【御在所岳】前尾根クライミング|初めてでも安心!アプローチ、トポ、下山路
三重県、御在所岳の前尾根は、初めてマルチピッチクライミングをする人に取って入門的なルートだと言われています。稜線を登る中でルートは複数あり、簡単な所を選べばあまり苦労することなく登れるのではと思います。難しいルートを選べば、初心者からのステップアップにもなる好ルートです。
この記事では、初めて前尾根に行く人のために、詳細なアプローチ、ルート、下山路を写真付きで解説しています。コースタイムやトポ図のあるサイトもご紹介しています。
この記事を読むことで、初めて前尾根に挑戦する方でも、安心して取り付くことができます。
岩場の概要
トポ図
ふわく山の会さんのHPを参考にさせて頂きました。
こちらのサイトでトポを見れます。(前尾根P6の①と②はⅥ級となっていますが、正しくはⅣ級です)
ルート概念マップ
概念図を作成しました。ルートはログでは無いので正確ではありませんのでご注意ください。
※アプローチはページ下部で詳しく解説しています。
岩場全景
中尾根から撮った写真です。
駐車場
蒼滝大橋を過ぎてトンネルの手前に4台ほど停めれます。手前にも10台程度停めれるスペースがあります。
コースタイム
【4:44】蒼滝駐車場出発→ 【5:21】藤内小屋着→ 【5:55】藤内小屋出発→ 【6:25】テスト岩→ 【6:35】前尾根1P取り付き→ 【8:50】P5取り付き→ 【11:45】P3取り付き→ 【12:40】ヤグラ取り付き→ 【13:50】ヤグラから下山開始→ 【14:50】藤内小屋着
9月初旬に登ったので暑く、人数も多かったのでかなりゆっくり歩きました。他にパーティは居ませんでした。渋滞などがあるともっと遅くなると思います。
持っていったギア
- ダブルロープ50m
- カム0.3~5番(0.5~4番は2セット)
- ヌンチャク、アルパインヌンチャクを1人合計8個
- スリング類(120cm、240cmを1人1セットづつ)
- クラックグローブ(あったほうが良いです)
- セルフビレイコード
- アプローチシューズ
- アタックザック(25L前後)
持っていったギアは上のリストの通りです。実際には使わなかったものも多いです。簡単なルートを選んでいくなら、カムは1セットで大丈夫だと思います。長い懸垂下降も無いので、60mのシングルロープでも行けるみたいです。
藤内小屋での宿泊
藤内小屋にお世話になりました。週末のみの営業のようですが、平日でも事前に電話することで、対応して頂けるとの事です。ビールやジュース、簡単なおつまみが売ってあります。トイレはチップで誰でも使えます。(ビール350mlで350円。500mlで500円です)
一泊2食付き、お風呂も込めて6100円でした。アルプスの山小屋と比べるとはるかに安いです!山小屋のご主人やスタッフの方は皆様とても親切な方で、本当に楽しかったです。普段は節約のためテント泊ばかりですが、ここは来訪時必ず利用したいです。
料理も美味しく、超快適でした!お風呂にも入れます。
藤内小屋から前尾根への道
藤内小屋のトイレ横を通ります。裏道登山道と呼ばれるコースを行きます。
すぐに、前尾根が見えます。正面の独立した尾根が前尾根です。左に見える壁は中尾根や藤内壁などです。
裏道登山道を道なりに進むと、上図の看板が出てきます。藤内小屋からここまで25分程度です。ここから裏道登山道を外れ、藤内壁方面へ行きます。
目の前に中尾根バットレスなどの藤内壁が現れます。赤の矢印のように登ります。
画面中央の大きな岩が、テスト岩です。ここから赤の矢印のように数分登ると、P7の取り付きです。
前尾根クライミング
難易度やピッチ数は、どこを登るかで大きく変わります。今回僕たちが選んだルートは、11ピッチでした(歩きを除く)。難易度は5.9が最高です。巻道や簡単なルートを選べば、ピッチ数は減り、時間も短縮できると思います。
P7 V級
P7です。いきなりクラックから始まります。自信の無い方は、簡単に右から巻けます。
ここは4つのルートに分かれています。今回僕たちが登ったのは、ノーマルルートと呼ばれるV級のルートです。出だしのクラックは少し狭いので緊張します。ハーケンが1個あります。キャメロットを積極的に使いましょう。
