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【安全に楽しむ】アルパインクライミングの始め方|日本におけるアルパインの種類や、必要な知識など

岩と沢さん
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  • アルパインクライミングを始めたいけど、教えてくれる人がいない
  • クライミングについてまとめられたサイトが見つからない
  • アルパインクライミングは敷居が高くて、もう一歩踏み出せない

ボルダリングジムなら誰かが登り方を教えてくれますが、外岩となると教えてくれる人はなかなかいません。昔は山岳会が教えてくれる場所でしたが、時代の変化とともに若い人が入会せず、教える力も無くなってきました僕の周りにも「やりたいけど、教えてくれる人がいない」と嘆く人を沢山見てきました。

この記事では、アルパインクライミングの始め方について、網羅的に詳しく解説しています。この記事を読むと、アルパインクライミングの種類や必要な知識、装備について学べます。現地で経験豊かな人から学ぶことが一番良いですが、このページが手助けになれば幸いです。

岩と沢さん
岩と沢さん
この記事を書いた人
Profile
■JSPO山岳コーチ2(共通未修得)
■JSPOクライミングコーチ1
■元登山ガイドステージⅡ
■元登山用品店のショップ店員
■半年間、副業WEBライターしてました

山に登る事と、新しいギアを山で試すことが好きです。
趣味が登山だけという生活を16年ぐらいしてます。
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当ページにて分からない単語はクライミング用語集にて解説しています。

アルパインクライミングとは何か?

アルパインクライミングの定義はさまざまです。一般的には、標高の高い山岳地帯でのさまざまな要素を含む登山のことを指します。この記事では、より困難な方法で山に登ることをアルパインクライミングとしています。なので、 沢登りやアイスクライミングもアルパインクライミングに含めています。

アルパインクライミングという言葉はヨーロッパで生まれた言葉です。日本の山にピッタリと合わせる言葉が無いので、さまざまな定義があるのだと思います。

アルパインクライミングの魅力

アルパインクライミングに必要な知識や技術、経験は数多くあります。通常の登山やクライミングでは登れないルートを登るので、冒険心や好奇心、達成感は大きいです。山のパートナーとお互いに高めあうことで「戦友」のような絆を深められます。

フリークライミングとアルパインクライミングの違い

フリークライミングやボルダリングは、岩を登ることに特化しています。アルパインクライミングはアプローチ(取り付きまでの道のり)や天候の変化、ルートファインディング、長時間行動、ビバークの可能性など、総合的な登山技術と判断力が求められます。

アルパインクライミングを始めるステップ

焦りは禁物です。以下のステップを参考に、着実に経験とスキルを積み重ねていきましょう。

アルパインクライミングのリスクを知って安全に登る

アルパインクライミングにはリスクがあります。リスクがあるからこそ楽しい、とさえ言えます。ルートや山に合わせてリスクを考え、適切に対処する能力があって初めて安全に楽しめます。具体的なリスクは以下のとおりです。

  • 天候の急変:強風や降雪など、天気を読む力が必要
  • 滑落・転落:ロープ技術や歩行技術の習得が不可欠
  • 落石、落氷:常に落石の危険について注意が必要
  • 雪崩:冬季や残雪期には雪崩のリスク評価が必要
  • 道迷い、遭難:ルートファインディングが重要
  • 低体温症:夏でも注意が必要

ルートに潜むリスクを予測し、回避策や対応策を考えます。複数の天気予報やルートの詳細情(難易度、所要時間、アプローチ、下降路、エスケープルートなど)を事前に調べます。過去の登攀記録や最新の状況などの情報も欠かせません。

技術レベルや体力、経験、価値観が近い信頼できるパートナーと登ることが理想です。僕の経験上、息の合ったパートナーだと登攀時間も早くなり安全です。撤退の判断が必要なときでも考え方が似ていると撤退しやすいです。普段から一緒に練習することが大事です。

登山計画書の提出、山岳保険への加入は残された家族や捜索に当たる方のためにも必須です。万が一の時には最低限のセルフレスキューにとどめ、捜索依頼を出しましょう。レスキューには人数が絶対的に必要です。二次遭難を防ぐため、自分たちでどうにかしようと思わないことが重要です。

アルパインクライミングに必要な技術を習得する

クライミング技術は外岩で積みましょう。ジムと外岩では、求められるクライミング技術が少し異なる場合があります。外岩に必要な技術と、外岩の環境に慣れることが重要です。外岩の始め方はこちらの記事で解説しています。
>>【外岩クライミング入門】始め方や安全に楽しむための完全ガイド!ジムとは違うポイント

外岩に慣れてきたら、マルチピッチクライミングを練習しましょう。アルパインクライミングに必須の技術といえます。
>>【基本】マルチピッチクライミングの手順&事前に準備すべきものを解説!

