【登山ガイドが解説】JRO(ジロー)とは|ココヘリ統合後の変更点と注意点
山岳保険を調べていると、必ず名前が出てくるのが「jRO(ジロー)」です。雪山やクライミングをする登山者の間では、長年の定番でした。
ただ、2022年にココヘリとの統合が決まり、制度の中身は大きく変わっています。ネット上の解説は統合前の情報が多く、今のjROの姿がわかりにくいのが現状です。
統合後のjROについて、先に結論をまとめます。
- jROは遭難時の捜索・救助に備える制度で、ケガの治療費は対象外
- 2023年6月から、費用を補填する形が「ココヘリが捜索・救助を手配する」形に変わった
- 遭対協など、ココヘリ以外が行った救助の費用は「ONE」に申し込むと最大30万円まで補償
- 新しく入る窓口はココヘリ(年会費6,600円〜)。ケガの備えは山岳保険で補う
加入を迷っている方も、昔から加入していて不安な方も、今の制度を正しく把握してから判断しましょう。
制度や料金は、2026年9月時点の公式情報をもとに書いています。JRO・ココヘリの制度は変更が続いているため、加入前に必ず公式サイトで最新の内容を確認してください。
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jRO(ジロー)とは|捜索・救助の費用に備える制度

jRO(ジロー)は「日本山岳救助機構合同会社」の略称です。登山中の遭難に備える、会員制の山岳遭難対策制度として知られてきました。
一般的な山岳保険との最大の違いは、捜索・救助の費用に的を絞っている点にあります。基本の情報は以下のとおりです。
| 正式名称 | 日本山岳救助機構合同会社 |
| 運営 | 2022年6月からAUTHENTIC JAPAN(ココヘリの運営会社)の子会社 |
| 備えるもの | 遭難時の捜索・救助 |
| 対象外 | ケガの治療費、死亡・後遺障害 |
| 新規入会の窓口 | ココヘリ |
特徴1:雪山や登はんまで幅広い活動が対象
jROは一般登山だけでなく、雪山やクライミング、沢登りまで対象に含めてきました。山岳保険の中には、ピッケルやロープを使う「山岳登はん」を対象外にする商品もあります。本格的な山をやる登山者ほど、jROを選んできました。
特徴2:会費が安い
捜索・救助に絞ったシンプルな設計で、統合前の年会費は2,000円台でした。総合型の山岳保険より安く備えられる点が、長く支持を集めています。ただし統合後は、新規入会の窓口も料金体系も変わりました(詳しくは後述)。
特徴3:ケガの治療費は対象外
jROが備えるのは、あくまで捜索・救助の費用です。転倒して骨折したときの治療費や、入院・通院の費用はカバーしません。「jROに入っているから全部安心」と考えるのは危険です。
ココヘリとの統合で何が変わったのか

統合でJROがどう変わったか見ていきます。
2022年6月:ココヘリの運営会社がjROを子会社化
2022年6月30日、ココヘリを運営するAUTHENTIC JAPANがJROを子会社にしました。ココヘリは、会員証を兼ねた小型の発信機を持って山に入り、遭難時にヘリで電波を探して見つける捜索サービスです。
統合の直後は、ココヘリ会員にjROの補償が付き、JRO単独の会員制度も続きました。この段階では、JRO会員の補償の中身はほぼ変わっていません。
2023年6月:「費用補填型」から「役務提供型」へ
大きく変わったのは、2023年6月にココヘリの新制度が始まったときです。従来のJROは、かかった捜索・救助の費用を後からお金で補填する仕組みでした。
新制度では、ココヘリが提携する民間のヘリやドローン、地上部隊を手配し、捜索・救助を直接提供します。手配の上限は550万円相当です。統合前と現在の違いを表にまとめました。
| 統合前のjRO | 現在(2023年6月〜) | |
|---|---|---|
| 仕組み | かかった費用を補填する(費用補填型) | ココヘリが捜索・救助を手配する(役務提供型) |
| 上限 | 550万円 | 550万円相当 |
| 自分や家族が手配した捜索 | 対象 | 対象外 |
| 家族の交通費・宿泊費 | 対象 | 対象外 |
| 見つける手段 | なし(費用の備えのみ) | 発信機で位置を特定 |
注意点:ココヘリ以外が手配した救助は対象外
新制度で注意したいのは、救助を手配したのが誰かによって扱いが変わる点です。ココヘリの補償の対象は、ココヘリが手配した捜索・救助に限られます。
警察が地元の遭難対策協議会(遭対協)や山小屋に直接出動を頼んだ場合、費用はココヘリの補償から外れます。遭対協の出動では隊員の日当などがかかり、数十万円の請求になる例も指摘されています。
空白を埋めるために、2025年10月9日から「ONE」の提供が始まりました。ONEはココヘリ会員専用の保険で、遭対協などによる捜索・救助の費用を最大30万円まで補償します。
ONEは申し込まないと適用されません。保険料はココヘリの運営会社が負担するため、会員の追加負担はゼロです。既存会員はマイページから、新規の方は入会手続きのあとに申し込めます。
昔のJROのつもりで加入を続けている方は今の適用条件をココヘリ公式サイトで確認してましょう。
現在のjROの仕組み|会費と補償の内容

