クライミングレポ
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【沢登りの始め方】初心者が知るべき基礎知識とリスク、魅力や装備について

岩と沢さん
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  • 沢登りと登山の違いを知りたい
  • 沢登りを安全に始めたい
  • 沢登りに必要な装備を知りたい

沢登りは、山に流れる渓流(沢)を上流へ登っていく登山形態です。通常の登山道がない沢筋を、水に浸かりながら歩いたり、滝壺で泳いだり、滝を直登(シャワークライミング)したりします。沢登りは従来の登山とは全く異なり、普通の登山では味わえない楽しさがあります

ただし、沢登りには特有の危険要素もあります。濡れた岩での転倒や落石、急流、低体温、アブやヒルなどへの対策が必要です。安全に楽しむために、事前の知識と十分な準備を行いましょう。

岩と沢さん
岩と沢さん
この記事を書いた人
Profile
■JSPO山岳コーチ2(共通未修得)
■JSPOクライミングコーチ1
■元登山ガイドステージⅡ
■元登山用品店のショップ店員
■半年間、副業WEBライターしてました

山に登る事と、新しいギアを山で試すことが好きです。
趣味が登山だけという生活を16年ぐらいしてます。
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沢登りとは?渓流を遡行する冒険的登山

沢登りは「道がない沢」を進む自由度の高い登山です。川の水が自然にえぐったナメ(滑らかな岩の斜面)や滝、ゴルジュ(急峻な峡谷)といった特有の地形を進みます。冷たい水に触れながら進むため、真夏の暑さを忘れて楽しめます。

沢登りの魅力は「冒険感」

沢登りは「この先に何が待っているのだろう」という圧倒的な冒険感を味わえます。沢登りはワクワクとドキドキを与えてくれるので、大人でもついついはしゃぎたくなります。滝やゴルジュをどのように突破するか、自分の知識や経験、技術をもって突破する達成感もあります。

登山との違い

時には長時間、冷たい水の中に入っておく必要がある

沢登りは専用の沢靴(沢タビ)を使い、渓流の中を歩きます。服装は濡れることを前提に選ぶので、服装選びが重要になります。沢筋を歩くので、登山よりもリスクは高いです。しっかりと準備してから沢登りに行きましょう。

自分に合ったルート選びの基準

初心者はいきなり難しいルートに行ってはいけません。沢登り独特のグレード標記があるので解説します

ルートのグレードを確認する

ルートには1~6までの級や「初級・中級」の表記がある場合が多いです。最初は初級や1級の安全なコースを選びましょう。級には上と下が付く場合もあり、1級上なら1級よりも少し難しくなります。具体的には以下のとおりです。

1級(初心者向け)
簡単な岩登り程度で、リスクの低い初心者向けの沢です。沢に慣れた人ならロープが不要な場合も多いです。
2級(中級者向け)
初心者のみでの入渓は控えましょう。滝を登る際や高巻く際にロープが必要です。
3級(中級者向け)
滝の直登にクライミング技術が必要です。プロテクションを適切に取れる技術も要ります。ゴルジュのあるルートだと、より高度な技術が必要です。
4級(上級者向け)
沢の中でビバークする可能性があります。総合的な技術が必要です。
5級(熟達者向け)
日本のルートの中では最高ランクです。泳ぎ、徒渉、高巻で失敗すれば命取りとなります。年に数パーティが遡行できるルートです。
6級(プロフェッショナル向け)
遡行中、雨が降れば命取りとなるルートです。完全遡行パーティは少ない。

所要時間、下山路、エスケープルートを確認する

画像引用:国土地理院地図
登山道や林道があるとエスケープしやすい

日帰り可能な時間で、余裕を持って計画を立てます。降雨の影響を考え、夕方には脱渓点に戻れるよう余裕をみて行動しましょう。沢に隣接するように林道や登山道があればすぐにエスケープできるので、初心者にもおすすめです

沢登りを始める前に準備すべきポイント

沢登りは、入念な計画と準備が必要です。具体的には以下のとおりです。

  1. 体力・経験を確認する
  2. 緊急連絡手段と計画書を用意する
  3. 天候と水量を確認する
  4. 沢登りのリスクの対策をする

体力・経験を確認する

沢登りでは、途中で引き返すことが難しい場面もあります。ルートを最後まで歩きとおせる体力や、難易度に見合った技術が必要です。不安があれば決して無理をしないことが最も大事です。始めは簡単なルートを複数人で行動し、途中で疲れた場合に助け合える体制を作って挑戦しましょう

