最後まで岩が脆く気が抜けません。ガスが濃く、道も不明瞭。上の写真の左の個所では最初尾根上を行きましたがかなり悪くなり、シビアなクライムダウンを交えました。少し戻ってトラバースするのが正解っぽかったです。落ちたら間違いなく助からない場所なので気を使いました。

長次郎ノ頭に到着しました。あとは踏み跡が明瞭な北方稜線を池ノ谷乗越側に200mほど歩くとビバークポイントがありました。北方稜線も事故の多い場所ではありますが、剣尾根に比べると岩が安定していて快適でした。

翌日は早月尾根を下るだけでしたが、水がもう少し欲しいということで、落ち着いてから池ノ谷乗越の雪渓まで雪を取りに行きました。6L分ほどの雪をバックパックに詰め込み、テントで溶かしました。ジェットボイルマイクロモ×2で効率よく溶かし、30分ほどで全て水に変換できました。

翌日は剣岳本峰を踏んで早月尾根を下りました。

今回使用したギアはこちら!

【ライペン/マカルー50L】容量がちょうど良い

最近はこればっかり使っている気がします。冬のテント泊と登攀装備も入れられます。季節を問わず使える容量で、サイズ感がめちゃくちゃ良いです。

今回はロープもザックの中に入れてます。ロープを外付けも悪くは無いですが、藪に引っ掛かるし、ロープを落としている人も見たことあるので、個人的にはあまりおすすめでは無いです。

【ペツル/ロシャ】【ブルーアイス/コーカスプロ】軽くて使いやすい

ペツルのロシャはHMSカラビナの中でも最軽量の45gです。安全環の変形D型カラビナと重量がほぼ変わりません。HMSカラビナでムンターヒッチをする予定がないなら、もしくは他に大型のHMSカラビナを持っているなら、ロシャは軽量で使い勝手が良いです。

ハーネスはブルーアイスのコーカスプロですね。軽量にも関わらず装着感は非常によく、今回のようなスポット的にクライミングが出てくるルートでも安心して使えます。ギアループが使いやすいのも良いです。

【ファイントラック/カミナテント4】軽さ、コンパクトさ、汎用性、堅牢さが全て揃っている

カミナドームを使いだすと、他のテントには戻れない気がします。生地は薄いのに堅牢な安心感があります。生地が薄いので軽くコンパクト。オプションも豊富で使用シーンを選びません。

【アイコム/IC-DPR4】ちゃんと繋がるトランシーバー

トランシーバーの決定版ではないでしょうか。見通しの良い場所なら開く3.5km、市街地でも500m~1kmまで届く性能があります。音量が大きいので滝の近くでも聞き取りやすいです。免許不要ですが、使用には届け出が必要です。商品に同梱してある紙に必要事項を書いて送るだけなので簡単です。使用料は年間800円で、更新時期になると振込用紙が送られてきます。

Amazonには怪しいトランシーバーが安価で売られています。過去には摘発されている事例もあるので、ちゃんとしたものを使った方が良いです。
>>安価外国トランシーバー使用で1名を摘発(総務省)

こちらのトランシーバー、定価は高いですがアマゾンでは安く売られています。おすすめはスピーカー付きの物です。トランシーバー本体をザックに収納し、スピーカーのみをショルダーベルトに装着して使うこともできます。

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■登山ガイドステージⅡ
■元登山用品店のショップ店員
■JSPO山岳コーチ2
■JSPOクライミングコーチ1
8年間務めた仕事を退職し、海外登山を果すほどの登山愛好家。
現在は二児の父をしながら、家庭と登山の両立を目指しています。
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