【登山コーチが解説】レインウェアの選び方とおすすめ6選|低体温症から身を守る道具
登山でレインウェアが必要なのは分かるけど、値段の違いや登山に必要な機能が分からない方は多いです。レインウェアはいざという時に命を守ってくれる道具なので、選び方を間違えてはいけません。
この記事では、レインウェアを選ぶ時に知っておくべき知識や選び方、自分の用途にあったレインウェアの選び方を解説します。この記事を読むとレインウェアの値段の違いが分かり、自分の満足いく一着を選べます。
この記事の結論は以下の4点です。
- 耐久性と透湿性の高さで選ぶなら3レイヤーのレインウェア
- 耐水圧は20,000mm以上あれば良い
- 無理にゴアテックスを選ぶ必要はない
- ベンチレーションがあると雨の日以外での使い道が広がる
僕のおすすめは以下の2点です。
ファイントラックは日本のメーカーなので日本人のサイズ感に会いやすいです。生地にストレッチがあるので登山中にストレスがありません。止水ジッパーも他のものより防水性が高いです。修理などのサービスも手厚いので長く愛用できます。
本格的な登山をするかどうかまだ分からない方は、モンベルのストームクルーザーをおすすめします。昔はゴアテックスでしたが、2025年からドライテック素材に変わりました。ストームクルーザーは1982年に販売され始めました。サイズ感や細部の使い勝手はこれまでの歴史が保証してくれます。
おすすめの登山用レインウェア6選
いざという時に自分の命を守ってくれるレインウェアを厳選したのでご紹介します。
ファイントラック/エバーブレスフォトン | モンベル/ストームクルーザー | ノースフェイス/クライムライトジャケット | パタゴニア/トレントシェルジャケット | モンベル/レイントレッカージャケット | ミレー/ティフォンストレッチ | |
| 防水生地 | エバーブレス | スーパードライテック | ゴアテックス | H2No | ゴアテックス | ティフォン |
| 耐水圧 (20,000mm以上推奨) | 20,000mm (JIS L 1092 B法) | 20,000mm以上 | 20,000mm (推定値) | 20,000mm (推定値) | 20,000mm以上 | 30,000mm |
| 透湿性 | 10,000g/㎡(A-1法) | 40,000g/m² (B-1法・参考値) | 20,000g/m² (推定値) | 20,000g/㎡ (推定値) | 20,000g/m² (B-1法・参考値) | 50,000g/m² |
| ベンチレーションの有無 | 有り (脇腹辺り) | 無し | 無し | 有り (脇下) | 無し | 有り (ポケット兼) |
| ストレッチ性の有無 | 有り | 無し | 無し | 無し | 無し | 有り |
| 生地の厚み | ・表地:15dn ・防水層:表記なし ・裏地:20dn | 30dn (3レイヤー) | 20dn (3レイヤー) | 50dn (3レイヤー) | 50dn (3レイヤー) | 表記なし (3レイヤー) |
| 重量 | 300g | 254g | 285g | 400g | 301g | 300g |
| ポイント | ・ストレッチがある ・防水性の高い止水ジッパー ・劣化しにくいPU系 | ・コスパに優れる ・モンベルのベストセラー ・軽量 | ・デザインに優れる ・旧カラーが安く狙い目 | ・堅牢 ・コスパに優れる | ・ゴアテックスのレインウェアの中でも安い | ・ストレッチがある ・透湿性が高い |
| 値段(税込) 2026,5月 | 39,710円 | 22,000円 | 50,600円 | 28,050円 | 29,200円 | 36,300円 |
| 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
価格と性能から以上の6点に絞りました。残念ながら値段はどれも上がってますが、高い山に行くならレインウェアを妥協してはいけません。登山人口が減っているにも関わらず山岳遭難の件数が増え続けている要因の一つは、道具の不備だと思っています。
登山には登山用のレインウェアが良い理由

登山用と登山用以外のレインウェアの違いは透湿性の高さです。登山はレインウェアを着て行動することを前提に作られていますが、登山用以外のレインウェアはそうではありません。透湿性が高いとレインウェアの中が蒸れにくく、乾くのも早いです。
透湿性が低いと「雨ではなく、自分の汗で自分を冷やす」ことになります。低体温症を招くので、必ず登山用のレインウェアを選んでください。
ビニールガッパは耐久性が低く透湿性が無いので登山では使えません。傘は横から吹き付ける山の雨に対応出来ないため使えません。必ず登山用レインウェアを使いましょう。
登山ではセパレートタイプを選ぶ


