【宝剣岳】サギダル尾根~宝剣岳~宝剣山荘テント泊|宝剣岳中央稜撤退編
サギダル尾根は中央アルプス宝剣岳の南に位置する顕著な尾根です。冬季クライミングの入門的バリエーションルートとされていますが、簡単すぎるわけでもなく、雪の状態次第では侮ってはいけないルートだと感じました。標高が高い点も考慮しないといけません。
今回はサギダル尾根を登り、宝剣山荘をベースとして宝剣岳中央稜や西面を登る予定でしたが、着雪も多くサギダル尾根以外は撤退しました。宝剣岳では過去に事故も起きているので注意が必要です。くわしくはこちら(クリックでページ下部に移動します)
- コースタム
- 千畳敷駅 9:30発~取付き 10:30~サギダルの頭 14:30~宝剣岳頂上 15:30~宝剣山荘テント泊 16:00
- 持って行ったクライミングギア
- 50mダブルロープ×2、カム(#0.3~3)、ヌンチャク、アルパインヌンチャク、スリング、トライカム
宝剣岳周辺の岩場はクラックが多く、岩も比較的しっかりしているのでカムが良く使えます。今回はトライカムなど他のギアも持って行きましたがサギダル尾根では使いませんでした。
冬季サギダル尾根の概要

赤線が今回のルートです。前日(2日前だったか?)に30cm程度の雪が降ったと聞き、雪の多いコンディションだったと思います。
バス停、ロープウェイについて
菅の台バスセンターからバスでロープウェイ乗り場まで行きます。朝一のバスに乗らないと、場合によっては最終のロープウェイに間に合わず歩いて降ることになるようです。こちらのサイトでチケットの予約購入はできますが、時間の指定はできないので注意が必要です。
サギダル尾根の登攀

今回はテント泊で2泊3日の予定でしたのでそれなりの荷物でした。軽量化をしたつもりですが28kg程度だったと思います。
千畳敷ホテルから取付きまで

千畳敷ホテルの出口を出て、左手を見るとサギダル尾根が良く見えます。迷うことは無いと思います。

雪稜を登ります。本来は右の尾根(謎のケーブル有り)を登るようです。

写真赤丸の位置を今回の取付きとします。取付きでロープを出すと良いでしょう。写真では赤〇の左上に別パーティが見えます。

一個前の写真の赤〇の位置まで来ました。写真を見てのとおり、このあたりから雪が少し固くなってました。
1ピッチ目:取付きから岩稜帯の手前まで


1ピッチ目は雪稜と灌木帯です。今回は取付きにてロープを出しませんでしたが便宜上1ピッチ目とします。ロープを出すかどうかは雪の状態などで判断されると良いかと思います。順番待ちが多ければ先にロープを出しておいた方が良い思います。


とても良い天気!宝剣岳や登山者が見えます。


それなりの斜度を登ります。前のパーティを待ったりしたので、ロープを出しておいた方が良かったなと思いました。灌木で支点は十分に取れると思います。

岩稜帯の基部に到着、ここまでを1ピッチ目とします。右の大きな岩にスリングを巻き付けてセルフビレイをセットし、ロープを装着しました。斜度はありますが足場はそれなりに安定している場所です。次のピッチが核心なので、ここで順番待ちをすることも多いようです。
上の写真で赤い服を着ている方の所が、次のピッチの終了点です。
2ピッチ目:核心ピッチの岩場

いよいよ核心ピッチです。岩場は短いですがピリリとするクライミングです。最初に灌木などで支点を取り、ほぼ垂直となった岩場では小さめのカムを使って支点を取ります。最初の垂直の岩場はホールドもスタンスも豊富なので楽しいクライミングです。上の写真の青いザックのリードが見えるあたりで左にトラバースします。
スラブのトラバースを終えるとハーケンがあります。ハーケンで支点をとり、スタンスに乏しい短い凹角を登ります。細かいスタンスにアイゼンの前爪を引っ掛けて登る感じでした。短い凹角を登ると目の前にワイヤーが巻かれたピナクルがあり、ここでピッチを切りました。
スラブのトラバースが少し怖かったです。今回は雪に隠れて全容が見えませんでしたが、岩はスラブ状となっており、ホールドが見つけにくかったです。支点はトラバース前に小さいカムが甘く決まった程度でした。探せば良い支点があるのかもしれません。