日頃の体力トレーニングも重要です。重い荷物を背負って歩き、登るための体力は必須です。ランニングだけでは鍛えられないので、登山やトレイルランニングを行いましょう。スタミナとは筋肉に蓄えられたグリコーゲンの量のことなので、筋力トレーニングも重要です。
>>【栄養学で解説】行動食の選び方とおすすめ|炭水化物(糖質)が重要【スーパーで買える】

登山学校や講習会、山岳会への参加を検討する

現地で経験豊かな人に学ぶことが最も大事です。そういったチャンスのない方には、登山学校や講習会、山岳会がおすすめです。一緒に登るパートナーも見つけられるかもしれません。人間関係で敬遠される山岳会ですが、誰かと長く山に登り続けるには人間関係も重要です。

SNSにはクライミングのノウハウが多数公開されていますが、惑わされないでください。本当に実用的なのか怪しいものも多いです。ノウハウよりも経験こそ大事だと僕は考えています。経験を積めば、必要な技術が分かります。

アルパインクライミングの種類

日本における、アルパインクライミングの種類を具体的に説明します。

本チャンクライミング:登山とクライミングの合体

クライミング要素と登山要素を掛け合わせた登山です。北岳バットレスや前穂高北尾根、明神岳東稜、剣岳の八ツ峰などがこれに当たります。重い荷物を担いで歩く体力、マルチピッチや懸垂下降の技術、天候や状況を判断する能力が必要です。

雪山登山:雪稜登攀や縦走

夏と冬では山の環境は大きく変わります。天候や雪の状態、計画、装備など、さまざまな要素がからむ雪山登山もアルパインといえます。生活技術が重要な雪山の縦走もアルパインだと考えています。

ミックスクライミング:岩と雪、氷のミックス

雪山登山とクライミングを掛け合わせた登山です。岩場をグローブやアイゼンで登る必要があります。岩に雪が付着すると支点やホールドが隠れてしまうので、難易度は大きく変わります。

アイスクライミング:凍った滝を登る

岩を登る技術とは少し違う、氷を登る技術が必要です。道具の良し悪しも登攀の成否に直結します。

沢登り:川や源流を詰める

計画や体力、クライミング技術、不測事態への対処、支点構築など、総合的な技術が必要です。簡単な沢登りから非常に難しい沢登りまで、難易度は多岐にわたります。

アルパインクライミングに共通して必要な装備

ルートや季節によって必要な装備は大きく異なりますが、基本的なものを紹介します。最初から全てを揃える必要はなく、レンタルを活用したり、経験豊富な指導者や先輩に相談しながら徐々に揃えていきましょう。

登山靴:岩稜帯や雪上に対応できるもの

夏でも雪上を歩くなら、アイゼンを装着できる登山靴が快適です。荷物を背負っているなら、ソールは固い方が足が疲れにくく、岩も登りやすいのでおすすめです。ローカットは足首の自由度はありますが健脚向きです。ハイカットはつま先で立ちこんだ際に足首のサポートを受けられます。

左の靴はクライミングゾーン無し、右の靴はクライミングゾーン有

ソールのつま先にクライミングゾーンが有るととクライミングしやすいです。岩稜帯を登るなら、クライミングゾーンのある登山靴をおすすめします。

登山靴はモデルによってワイズ(足幅)が異なります。無理にワイズの狭い靴を履くと、足が痛くなりやすいです。モデルによっても異なりますが、メーカーで靴のワイズはある程度予想できます。足の幅が広い人が狭いワイズの靴を履くとつま先が痛くなります。靴のサイズを上げることで対応可能ですが、シビアに選ばないと歩きにくいし登りにくいです。

日本人の足幅は普通~広めが多いです。靴のワイズはEで表記され、3Eだと広めで4Eだとかなり広いです。2Eは細い靴なので注意しましょう。代表的なメーカーの特徴は以下のとおりです。

メーカーワイズ
スカルパ普通
スポルティバ細い
シリオ広い
LOWA普通
モンベル広い
マムート細い
キャラバン広い

ヨーロッパの人は足が細い人が多いので、靴も細く作られています。シリオやモンベル、キャラバンは日本人向けなので足幅が広いです。登山靴はサイズだけでは選べないので注意しましょう。

ザック(バックパック):ルートに応じて30〜60L程度

ザックにはハイキング向けとアルパイン向けがあります。アルパインクライミングにはアルパイン向けのザックの方が使いやすいです。違いについてはこちらの記事で解説しています。
>>【夏山&冬山】アルパインザックおすすめ9選|普通のザックとの違いは?