クラックが終わり、木の根っこにスリングで支点を取って右から回り込むとボルトがあります。ボルトを直上してリッジを登ります。難しくはありません。
P7終了点。
P7からP6への歩き
P7終了点から岩に乗り込むところだけ少し難しいです。それ以外は歩きです。P6取り付きまで40m程度歩きましょう。
P6 IV~5.9
P6の岩場です。ここも複数ルートを選べます。左のリッジを登ればIV級、右のクラックを登れば5.9です。
IVのリッジルート。ボルトが適度にあるスラブです。ルートは20m程度であり、長くはありません。
5.9のクラックル-ト。オールナチュプロで、ハンドサイズの気持ちの良いクラックが続きます。テラスに乗り込むときが、岩がボロボロで怖いです。
クラックを終えて、IVのチムニーを登ります。4番と5番のカムが決まるので安心です。
チムニーの終了点から、もう一段フェイスを登ります。リングボルトでA0をしたら、簡単に登れます。
P5まで100mほどの歩きとなります。
P5 Ⅲ~V級
3ルート選べます。上図のルートが藤内沢川ルートV級です。一番右がⅢ級です。Ⅲ級のルートはロープが無くても登れそうでした。ロープ無しで登るパーティも多いようです。
藤内沢川ルートは結構怖いです。スラブに乗り込まないといけません。ついついヌンチャクを掴んで登りますが、終了点前が核心。右手奥にカチがあるので、それに気づけると安定して登れます。
終了点からは恐怖のクライムダウンがあります。ハーケンがあるので、A0を上手に使って降りると良いと思います。ここを降りると、P4までは短い歩きです。
P4 Ⅲ~5.9
ルートが複数取れます。写真の位置から左に大きく回り込むとすべり台ルートにいけます。すべり台はⅣ~V級。高度感もあるようです。
左に回り込まずに、写真の中央に向かって登ると、凹角ルートⅢ級と、クラックルート5.9に行けます。凹角ルートとクラックルートに行く場合は、画面右下あたりの立木付近に終了点があるので、そこまで行くと良いです。もしくは、凹角に入る手前にも終了点があります。
これは凹角ルートⅢ級です。キャメロットで支点を取る必要があります。
これはクラックルート5.9です。ハング越えでA0しましたが、フリーでも行けるとの事。クラックはハンドサイズがこれでもかと決まって気持ちが良いですが、そこに行くまでが結構緊張しました。
上から見るとカッコイイです。終了点から、短い歩きでP3取り付きまで行きます。
P3 Ⅲ~V級
Aスラブと呼ばれる岩です。Ⅲ級のルートです。カチがあるので登りやすいスラブです。
こちらはBスラブです。
Bスラブの核心はこちらのV級のクラック。短いですが、壁は垂直で結構緊張します。クラックの手前に終了点があります。心配な方は早めにピッチを切った方が良いです。クラックの左のチムニーはⅣ級のようです。
Cスラブです。最後の岩をどこから抜けるかで難易度が大きく変わります。全体を通して難しくはありません。
P2 ヤグラ Ⅳ級
最後のピッチにして、個人的には一番楽しいピッチでした。全体を通してハンドジャムがよく効まるサイズ感のクラックです。カムで支点を取りますが、カムも効まりやすく安心感があります。壁はたっていますが、思い切って登りたい。
核心は中間のボルトの上だと思います。チョックストーンのような岩を、体を空中に出して乗り込むように登ります。ホールドはあるので思い切って登りたい。下りは取り付きまで懸垂下降で降りました。すぐ脇に下山路もあります。
下山
下山路は、来た道を引き返して赤い矢印方向に行きます。
踏み後は明瞭です。沢に向かっております。
ひたすら沢に向かって歩いていく。
沢に到着しました。ここから右岸か左岸、どちらか歩きやすい方を下流方面に向かって歩いております。踏み後が分かりづらいです。僕たちは右岸側を歩いて降りましたが、一部悪かったので左岸の方が良かったかも。
沢が狭まって、大きな滝が出てきたら左岸側に裏道登山道が見えます。あとは登山道沿いに降るだけです。
温泉
アグアイグニスへ寄りました。日帰り湯で800円です。この辺りにしては安いようです。パン屋やオシャレなお店が併設してある、オシャレな温泉でした。温泉からの景色が最高でした!
まとめ
御在所岳の前尾根は非常に面白いルートでした。いろいろなルートをとれるので、何度行っても楽しめると思います。ぜひともまた訪れたいですね!
ではまた!