2ピッチ目の終了点から1ピッチ目の終了点を撮った写真です。短い凹角を登るとすぐに大きなピナクルにワイヤーが巻かれていたので、これを2ピッチ目の終了点として使いました。
簡単な灌木帯~サギダルの頭


ワイヤーが巻かれた大きなピナクルを乗越して、短いナイフリッジを渡ると灌木帯に到着です。太い木が豊富にあり、斜度も強くは無いので快適な登りでした。


灌木帯を登るとだんだんと斜度が緩みます。念のためロープを出したまま登るとすぐにサギダルの頭に到着しました。素晴らしい景色!強風に注意しましょう。
サギダルの頭~宝剣岳~宝剣山荘
宝剣山荘までの道のりは何か所かスリリングな個所があり怖いので注意しましょう。
サギダルの頭~宝剣岳


ご褒美のような稜線歩きをしばしば楽しみ、宝剣岳を目指します。稜線は広くなだらかなので、視界が悪い時は方向を間違えないように注意しましょう。


宝剣岳に近づくと岩がゴツゴツしてきます。短いですがなかなか痺れるナイフリッジを渡り、宝剣岳の岩場へと入っていきます。


岩場は鎖が多く、道に迷うことはありませんでした。アスレチックのような感じで楽しかったですが、トラバースがなかなか怖かったです。

宝剣岳山頂の手前にあるトロルの舌です。落ちたら間違いなく助からないので、なかなか怖かったです。僕はビビりなのでちょっと覗いただけで止めときました。

宝剣岳の山頂に到着です!

宝剣岳山頂からの降りです。斜度が強くなかなか痺れました。サギダル尾根を含めて、山頂直下の降りが一番気を使ったかもしれません。少しでも不安を感じる方はロープを出しましょう。ロープだけでは人の滑落を止められません。アックスビレイの技術やスリング・カムを使っての支点構築などの技術を覚えておくと安全につながります。
宝剣岳では滑落事故が起きています。詳しい場所までは分かりませんでしたが、過去に起きた事故はこのあたりでは無いだろうかと思いました。事故についてはこちらをクリック(ページ下部に飛びます)亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

宝剣山荘の前にテントを張り、翌日に備えます。テントについては事前に宝剣山荘に電話連絡をして確認しましょう。基本的に宝剣山荘は営業していません。
【敗退】翌日は宝剣岳中央稜へ

宝剣岳全容。オケラクラックが全く見えないほど雪が着いてました。


今回の目玉である宝剣岳中央稜へ。見るからに着雪が多く難しそうだなというのが第一印象でした。おそらくここだろうという1ピッチ目を登りますが、やはり気持ち悪い。僕の技量では安全に登れそうにないと判断し、今回は無理せずに早々に撤退しました。
翌日は西面を登る予定で偵察に向かいましたが、こちらも雪が多く、その日のうちに下山を決めました。残念!またリベンジに来ます。
宝剣岳での過去の事故について
宝剣岳では過去に事故が起きています。詳しい場所までは分かりませんでしたが、恐らく山頂直下ではないかと思います。行かれる方は注意してください。以下は山と渓谷オンラインの山岳通信の引用文です。
“2月10日、中央アルプス宝剣岳で、単独で入山した43歳の男性が宝剣岳から千畳敷方面へ下山中、バランスを崩し滑落して負傷する山岳遭難が発生。男性は、駒ヶ根署員、木曽署員及び中央アルプス地区山岳遭対協救助隊員により救助された。
2月10日、中央アルプス宝剣岳で、59歳の女性が宝剣岳へ登山中、足を滑らせ滑落する山岳遭難が発生。女性は山梨県警ヘリで救助されたものの、死亡が確認された。”