雨具、高機能ウェア

最近の登山ウェアは機能に優れています。もはやウェアもギアといって過言ではないでしょう。乾きが早ければ安全だし、汗抜けが良ければ快適です。冬はウェアの性能が登山の成否を決める要因にもなります。ウェアはお金をかけるほど快適になります。

ヘッドライト

時間が重要な要素であるアルパインクライミングでは、暗い中での行動も必要になるシーンがあります。性能が良く、使い勝手の良いヘッドライトを選んでおくと、安全につながります。
>>【明るさだけじゃない】登山用ヘッドライトの選び方とおすすめ|6種類を比較

ツェルト、軽量テント

日帰りの予定であっても、アルパインに行くなら必ずツェルトを持ちましょう。雪山でも夏山でも、低体温症を防ぐ唯一のアイテムです。

マルチピッチクライミングで使う装備

マルチピッチの技術はアルパインクライミングの基礎です。アルパインでも使いやすいギアを選んでおくと、後で買いなおす可能性も下がります。軽量だけに惑わされず、使いやすいギアを選びましょう。こちらの記事で詳しく解説します。
>>【用意したい物20選】マルチピッチクライングの装備を徹底解説!

沢登りに必要な装備

沢靴

沢登りには沢靴は必須です。専用の物のほうが快適で使いやすいのでおすすめです。沢靴はネオプレーンのソックスと合わせるとより快適になります。沢靴の選び方についてはこちらの記事で解説しています。
>>【沢靴の選び方】モンベル・キャラバン・代用品ごとにオススメを紹介!

沢登り用のウェア

楽しい沢登りも、常に低体温との闘いです。沢登りは沢登り用のウェアのほうが圧倒的に快適です。沢登りのウェアについてはこちらの記事で解説しています。
>>初心者からベテランまで【沢登りの服装】のオススメを徹底解説!

ライフジャケット

ライフジャケットの種類ははさまざまですが、沢登りで使いやすいライフジャケットがあります。こちらの記事で解説しています。
>>【沢登り初心者必見】ライフジャケット徹底比較|タイプ別特徴

その他、沢登りに必要なギア

沢登りに必要なギアを、こちらの記事で網羅的に解説しています。
>>【超詳しい】沢登りの基本装備&あったほうが便利な物を網羅的に解説!

雪山登山に必要な装備

ピッケル

ピッケルは登る山に合わせてストレートタイプかベントタイプかを選びます。ピッケルの長さは縦走メインなら長い物を、登攀でも使うなら短い物が使いやすいです。ピッケルの選び方はこちらの記事で解説しています。
>>【2025年おすすめ16選】ピッケルの選び方|元登山ガイドが徹底解説【初・中級者向け】

12本爪アイゼン

雪が少なく、歩きやすさを重視するなら爪の短いアイゼンがおすすめです。雪が多い山を登攀する場合で、アイゼン歩行に慣れているなら爪の長いアイゼンがおすすめです。こちらの記事で解説しています。
>>【2025年最新】12本爪アイゼンの選び方とオススメ7選を元登山ガイドが徹底解説

アバランチギア:雪崩ビーコン

雪山に行くならスコップ、プローブ、ビーコンは必ず持ちましょう。スコップとプローブの選び方は比較的簡単ですが、ビーコンは難しいです。値段も高いので、選び方をよく学んでから購入しましょう。こちらの記事で解説しています。
>>雪崩ビーコンの選び方とおすすめを徹底解説【バリーボックス2とS2の違い】

まとめ

昔は山岳会が登山の技術について教える場所でした。時代の変化とともに、今はSNSで教わる人が多いようです。その結果、山岳遭難が増えています。装備や知識不足からくる事故が多いような気がしています。今後はAIによって間違った情報がより多くなる気もしてます。「たぶんAIで書いてるだろうな」という記事も目立ってきました。

僕のブログが少しでも安全登山につながれば幸いです。一番のおすすめは山岳会への入会です。現地で経験豊かな先輩から教わりましょう。次から次へと短期間で凄い登山をする人は、登山から離れるのも早い気がしてます。長く安全に楽しみたいですね。

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