緊急連絡手段と計画書、保険を用意する

画像引用:ココヘリ
基本は登山計画書の提出。万が一のためにココヘリ加入もおすすめ

同行者との連絡手段(携帯電話・無線機)を用意しておきましょう。計画書は必須で、入渓・脱渓予定時刻と連絡先を家族や友人に伝えておきます。ホイッスルやビバーク用品なども状況に応じて携帯してください。谷筋は携帯電話の電波も入りにくい点にも注意が必要です

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天候と水量を確認する

雨が降った後は増水するので、不安があれば別日に切り替えましょう。県の防災情報など、ホームページで川の水量が見れるシステムもあります。河川のライブカメラも検索すればヒットします。事前に水量が多いことが分かれば、行かない判断も大切です

沢登りのリスクの対策をする

沢登りは登山と違いリスクが多いです。適切な対策をとることでリスクを減らせます。具体的なリスクと対策方法は以下のとおりです。

低体温のリスク
渓流の水は真夏でも冷たく、常に低体温のリスクがあります。初心者は水量の少ない沢を選び、服装は慎重に選びましょう。
水難事故のリスク
水に流されると危険な場面もあります。決して無理をしないことが重要です。信頼のおけるリーダーと行きましょう。天候をよく確認し、雨が多い時は渓流の水量も増えリスクが高まるので、別日に切り替えることも重要です。
マムシやクマなどのリスク
クマスプレーは必携です。すぐに取り出せる位置に用意しましょう。マムシは陽の当たる岩陰や笹の葉っぱの上に居ることが多いです。マムシに咬まれるとアナフィラキシーショックになる可能性があります。ポイズンリムーバーは必携です。事前に病院でエピペンを処方してもらうこともできます。

沢登りに行ってみよう

簡単なルートでも沢登りは楽しいです

初心者同士でいきなり沢登りに入るのは危険なので、ガイドツアーや山岳会への入会を検討しましょう。

ガイドツアーや講習会に参加する

最も安全に沢登りに行くには、ガイドツアーや講習会への参加がおすすめです。一度沢登りに行ってみて、ハマるようだったら別の方法を考えても良いです。ガイドツアーも講習会も「連れて行ってもらう」形だと、自分の技術は上がりにくいデメリットもあります。ガイドツアーで楽しめるかどうかは、ガイドの質にも左右されます

山岳会に入会する

一番のおすすめは山岳会への入会です。山岳会には経験豊かな人やノウハウがたくさんある可能性があります。山の先輩から技術を教わり、後輩に技術を教える一連の流れを経験すれば、自身のレベルもかなり上がります

万が一遭難した場合も、山岳会のメンバーが捜索に来てくれる可能性もあります。普段から山岳会の運用に協力するなど、互助の精神が大切です。

書籍やブログで学ぶ

ブログやYoutubeと違い、書籍の作成には多くの人の手間と労力がかかっています。それだけ信頼性が高いので、まずは書籍を購入しましょう。足りない所をブログやYoutubeで学ぶことをおすすめします。おすすめは以下の2冊です。

編集:山と溪谷社=編
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沢登りに関する情報が網羅的に解説してあります。写真や図も多く、わかりやすいです。情報も比較的新しいので、まずはこの一冊を手にして間違いないです。

「ヤマケイ登山学校沢登り」の古いバージョンです。情報は少し古いですが、写真や図が多いです。韓国と台湾の沢の情報が少しだけ記載してある点がポイントです。いつかは行ってみたい!

失敗しない沢登りの装備選び

最低でも、沢靴とクライミングギアがあれば沢登りに行けます。しかし、沢登りをもっと快適に楽しみたいなら、服装や小物をちゃんと準備しておくと良いです。具体的に解説していきます。

低体温になりにくい服装の選び方

沢登りは服装を間違えると、真夏と言えども低体温になるリスクを含んでいます。どうせなら寒さをできるだけ感じる事なく沢登りを楽しみたいですよね。沢登りの服装はこうじゃないとダメ!といった決まりはありませんが、沢登りでは服装が快適さを左右する重要な要素である点は間違いありません。服装の選び方は以下の記事で詳しく解説しています。
>初心者からベテランまで【沢登りの服装】のオススメを徹底解説!