初心者や、高山・岩場に行く人はセパレートタイプのレインウェアを選びましょう。セパレートタイプとはジャケットとパンツに分かれているレインウェアのことです。
ポンチョは簡易タープにもなり、ザックごと覆える利点はありますが、風が強いと体の中まで濡れます。視界も悪いため、岩場では足元が見えにくく、ホールドが掴みにくいので危険です。
後悔しない登山用レインウェアの選び方
登山用レインウェアの選び方を解説します。
【生地のレイヤー】は耐久性と透湿性に影響する


レイヤーとは生地の層のことを言います。レインウェアは防水性の生地を表地や裏地で張り合わせて作られています。生地の層が少ないと軽くなりますが耐久性と透湿性が落ちます。層が多ければ耐久性が上がり重くなります。
レイヤーごとの具体的な説明は以下のとおりです。
- 3レイヤー(縦走登山におすすめ)
- 防水透湿素材が傷つきにくく、耐久性と透湿性(透湿性の見出しで解説)が高いです。本格的に登山する人におすすめです。
- 2.5レイヤー(強度を犠牲にして軽さを優先)
- 裏地はコーティングなどの加工を行ったものです。表側の耐久性は高いですが、裏地は3レイヤーの物と比べると耐久性と透湿性に劣ります。
- 2レイヤー(本格的な登山には不向き)
- 裏地は防水透湿素材がむき出しになっているので耐久性は低いです。防水透湿素材は2レイヤーでも裏地にメッシュを追加したレインウェアもあります。初心者は選ばないほうが良いです。


3レイヤーと2レイヤーの違いは見た目では分かりにくいですが、触った感触は全く異なります。3レイヤーは厚く頑丈ですが、2.5レイヤーは薄くて柔らかいです。
2レイヤーで超軽量をうたったレインウェアは使用1回で穴が開いた話もあります。慎重に選んでください。
【耐水圧】20,000mm以上のものを選ぶ


登山用レインウェアの耐水圧は20,000mmあれば問題ないです。生地の防水性は「耐水圧20,000mm」のように表されます。例えば、75kgの人が濡れた場所へ膝を付けた時の圧力は約11,000mmです。レインウェアの耐水圧が11,000mm以上の耐水圧があれば濡れないということになります。
【透湿性】結局蒸れるけど数値は高い方が良い


レインウェア内の蒸れを外に逃がす働きを透湿性と言います。蒸れが外に逃げないとレインウェアの内側は自分の汗で濡れ、体を冷やします。低体温症を防ぐためにもレインウェアに透湿性は必須です。
透湿性の高さを調べるテストは2種類あります。具体的には以下のとおりです。
- B-1法(ゴアテックスなどで採用方法)
- 生地を直接水に触れさせた状態で測定。数値が高く出やすいが、実際のレインウェア着用状況とは異なる測定方法。
- A-1法(ファイントラックなどで採用方法)
- 生地と吸湿材の間に空気層を作った状態で測定。数値が低く出やすいが、レインウェア着用時に近い測定方法。
僕の使用感でいえば、透湿性の数値は高くても雨の日に動けば必ず蒸れます。しかし、透湿性を犠牲にした安物のレインウェアはもっと蒸れるので登山での使用は危険です。値段の違いは性能の違いなので、安全のためにも一流メーカーのレインウェアを購入しましょう。
こちらの動画では、防水生地ごとに湯気をどの程度通すかの実験をしています。ゴアテックスが最も湯気を通し、次いでハイベントやドライテック、最後にH2Noという結果でした。
動画では3レイヤーのゴアテックスは内側に結露がほとんど無く、2.5レイヤーのゴアテックスは内側が結露していました。つまり、3レイヤーは耐久性だけでなく透湿性も高いということです。
【ベンチレーション】があると使い道が広がる


ベンチレーションとは、脇下などにジッパーを設けレインウェア内に溜まった蒸れを排出する機能のことです。蒸れは脇下に溜まりやすく、脇下のベンチレーションは理にかなった方法なので効果は高いです。ただし、脇下のベンチレーションを着たまま閉めるにはコツが要ります。

ベンチレーションがあれば蒸れを感じにくくレインウェアを着たまま行動できます。雨だけでなく、風が強い時の防寒着としてもレインウェアを選択できるので、わざわざウインドシェルを持って行かなくても良く、軽量化に繋がります。
【撥水性】透湿性を高めるために必要


