冬山-大山・登攀
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【大山】天狗沢の登攀

岩と沢さん
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大山の天狗沢は、下部でアイスクライミングができることで有名です。下部のアイスクライミングを登ると、稜線までは傾斜の強い雪稜が続きます。落石や雪崩には注意が必要です。過去には滑落事故もあり、多くの方が亡くなっているようです。慎重に登る必要があります。

一日を通して、下部から中間部は太陽があたりません。風も良く抜けます。支点は取りにくいです。硬い氷の上にうすく雪が乗っていると、氷の始まりが分からず滑落するリスクもあります。雪のコンディションなどさまざまな要素をリスクアセスメントして登る必要があると感じました。

ルートタイム

南光河原駐車場5:00~天狗沢取り付き7:30~縦走路13:00~剣ヶ峰13:30~弥山山頂14:00〜夏山登山道〜南光河原駐車場15:30

使用したギア

60mダブルロープ1本、スリング、アルパインヌンチャク、ハーケン×3、イボイノシシ×2、カム(小さめだと使えると思います)

岩と沢さん
岩と沢さん
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■元登山用品店のショップ店員だった僕。
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今回のログ

今回のログです。元谷から大屛風方面に行きます。大屏風の奥にひっそりたたずむ大きな沢が天狗沢です。

駐車場とトイレ

大神山神社奥宮まで参道を上がり、元谷へ行きます。車は南光河原駐車場か、県営駐車場に停めましょう。どちらも料金とアプローチ時間に大きな差はありません。詳しくはこちら。トイレは、南光河原駐車場のトイレが便利です。

アプローチ

威圧感のある大屏風の隣を登ります。天狗沢までのアプローチも落石や雪崩に注意する必要があると感じました。昔は大屏風も頻繁に登られていたようです。ちなみに、大屏風の写真の入り江のようになっているところが港ルートの取付きのようです。大昔登られていた大先輩の話によれば「去年打った支点が無くなる」ようで、それほど岩がもろいようです。

登攀開始

1p 唯一のアイスクライミングのピッチ

天狗沢は横幅が広いです。大屏風からの落石に注意し、左側を登ります。場所を選べば緩い斜度のところもあります。出だしはほぼ垂直な個所もありました。40mほど登れば滝の抜け口に出て斜度が緩みます。

アイススクリューは6本持ってきましたが、終了点で4本使うのでかなりのランナウトでした。もう少し持ってくればよかったと少し後悔しました。

2p 氷交じりの雪稜

2p目、沢が左と右に大きく分岐しています。気持ちよく登れそうなのは左ですが、支点が取りにくそうです。右は嫌らしい個所がいくつか見えますが、稜線まで続いてそうです。左からも登れるようですが、今回は右を選択しました。

所々現れる氷にスクリューを打ちながら、ロープいっぱい伸ばして草付きまで。斜面はそこまで急ではないですが、慎重に登ります。イボイノシシがバチ効きでした。

3p 支点の取れない雪稜

3p目は、支点が取れない雪稜でした。氷は緩く、スクリューはスカスカです。時々雪のすぐ下に岩があったりしました。斜度的には落ちることはないと思いますが、少し気持ち悪かったです。今回はカムを持ってきてなかったのですが、使える個所はありました。

4p 雪稜

4p目登りだしは、場所によってアイススクリューが決まりました。そのあとは雪稜が続き、脆い岩でプロテクションを取ります。ロープがいっぱいになった所で雪を掘り起こして支点構築。ロープを付けた冬の登攀が二度目のパートナーですが、器用にこなしてくれて助かりました。

5p 雪稜のトラバース

岩に沿って雪稜をトラバースします。途中、草付きでイボイノシシを打っていたら落としてしまいました。なんとか回収できたので良かったです。反省。

トラバースを終え、直上します。ここからルートが分かれそうだったので、ロープの流れが悪くなる前に早めにピッチを切りました。岩に張り付いていた氷にスクリューを半分ほど打ち込み、念のため草付きにイボイノシシを半分ほど打ち込んで終了点としました。

6p 雪稜

雪稜を登ります。ロープをいっぱい伸ばして雪を掘り起こして支点構築。ハーケン、イボイノシシ、スクリューとバラエティーに富んでいます。

7p 急峻な雪稜

下から見ると緩やかそうに見えましたが、雪稜の中ではルート中で最も強い斜度でした。幸いにも雪が良く締まっていたので快適に登れました。ロープいっぱい伸ばして、灌木で支点を取ります。

8p 緩やかな雪稜

斜度が緩やかになり、灌木で支点を取ります。稜線は目前で、登山者も見えます。ここでコンテに切り替え、稜線を目指します。

縦走路へ

稜線に到着です。稜線手前がガチガチに凍ってました。最後まで気が抜けませんでした。

まとめ

天狗沢はコンディションの見極めからリスクアセスメント、支点のバリエーションが必要だと感じました。今回のコンディションでは落石のリスクは少なそうですが、適度に締まった雪でふとももが疲労しました。雪がもう少し緩めば足に優しく、登りやすいと思いますが、落石や雪崩のリスクが増えそうです。

前日の三鈷峰の疲労も溜まっていたので、下山後は米子西ICを降りてすぐの「ラーメンつけ麺・笑福」さんにお邪魔しました。おいしい次郎系ラーメンを食べて、帰路につきました。(今回は台湾まぜそばを注文しました。)

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