沢靴の選び方

沢登りに行くなら、沢靴は必須です。沢靴とは、ソールが沢登り専用になっている靴のことです。沢靴のソールにはラバーソールとフェルトソールの2種類があります。それぞれのメリットとデメリットは以下のとおりです。

フェルトソールラバーソール
濡れた岩滑りにくいとても滑りにくい
ヌメリのある岩とても滑りにくい滑りやすい
泥や草の斜面少し滑りやすい滑りにくい
岩に生えたコケ滑りにくい滑りにくい
ソールの耐久性夏に毎週行くと1シーズンで張替えが必要ほとんど張替えの必要がない

フェルトソールはオールマイティに対応できます。ラバーソールはヌメリに弱く、初心者が使うと突然滑ってこけることがあります。初心者にはフェルトソールがおすすめです。岩のヌメリを経験でわかる中級者には、登攀力のあるラバーソールがおすすめです。

花崗岩のような大きくて硬い岩盤の沢だと、初心者にもラバーソールがおすすめです。グリップ力がケタ違いなので、快適さがまったく異なります。沢の岩質は初心者にはわからないと思うので、一緒に行く経験者の方の意見を参考にされると良いです。

以下の記事では、沢靴の選び方を詳しく解説しています。初心者におすすめな安価の代替品もご紹介しています。沢靴はレンタルもできます。
>>【沢靴の選び方】モンベル・キャラバン・代用品ごとにオススメを紹介!

沢登りで使いやすいライフジャケットの選び方

水量の多い沢登りにはライフジャケットは必須です。水が極端に少なく、泳ぎがほとんどない沢に初心者を連れて行ったときに、初心者を溺れかけさせた経験があります。初心者は服を着たまま水に入ると、想像以上に泳ぎにくいことを知らなかったからです。

沢登りで使いやすいライフジャケットの選び方は、以下の記事で詳しく解説しています。
>>【沢登り初心者必見】ライフジャケット徹底比較|タイプ別特徴

浄水器の選び方

綺麗な沢の水でも、100%安全というわけではありません。上流に獣の死骸や糞があると、水に大腸菌などが混ざっている可能性があります。浄水器があると安心して水が飲めます。沢登りや登山で使いやすい浄水器を以下の記事で解説しています。浄水スピードの速い物がおすすめです。
>>【登山おすすめ浄水器】カタダイン、ソーヤー、ハイドラパックを比較|浄水スピードが大事

手袋・ヘルメット・ザックなどの必須装備と便利アイテム

沢登りではハーネスやファーストエイドキットなどの装備も必要です。リーダーとして滝の登攀をする場合はハーケンなどの専門的な装備も必要です。以下の記事では沢登りに必要な装備を徹底的に解説しています
>>【超詳しい】沢登りの基本装備&あったほうが便利な物を網羅的に解説!

クライミングロープも持っていこう

沢登りではロープが水を吸収したり、クライミングほど丈夫なロープが必要なかったり、補助的に使いたいだけだったりするため、選び方が難しいです。以下の記事ではクライミングロープの選び方と沢登りにおすすめクライミングロープを紹介しています
>>クライミングロープのおすすめと選び方【メンテナンス方法や規格を解説】

装備選びの失敗例|初心者が陥りやすい落とし穴

綿の服装は水に濡れると乾きにくく、低体温になりやすいため注意が必要です。沢靴はソールがフェルトか専用のラバーの物を選びましょう。沢靴以外の靴では濡れた岩でコケてしまい、思わぬケガをします。

沢登りではワークマンのストレッチ性のあるレインウェアがおすすめです。登山用の高価なレインウェアを沢登りで使うと、破れたり防水性が落ちます。

まとめ

沢登りは万全の準備と慎重な行動があれば安全に楽しめる魅力的な山の遊びです。自分に合ったルートを選び、必要な準備をして、実際に沢登りに行きましょう。安全に行きたいならガイドルアーへの参加を、自身のレベルアップをしたいなら山岳会への入会がおすすめです

沢登りを快適に楽しみたいなら服装や道具選びが重要です。この記事を参考にして、楽しい沢登りの世界に踏み出しましょう。

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趣味が登山だけという生活を16年ぐらいしてます。
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