撥水性とは、レインウェアの表生地が雨をはじく加工のことを言います。水で濡らした際に、水が球状になってポロポロ落ちれば撥水性は有ります。水が生地にべったり張り付くようでは撥水性はありません。
雨が降るとレインウェアの表生地は水を吸います。防水透湿素材がレインウェアの中の蒸れを排出しようとしても、表生地が濡れていると排出できずレインウェアの中は蒸れます。撥水性があるとレインウェアの透湿性が保たれ、蒸れにくくなります。
表生地の撥水コーティングが剝がれると撥水性は落ちます。撥水コーティングが剥がれない物は今のところありません。使用を続けると撥水性は必ず落ちます。落ちた撥水性は、自分でコーティングすることで復活します。
【ストレッチ】生地が伸びるとストレスがない

レインウェアでよく使われるePTFE系(ゴアテックスなど)の防水生地はほとんど伸縮しません。対してポリウレタン系の防水生地は伸縮しますが、劣化しやすい弱点があります。防水サックやテント、ザックの裏側がベトベトになって剥がれるのはポリウレタンが劣化した形です。
ファイントラックのエバーブレスはポリカーボネート系ポリウレタンの多孔質膜を採用しているため、生地に伸縮性があり劣化しにくい特性があります。
生地にストレッチがあると岩場での動作の妨げにならず、足回りのストレスが無いので雨の中でも縦走が苦になりません。
【サイズ感】少しゆとりをもたせておく
レインウェアは重ね着で使うので少しゆとりがある方が使い勝手が良いです。ゆとりがあるとレインウェアと肌面に空気層が出来るので蒸れにくいメリットもあります。ゆとりがあるサイズ感で作られているレインウェアもあるので、メーカーのサイズ表を確認しましょう。
外国製のレインウェアやビジュアルにこだわったレインウェアはタイトに作られているものが多いので注意してください。
【パンツ】フルジッパーだと残雪期も使いやすい




雨が降ってきた際は登山靴を履いたままパンツを履きます。レインウェアはそういったシーンを想定して裾ジッパーが大きく開くように作られており、登山靴を履いたままでも履けます。
パンツの内部を汚さない方法はいくつかあります。登山靴をナイロン袋で被せるか、裾を内側に折り曲げる方法があります。


フルジッパーのパンツは普通の登山だけでなく、天気の良い残雪気などにも便利です。アイゼンなどを装着したままでも履けます。ただし雪面は滑りやすく、行く山を選ぶので注意してください。
【詳細を見る】おすすめレイウンェア
おすすめのレインウェアの詳細を見てみます。
ファイントラック/エバーブレスフォトン




動きやすく、しなやかな着心地を実現したレインウェアです。エバーブレスを着れば、ほかのレインウェアに戻れません。通常の止水ファスナーよりも防水性の高いファスナーを使用しているため、大雨の日でも安心です。
表生地だけでなく、裏生地にも撥水加工がしてあるため、長時間透湿性をキープします。雨の日だけでなく、風の強い稜線上でも活躍してくれます。サイズ感も日本人に会いやすいので迷うことはないでしょう。
ファイントラックは修理サポートが手厚いです。生地に穴があけば補修キットを送ってくれます。詳しくはこちらをご覧ください。
モンベル/ストームクルーザー




高い透湿性を備えた、モンベルの独自防水透湿素材「スーパードライテック」を使用したレインウェアです。生地は30dnとやや薄いですが、軽くてコンパクトなのでバランスよく作られた一着といえます。
ベンチレーションは付いてませんが、レインウェアに必要な機能はすべて揃っていることから、コスパに非常に優れた一着です。ストームクルーザーは1982年に販売され始めました。サイズ感や細部の使い勝手はこれまでの歴史が保証してくれます。
ノースフェイス/クライムライトジャケット




登山だけでなく、野外フェスや街、キャンプでも来たいというノースフェイスらしいコンセプトで作られた一着です。雨がやんでも、両線で風に吹かれた時でも快適に着られるように開発されました。
また「雨の日こそ視界を保ったほうが良い」という考え方により、フード回りは頭を自由に動かせるように裁縫されています。
ノースフェイスはアメリカのブランドですが、日本のゴールドウィンが商品開発などを手掛けているので、サイズ感は日本人に合わせられています。サイズ感も安心して選べます。
パタゴニア/トレントシェルジャケット