2026年9月時点で、新しくjROの補償を得る窓口はココヘリです。ココヘリの山岳向けプランは3種類あり、すべてのプランに捜索・救助の手配が付きます。
具体的には以下のとおりです。
| ベーシック | GPS+ | SUMMIT | |
|---|---|---|---|
| 年会費 | 6,600円 | 13,200円 | 18,700円 |
| 入会金 | 3,300円 | 3,300円 | 3,300円 |
| 捜索・救助の手配 | 550万円相当 | 550万円相当 | 550万円相当 |
| 発信機のGPS | なし | あり | あり |
| 個人賠償責任 | 最大1億円 | 最大1億円 | 最大1億円 |
| アウトドア用品補償 | 最大3万円 | 最大3万円 | 最大3万円 |
| 死亡・入院・通院 | なし | なし | あり(死亡50万円など) |
個人賠償責任とアウトドア用品の補償が付く点は統合前のJROにはなかった強みです。落石を起こして他の登山者にケガをさせたときの賠償も、ベーシックプランで備えられます。
統合前からの会員向けには、JRO単独の会員制度も続いています。2025年5月時点の会費は、年会費2,200円+事後分担金です。
補償を受けるには発信機を持って山に入る必要があります。発信機は入金の確認後3営業日以内に発送され、手元に届くと使えます。発信機を家に忘れると、ヘリで見つけてもらえません。
JRO(ココヘリ)でカバーされないもの

ベーシックプランのカバー範囲は以下のとおりです。
| 備えたいリスク | ココヘリ(JRO) | 補い方 |
|---|---|---|
| 捜索・救助(ココヘリが手配) | ○(550万円相当) | 不要 |
| 遭対協などの捜索・救助 | △(ONEで最大30万円) | 山岳保険の救援者費用 |
| 家族の交通費・宿泊費 | × | 山岳保険の救援者費用 |
| ケガの治療費(入院・通院・手術) | ×(SUMMITは一部あり) | 山岳保険・傷害保険 |
| 死亡・後遺障害 | ×(SUMMITは死亡50万円) | 山岳保険・傷害保険 |
| 他人への賠償 | ○(最大1億円) | 不要 |
| 携行品の破損 | ○(最大3万円・免責5,000円) | 不要 |
転倒による骨折のような身近なケガには、捜索・救助の備えだけでは対応できません。「ココヘリで見つけてもらい、ケガと救援者費用は山岳保険で補う」という組み合わせが基本になります。
僕は長年「ココヘリ+日山協山岳保険」に加入しています。
クライミング・沢登り・雪山をやる人はJROだけで足りるか
今の制度で確認したいポイントは3つです。
1. 救助の手配ルート
登はん系の遭難は救助の難度が高く、警察から遭対協や民間救助隊に出動が頼まれる場面もあります。ココヘリ以外が手配した救助はONEの30万円が上限です。差額に備えるなら、山岳保険の救援者費用が必要です。
2. ケガの治療費
クライミングや沢登りは、遭難に至らないケガが一般登山より起きやすいです。捜索・救助の備えだけではケガの治療費をカバーできません。山岳保険は「山岳登はん」に対応する商品が必須です。
登はんに対応する山岳保険は、以下の記事で比較しています。
>>山岳保険の比較と選び方
3. 見つけてもらう手段

ココヘリの公式サイトによると、41都道府県の警察・消防がココヘリの仕組みを活用中です。登山届を出しておけば、捜索の範囲を絞り込めます。発信機と登山届はセットで準備しましょう。
>>コンパスで登山届を出す方法
JRO(ココヘリ)が向いている人・向いていない人
ココヘリ(JRO)が向いている人
- 捜索・救助の備えを年6,600円から確保したい人
- 単独行が多く、早く見つけてもらう備えを重視する人
- 雪山やクライミング、沢登りなど、人の少ない山域に入る人
ココヘリ(JRO)だけでは足りない人
- ケガの治療費や死亡・後遺障害まで備えたい人
- 遭対協や民間救助隊が出動しやすい、難度の高い山に行く人
- 統合前のイメージのまま、適用条件を確認せずに加入を続けている人
山岳保険は、1つで完璧に備えられる商品がない分野です。JROの位置づけを理解して自分の登山スタイルに合う組み合わせを選びましょう。
まとめ:JROは統合後に「捜索・救助を手配する制度」へ変わった
JRO(ジロー)は、捜索・救助の費用に備える定番の遭難対策制度です。2022年のココヘリとの統合を経て、2023年6月に「費用補填型」から「役務提供型」へ変わりました。
- 新しく入る窓口はココヘリ(年会費6,600円〜、入会金3,300円)
- ココヘリ以外が手配した救助は、ONEに申し込めば最大30万円まで補償
- ケガの治療費や家族の交通費は、山岳保険で補う
加入や継続の判断は、必ず最新の公式情報をもとに行ってください。
ココヘリ(jRO)を含めた山岳保険の比較と、登山スタイル別の選び方は以下の記事で解説しています。
参考:ココヘリ公式サイト(料金・プラン比較)、jRO公式サイト