ポタゴニアらしい堅牢なレインウェアです。昔のトレントシェルは2.5レイヤーで作られていましたが、今は3レイヤーです。昔はH2Noのコーティングが剝がれやすいデメリットがありましたが、3レイヤーになってから改善されました。僕が昔着ていたのは2.5レイヤーの時代の物ですが、雨が降っても肌面へのベタつきは少なかったです。
パタゴニアは「H2Noパフォーマンス・スタンダート」と呼ばれる独自のテストを行っています。防水性・透湿性・撥水性・耐久性が基準に達しているかどうかを調べるテストです。他のレインウェアよりも重くはなりますが、それなりの理由があるということです。
「良いものを長く着続ける」というコンセプトはパタゴニアらしいですね。ベンチレーションもついていて、コスパ良いレインウェアです。USサイズ感なので、日本のサイズよりも一つ下の物を検討しましょう。
モンベル/レイントレッカージャケット




ゴアテックスを採用したレインウェアの中で最も安いレインウェアだと思います。ストームクルーザーのゴアテックスバージョンとも言えるでしょう。「スーパードライテックが信用ならない!」という方はこちらを検討してください。
ミレー/ティフォンストレッチ




トップクラスの透湿性と、トップクラスの耐水圧を両立したレインウェアです。ゴアテックスなどで採用されているエPTFE系ではなく、ポリウレタン系のレインウェアとなります。生地に伸縮性があるメリットがある反面、劣化しやすいというデメリットに注意しなければなりません。
高温多湿な日本においては、ポリウレタンはどうしても劣化します。使用方法や保管方法によって寿命は大きく変わります。使用後は洗濯をして、湿度がなるべく低く、風通しの良いところにハンガーにかけて保管しましょう。
欧州サイズ感なので、日本のサイズよりも一つ下の物を検討しましょう。
レインウェアを長持ちさせるためのメンテナンス術
レインウェアを長持ちさせる方法を解説します。
【洗濯】表生地の汚れを落とす
レインウェアの性能を維持するに、は洗濯をして表生地の汚れを落とす必要があります。レインウェアに汚れが付いたまま保管すると、生地の機能が低下するからです。
基本的な洗濯方法は以下のとおりです。
- 洗濯表示ラベルを確認する
- すべてのファスナーとポケットを閉じる
- 洗濯ネットを使う
- 衣料用液体洗剤を少なめに使う
- 粉末洗剤、柔軟剤、漂白剤は使わない
- ぬるま湯、弱流水で洗うとベスト
- すすぎは2回以上
- 乾燥機の中温か日陰で吊干しする
【撥水性】洗濯後の熱処理のひと手間が大切
レインウェアを洗濯後、ひと手間で撥水性を蘇らせます。以下の二つの方法があります。
- 乾燥機の場合、乾いたウェアを温風乾燥で20分
- アイロンの場合、低温・スチーム無しにして、当て布してアイロンがけする
熱処理を施しても撥水性が回復しない場合は、市販の撥水材を使います。使い方は各製品の使用方法を参照してください。
【補修】穴が空いたらどうする?
穴が小さい場合や山で空いた場合、現場で使えるリペアテープを解説します。リペアテープには大きく二つの種類があります。
傷の大きさに合わせて切って張るだけのリペアテープです。レインウェア以外にもあらゆる素材に張り付けて簡単に補修できます。カラーも豊富です。応急処置的な扱いではありますが、簡単には剝がれません。
ゴアテックスの補修にはこちらがおすすめです。パッチを押し当てるだけでも良いですが、アイロンを使うとより粘着力が高まります。
ファイントラックでは生地に合わせた補修材を無償で送ってくれるサービスもあります。ちゃんと直したい場合は各メーカーに問い合わせてみましょう。
【保管】収納袋に入れずにハンガーを使う
保管の際はハンガーを使って吊るして保管しましょう。収納袋に入れて保管すると、折り目がついて生地を傷める可能性があります。
【雪山登山】レインウェアは使える?
レインウェアとハードシェルの大きな違いは以下の2点です。
- 雪面を滑りにくい加工の有無
- ピッケルなどをひっかけても破れにくい耐久性の違い
滑落するリスクがない、ピッケルなどを使わない雪山ならばレインウェアでも問題ありません。ただし、ハードシェルのほうが雪山には便利なので、お金に余裕が出来たら使い分けましょう。
まとめ
レインウェアはいざという時に自分を守ってくれる道具です。気温が低く、激しく降る山の雨でも耐えうる耐水性と、着たまま行動をしても自分の汗を外に排出してくれる透湿性があります。耐水性か透湿性、どちらかの性能が低ければ山では低体温症のリスクが上がります。自分の身を守るためにも性能の高いレインウェアを使ってください。







